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(経済記事から)NO.7

※NO.をクリックするとその記事を見れます。(記事にはいっさい手を加えていません)
ページ作成者 (有)柴立不動産 柴立俊朗

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記事‐7  目  次
NO 記事年月日 記事元 見出し(記事内容)
112 2004/09/22 nikkei  基準地価 大都市圏下げ止まり感
111 2004/08/20 nikkei  NY原油48ドル突破
110 2004/07/17 nikkei  始まった世界経済の上昇波動
109 2004/07/09 nikkei  外資の不動産投資加速
108 2004/06/29 nikkei  「地価底入れ」日本に進出
107 2004/05/27 nikkei  小売業界 土地取得の動き
106 2004/05/16 nikkei  けいざい解読 不動産投資にバブル色?
105 2004/04/11 nikkei  けいざい解読 東京に人口再集中なぜ?
104 2004/03/24 nikkei  「地価」動き始めた市場原理
103 2004/01/26 nikkei  豊かな中国が変える世界市場
102 2004/01/10 南日本  景気拡大 22ヶ月連続
101 2003/11/08 nikkei  上場企業 経常益25%増
100 2003/10/27 南日本  論点 創造空間としての都市
99 2003/09/19 nikkei  基準地価 12年連続下落
98 2003/08/02 南日本  路線価11年連続下落
97 2003/07/13 南日本  経済損失 年間89億円
96 2003/06/28 nikkei  福岡中心部の大型再開発
95 2003/06/27 nikkei  新しい都心居住促進策を
94 20030/6/04 nikkei  長期金利 初の0.5%割れ
93 2003/05/23 nikkei  「デフレの方向 世界的に」日銀総裁 
92 2003/05/07 南日本  与次郎の観光地区廃止
91 2003/04/04 nikkei  新税制 こう使う(上) 個人編

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NO.112  2004/09/22(水) 日本経済新聞より

 基準地価
 大都市圏下げ止まり感
 全国平均 5.2%下落


 国土交通省は21日、7月1日時点の基準地価を発表した。
東京都心部の下げ止まり傾向が一部の近郊市街地に広がったほか、大阪市や名古屋市など他の大都市圏中心部にも下げ止まり感が出てきた。全国平均は前年度比5.2%下落と13年連続で下落したものの、下落幅は7年ぶりに0.4ポイント縮小。住民の都心回帰が続いているほか、集客力の高い商業地に投資資金が流入している。

 東京都心住宅地  17年ぶり上昇

 基準地価は都道府県が毎年7月1日時点で調査する地価。全国平均では住宅地が前年比4.6%、商業地は6.5%下がった。下落幅は住宅地で7年ぶり、商業地は4年ぶりに縮小した。住宅地はピーク時の1991年に比べて30.3%下がり、ほぼ86年の水準。商業地は同58.1%下がり、77年の水準を割り込んだ。住宅地、商業地ともに全都道府県で下落した。

 東京都心部では下げ止まり傾向が鮮明になった。千代田区の住宅地は全地点が上昇。中央、港、文京、台東、渋谷各区の住宅地もすべてが上昇か横ばいで、新宿、豊島区を加えた都心8区の住宅地は17年ぶりに0.3%の上昇となった。「上昇」と「横ばい」に下落率1%未満の「ほぼ横ばい」を加えた下げ止まり地点の割合は、東京23区の住宅地で62%(前年比35ポイント増)商業地では52%(同36ポイント増)と5割を超えた。

 下げ止まり傾向は東京近郊の都市にも波及。千葉県浦安市は市全体で住宅地が1.7%の上昇に転じた。横浜市や千葉県市川市・柏市、東京都武蔵野・立川市でも上昇地点が現れた。

 他の大都市圏でも下げ止まり感が出てきた。大阪市では再開発効果や海外ブランド店の進出などを受けて、阪急梅田駅近くの商業地など4地点が上昇に転じた。名古屋市でも4地点、福岡市で1地点、札幌市で2地点が上昇。不動産協会の高城申一郎理事長は都心部の下げ止まりについて「土地資産デフレと景気低迷の悪循環が止まった」と指摘している。

 一方、地方圏は依然として大幅な地価下落に直面している。住宅地の下落率は4.4%で、7年連続で下落幅が拡大。商業地は7年ぶりに下落幅が縮小したものの、下落率は7.1%と大幅な下げが続いている。大都市圏への人口流出などの構造的な課題を抱え、地方圏は底値が見えない。
  
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NO.111  2004/08/20(金)  日本経済新聞より

 NY原油48ドル突破

 【ニュウヨーク=米州総局】
 19日のニュウヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)で原油先物相場は続伸し、WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)で期近の九月物は一時一バーレル48.20ドルと、48ドル台の大台に乗った。連日の最高値更新となった。

 イスラム・シーア派の反米強硬派サドル氏らが立てこもるイラク中部ナジャフでの戦闘が伝えられるなど、イラク情勢が緊迫、米国の原油在庫の減少による需給逼迫懸念なども加わり、買いが優勢になった。

 正午(日本時間二十日午前一時)現在、九月物は前日比0.58ドル高の1バーレル47.85ドル。

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NO.110  2004/07/17(土) 日本経済新聞より

 【大機小機】
 始まった世界経済の上昇波動


 景気が予想外に明るさを増しているのは世界経済の上昇波動が始まったためである。世界経済は拡大三年目を迎えたが、国際通貨基金(IMF)統計によると全世界の実質成長率はここにきて一段と加速しており、今年は5%近い成長が期待できそうだ。

 世界経済の成長を加速している最大の原動力は言うまでもなく中国の離陸である。二けた成長を続ける上海の街には「小康」の看板が立ち、都市部はスピード調整中だが、一歩郊外に出ると建設の土ぼこりが舞い、開発の波は都市から郊外、地方へと中国全土に広がっている模様だ。中国の離陸はアジア各国に成長の連鎖を巻き起こし、インドやロシアにも伝播して第二、第三のけん引車が誕生しつつある。

 世界貿易の本格拡大も始まった。昨年の4.5パーセント増に対して経済協力開発機構(OECD)によると今年8.6%、来年は10.2%増と加速する予想だ。世界貿易を通じて景気拡大の輪が世界中に広がり始めた。

 世界経済の歴史を振り返ると先進国経済がらん塾期を迎え途上国への直接投資が拡大すると産業空洞化と価格破壊に見舞われ、デフレの時代に突入する。だが途上国経済の離陸で需要が拡大すると同時に国際商品価格は上昇に転じ、世界貿易の本格拡大とともに世界経済の力強い上昇波動が始まっている。

 十八世紀後半、英国で産業革命が開花して長期上昇波動が始まった。続いて十九世紀中葉、新興経済国、米国の参入で上昇第二波が起こった。二十世紀初頭にドイツが参入し、二十世紀中葉には日本経済が参入して世界経済を活性化させた。二十一世紀初頭の今、中国の参入で五度目の長期上昇波動が始まった。

 中国経済は半世紀前の日本同様、野性的活力が渦巻いている。多くのひずみを抱えながらどん欲に日本モデルを吸収して躍進中だ。すでに一万社を超える日本企業が中国に進出し、し烈な競争を勝ち抜いて一定の市場確保に成功する企業が増え始めた。日本企業は中国市場進出で若さと活力を取り戻しつつある。

 いつの時代も新興経済国の発展の恩恵を最も享受した国が繁栄の時代を迎えている。今日、地政学上も産業構造上も中国離陸で最大の恩恵を享受するのは日本だ。世界経済の上昇波動に乗って、日本の「繁栄の時代」が始まろうとしている。
(富民)

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NO.109  2004/07/09(金) 日本経済新聞より

 外資の不動産投資加速
 シンガポール大手 日本で1000億円計画


 日本の不動産への海外投資マネー流入が加速している。東南アジア最大の不動産会社でシンガポール政府系のキャピタルランドは今後三年間でショッピングセンターなど日本の商業施設を買収、最大で一千億円を投じる。ファンドなど欧米の投資家も日本の不動産買いに乗り出した。地価下げ止まりに加え、2005年度から減資会計を義務付けられる企業が資産放出に動いており、不動産仕入れの好機と見ている。

 【シンガポール=宮内禎一】
 キャピタルランドのリュウ・ムンリョン社長兼最高経営責任者(CEO)が日本経済新聞社に対し、今後三年間で日本の商業施設を12〜20件買収する計画を明らかにした。欧州やアジアの機関投資家からも資金を集め、不動産投資ファンドを設定する。

 東京都江戸川区のショッピングモール「ラパーク瑞江」を昨年約五十億円で買収したのに続き、東京周辺や名古屋、大阪、福岡などで十余りの商業施設を物色中。銀座や新宿など都心の高級商業施設ではなく、やや郊外の50〜200億円程度の中級施設が対象で「景気に左右されにくく投資効率もいい」(リュー社長)とみる。

 同社は日本の商業施設に投資する「キャピタリテール・ジャパンファンド」を四月に創設し、欧州やアジアの保険会社、年金基金などから百億円を調達済み。機関投資家からの資金をさらに集めるとともに、同社が保有していた東京・新宿のオフィスビル(11階分)を今月4日に百億円で売却、年内にも規模を二百億円〜三百億円に拡大し、借り入れも含め三年で一千億円にする考え。

 シンガポール、中国、マレーシアなどで34の商業施設を保有する同社は人気テナントを誘致するなど商業施設の付加価値を高めるノウハウも導入する。「オフィスビルは供給過剰感もあり商業施設を中心に投資していく」(同)としており、短期で売却して利益を得るのではなく中長期的な投資と考えている。

 またシンガポール政府の外貨準備を運用するシンガポール政府投資公社(GIC)の不動産部門は六月、鹿島が建設した品川シーサイド・イーストタワーとウエストタワーの二棟を四百二十五億円で買収した。中国への投資に熱心だったシンガポール企業だが、対日投資に目を向け始めている。

 キャピタルランドグループの2003年12月いの売上高は38億シンガポールドル(約二千四百億円)

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NO.108  2004/06/29(火) 日本経済新聞より

 「地価底入れ」日本に進出
 独系の不動産金融ハイポ
 3000億円融資見込む


 国際的な商業用不動産金融を専業とする独系ハイポ・リアル・エステート・グループ(HRE)が日本に進出する。「東京の地価は底入れ、他の都市部も底入れが近い」と判断、2006年に三千億円の融資高を見込む。邦銀との協調融資や、邦銀がリスクを取れない劣後部分への独自融資も展開する。

 HREはドイツの有力金融機関、ヒポ・フェラインスバンクの不動産金融部門を分離して設立された。グループ全体の資産規模は千五百億ユーロ(約20兆円)。日本法人HREキャピタル・ジャパンを設立、七月一日に営業を開始する。

 同社が日本で本格展開するのは、地価の底打ち感に加えて、「市場の整備が進んだ」(L・マイヤー日本法人社長)ためだ。ディスカウント・キャッシュフロー(DCF)によるオフィス物件などの評価手法の定着で、価格、取引手順の透明性が増し、国際的投資家の日本の不動産への関心も高まっているという。

 投資対象は、東京だけでなく大阪、名古屋、福岡などの物件にも振り向ける考え。同社は自前の資本力と、高度なリスク管理を伴う融資手法を使うのが特徴で、邦銀の融資額が評価額の60〜65なのに対し、リスクの高い部分なども含めて最大95%まで融資する。
 

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NO.107  2004/05/27(木) 日本経済新聞より

 小売業界 土地取得の動き
 工場跡など、底値圏と判断


 小売業界でバブル経済崩壊後に一般的となった「持たざる経営」路線を転換、店舗用地を積極的に取得する動きが出てきた。商業用の物件などでは賃料が高止まりする一方、地価が底値圏に入ったという判断が広がりつつある。工場などを閉鎖したメーカーが土地処分を急いでいることも背景にある。

 女性向けカジュアル衣料のしまむらは今期(2005年2月期)、10〜15店舗分の用地取得を計画、投資額は五十億円で、前期実績の4倍弱にあたる。1990年代半ば以降、土地投資額は前期を除き十億円未満で推移してきた。しかし、店舗用地は「価格が底打ちし、反転の兆しもある」(藤原秀次郎社長)と見て積極姿勢に転じる。

 郊外型紳士服のコナカも来期(2005年9月期)の出店を今期と比べ8割増の25に拡大、土地購入も含めた投資額を今期より十二億円積み増して三十五億円にする。店舗はほとんどが賃貸だったが、湖中健介専務は「今後は土地購入も視野に入れる」と話す。

 土地取得で店舗設計や内装の自由度が広がり、より集客力の高い店を開設できる利点がある。

 家具店・ホームセンター大手の島忠も売り場面積三万平方メートル以上の超大型店舗用地を相次ぎ購入。昨年末に取得した川崎市の工場跡地をはじめ大阪府堺市、同寝屋川市の物件も合わせた購入総額は二百億円近くに上る。

 新店の年商は一店舗あたり百数十億円を見込む。同社の売上高営業利益率は連結で7.9%(2004年2月中間期)。「10%程度を稼ぐ店づくりができれば、土地投資をカバーできる」(出村敏文取締役)
 
 昨年末、48億円を投じて大阪市内に約一万平方メートルの用地を購入したヤマダ電機は、引き続き大都市で土地取得を検討する。またヨドバシカメラは百五十億円を投じていすゞ自動車の川崎工場跡(川崎市)の一部、約十八万千五百平方メートルを取得した。

 一方で、イオンなどは一部の開発案件を除き、店舗用地は賃貸とする方針を貫く。不動産の価格変動リスクを回避したいとの考えは大手スーパーには根強い。

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NO.106  2004/05/16(日) 日本経済新聞より

 けいざい解読 不動産投資にバブル色?

 金融緩和であふれる資金が不動産に向かっている。
 札幌や福岡の一部でも地価が上昇、バブルの兆しとの指摘も出始めた。しかし、不動産の価値をはかる「ものさし」はバブル期とは異なっており、不動産マネーの安易な膨張を抑えている。
 
 ミニ・バブルが起きている――。日銀内で話題になったデータがある。全国企業短期経済観測調査の中小企業による土地投資額(調査時点の計画分含む)。2003年度は前の年度に比べ57.5%も増えた。

 十数年ぶりに地価上昇のにおいをかぎ取ったのは中小企業だけではない。大手米投資銀行によるとファンとを通じて、外国人の資金までが不動産市場に流れ込んでいる。歴史的な高値圏にある英米の不動産に比べれば、日本は買い時と映るようだ。

 不動産市場では集まるお金に比べ、再開発などが進む優良物件の供給は不足している。一部資金は優良でない物件にも向かい、それが価格を本来の価値以上に押し上げている。水準こそ違うが、マネーが地価を押し上げたバブル期の構造が部分的に復活している。

 ただ、投資対象である不動産の評価の仕方は、かつての値上がり期とは変わりつつある。従来は、周辺での取引価格を参考に決めていた。いったん上がり始めると、まわりに及びやすい。

 「上がるから買う、買うから上がる」という構図でバブルを生んだ。

 いまでは、不動産が将来どれだけ利益を生み出せるかを重視する。ビルに入居するテナントの賃貸収入などから、歩動産の価値を割り出すいわゆる収益還元価格の考え方だ。

 こうした傾向は主に商業地で広がっている。大企業は土地値上がりを前提にした「所有」から「利用」重視にカジを切った。収益還元の考え方を組み込んだ不動産投資信託(REIT)が増えたことも大きい。

 「不動産マネーに構造変化が起きている」。不動産に詳しいUBS証券の沖野登史彦シニアアナリストはこう分析する。収益還元の考え方が浸透し、テナントの賃貸料などを運用益とみなす形で、不動産マネーに「利回り」の考え方が組み込まれつつある。

 株式市場には配当を狙う投資家もいれば、値上がり益を狙う投資家もいる。戦後一貫して値上がり益狙いが中心だった不動産市場もようやく利回りを狙うような投資家を受け入れる素地が整ってきた。

 その結果、不動産価格はこれまで以上に金利に左右されやすくなる。国債金利が上がれば、相対的に不動産の魅力が低下し、マネーの流出が起きやすくなるからだ。今局地的に起きているように、お金が集中すれば一時的に地価が上がることがあるが、上昇に歯止めがかかるメカニズムが組み込まれた格好だ。

 投資家の関心は資産デフレがイツ終わるかにある。それが終わっても右肩上がりの土地神話が復活するわけではない。そこにあるのは新しい投資対象としての不動産で、むしろ債券や株と同じ土俵で難しい投資判断をしなければならない代物だ。従来の基準で投資をすると大やけどをする。
編集委員 太田 康夫

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NO.105  2004/04/11(日) 日本経済新聞より

      けいざい解読 
     東京に人口再集中なぜ?

     進む経済の二極化

 6日に入学式を迎えた東京・江東区の枝川小学校。新年度の学級数は21、児童数は689人。五年前に比べると六学級、約二百人も増えた。「教室が足りなくなったので、コンピューター用の特別教室を普通の教室に戻してやり繰りしている」(藤巻素子教頭)。日本全体では少子化が進んでいるのに、この小学校で児童数が増えているのは、江東区の臨海地区に相次いで大型マンションが建ち、新住民が流入してきたからだ。

 バブル崩壊後に一服していた東京都への人口集中が再び加速している。今年一月一日時点の都の人口は約千二百三十七万人で一年前に比べ約八万九千人増え、過去最高を更新した。

 東京都への人、物、金の一極集中は、地価の高騰が始まった1980年代初めから後半にかけて加速した。だが、バブルが大きく膨らんだ88年以降は都の人口は減少に転じた。都内の地価が高くなりすぎて、マイホームを求めるサラリーマンは首都圏郊外に移り住むようになり、オフィスやマンションも都心から逃げ出したためだ。バブル崩壊後も96年までは人口は減り続けたが、97年以降は「都心回帰」が始まった。

 80年代の「バブル前夜」のような東京への人口集中の背景には、都市部と地方の経済格差の拡大がある。東京都の2月の有効求人倍率は1.01倍と全国平均(0.77)を大きく上回る。これに対し、青森県は0.32倍、北海道は0.51倍にとどまる。

 土地に割安感が出て民間投資が動き始めた都心。公共事業の削減などで雇用情勢が依然厳しい地方。ヒト、モノ、カネの動きで都市と地方の「二極化」が鮮明になってきた。

 回復の遅れる地方経済の活性化のために政府が立ち上げた地域再生本部。ここには北海道や茨城県などの自治体から廃校になった公立小学校の校舎を他施設に転用する案が寄せられている。児童数が増える都心の小学校とは対照的に、子供が減る地方では学校もいらなくなり少子高齢化の重圧は都市部より大きい。

 日本の人口はあと数年でマイナスに転じ、「人口減少社会」が訪れる。全体が縮小する中で、人口の都市集中が続くとどうなるか。国土交通省が最近、ある試算をまとめた。都市部への人口集中が今のペースで続くと仮定すると、2050年に地方の中核都市から移動に一時間以上かかる地域の人口は現在より34%減少する。一方、東京圏の人口減少率は10%にとどまる。これだけ人口分布が偏ってくると、地方の行政サービスの維持が難しくなるなど国に大きなひずみが生じる可能性が大きい

「国土の均衡ある発展」を目指した戦後の日本は、公共事業を主体に都市から地方に資源を再配分する政策をとった。財政赤字が巨額に膨らみ公共事業に限界が見える中で、都市と地方の格差縮小には、規制緩和や地方分権など競争原理を取り入れた新たな地域活性化策が重要になる。
編集委員 藤井 彰夫

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NO.104  2004/03/24 日本経済新聞より

 「地価」 薄明かりの実相」 
 働き始めた市場原理
 都心部、優良物件を争奪


 
今年の地価公示は全国平均で六年ぶりに下落率が縮小、東京都心の下げ止まりが鮮明になった。一方で地方は下げに歯止めがかからず二極化は深刻だ。資産デフレの元凶だった地価に差し始めた薄明かりの実相を探る。

 
完売後に仲介店
 
 再開発が進む東京・汐留(港区)。三井不動産販売は超高層マンション「東京ツインパークス」が2002年末に完売した後、仲介店舗「汐留リアルプランセンター」を開設した。転勤による売却や同一マンション内の買い替えなど二次取引を見込んでのことだ

 狙いは的中した。すでに二十数件を成約、転売価格が当初価格を10%ほど上回る例もある。都心の便利な物件への需要の根強さを物語る。

 野村不動産が今月下旬に東京・恵比寿(渋谷区)のオフィスビルを建て替えて開業するレストランビル「コンツェ恵比寿」。完成前にもかかわらず投資家への売却が決まっている。

 転売市場に出回る物件は実績のあるビルがほとんどだが、野村不動産は、「十年間退去不可」などの条件付でテナントを募集した。入居側に厳しい条件にもかかわらずテナントは決まっているという。
安定した利回りを見込めることが完成前の売却を可能にした。

 
驚くべきデータがある。東京都心三区(千代田、中央、港)の商業地は前年比0.4%上昇――。発表された公示地価は1.2%の下落だったが、これは各調査地点の変動率の単純平均値。地価合計額の変動率を示す加重平均でみると、都心部は下げ止まりから上昇に転じている。

 都心部では優良物件をめぐる競争は過熱気味。再開発で収益性の向上が期待できる土地には資金が向かい、取引を伴って値上がりする例が出てきた。不動産ファンド運用のケネディ・ウィルソン・ジャパンの私募ファンドには昨秋、企業年金から約百億円が流入した。短期保有が基本で物件売却益を狙う私募ファンドはリスクも高いが期待利回りも通常10%以上と高い。運用悪化に悩む年金資金がそこに飛びつく。住信基礎研究所によると国内私募ファンドの資産規模は一兆円を超えた。長期保有の賃貸料収入を軸とする不動産投資信託(REIT)も現在十二銘柄が東証に上場。時価総額は当初の約二千五百億円が先週末に一兆二千五百億円超に増えた。機関投資家だけでなく個人投資家の関心も高い。

 大都市などでは地価は「収益還元価格を基本にしないと話にならなくなってきている」(不動産会社)。収益還元価格は賃料収入などの期待収益をもとに割り出す価値のこと。東京都心部では「5%台前半の利回りが投資の基準」(同)だ。年五百万円の収益が見込める物件につく価格は約一億円ということになる。

 物件から上がる利回りは株式や債券など他の金融商品と比較され、割高、割安感が醸成される。土地取引にも市場化の波は容赦なく押し寄せ、利用価値に応じた選別は避けようがない。

 
新陳代謝で復活

 地価の下げ止まりをもたらしているのは投資マネーだけではない。一月にシャープの液晶テレビ工場が稼動した三重県亀山市。二年前の進出表明から現在までに液晶テレビ関連の十二社が県内で工場の新増設を決めた。

 ビジネスホテルから給食サービスまで周辺企業も続々営業を開始。関連企業を含む従業員は現在二千六百人だが、四月には新卒採用などで三千四百人へと一気に三割増える計画。地元では雇用増を見込んで賃貸住宅の建設ラッシュが続く。

 静岡県熱海市では、廃業した温泉旅館の跡地にマンションが立ち並ぶ、市は温泉街に空き地が目立ち始めた1998年、バブル期に凍結したマンション開発を商業地と近隣商業地に限り「定住型」を条件に八年ぶりに解禁。昨年は五件が完成し合計十件になった。 

 同市の商業地下落率は10.5%だが、前年より2ポイント縮小した。地元の不動産鑑定士は「住宅地の地価に近づいており、底打ちは近い」と見る。

 
都心部では高い収益を上げられる土地の争奪戦が起こり、地方でも町の新陳代謝に成功したところや、核になる成長企業が立地するところは地価下落に歯止めがかかり始めた。十年超に及ぶ未曾有の地価下落を経て一部の土地に市場原理が働き始めた。

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NO.103  2004/1/26 日本経済新聞より

 「景気指標」 豊かな中国が変える世界市場

 中国の昨年の国内総生産(GDP)伸び率が事前の予想を大きく上回る9.1%になった。不動産バブルと指摘される固定資産投資に牽引された高成長には不安の芽も見える。だが、2年連続で成長率が高まった点に着目すれば、中国が1999年の7.1%成長を底に新しい成長期に入ってきた可能性も否定できない。ケ小平氏が「改革・開放」政策を発動した1978年から数えれば1980年代前半、1990年代前半に次ぐ3回目の上昇局面となる。

 今回の上昇局面のキーワードは「豊かな個人」だろう。昨年の中国の一人当たりGDPは1090ドルと1000ドルの大台に乗り、上海市では旧来の計算方式では五千ドルを初めて突破した。もちろん沿海都市と内陸農村の所得格差は一段と開き、都市内部でも貧富の差は深刻だ。ただ、中国全体の底上げ、上海など上位集団の一層の富裕化が、世界に様々な影響を与えていることに注意する必要がある。

 ブラジル、アルゼンチンでは日本メーカーの高級ピックアップトラックの売れ行きが好調という。中国の大豆輸入が2年連続で二千万トンを超え、米国と並ぶ大豆生産国である両国の農家が潤っているからだ。中国では一人当たりの穀物摂取量は年々減っているが、大豆から搾った食用油、大豆かすを飼料にした肉、卵などの消費は伸び続けている。中国人の食卓が豊かになれば、南米で日本の自動車メーカーがもうかる構造が生まれている。

 昨年の中国の自動車販売台数は439万台と前年比で35%増。中でも乗用車販売は197万台と75%増の急増ぶりだ。90年代から騒がれながら不発だった中国のモータリーゼーションは点火されただけでなく、たちまち世界を巻き込む潮流となっている。新車分だけで中国は年間1000万トンは原油輸入を増やす必要がるからだ。その結果、中国ではガソリン、軽油の品不足、世界では原油市況の高止まりが起きている。

 新しい成長で個人が豊かさを増す中国のインパクトを世界は実感し始めている。

(編集委員 後藤康浩)

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NO.102  2004/1/10 南日本新聞より

 景気拡大22ヶ月連続
 内閣府が11月指数
 ITバブル上回る


 
内閣府が9日発表した昨年11月の景気動向指数(DI、速報値)は、景気の現状を示す一致指数が77.8%となり、景気が上向いていると判断する分かれ目の50%を7ヶ月連続で上回った。内閣府は、景気の基調が「改善している」とした前月の判断を維持した。

 政府は2002年1月が景気の「谷」と判断しており、景気拡大期間は11月の時点で22ヶ月に達し、前回の情報技術(IT)バブル景気の21ヶ月を超えた。

 ただ、外国為替市場の円高ドル安基調に変わりはなく、景気の先行きを示す先行指数が7ヶ月ぶりに50%を下回るなど懸念材料も多い。このため、内閣府は「9月10月が急回復だったこともあり、一本調子で上昇しているわけではない」と慎重な見方を示した。

 一致指数については、鉱工業生産指数が、3ヶ月連続で、製造業の所定外労働時間も7ヶ月連続でプラスになるなど、9項目中7項目が3ヶ月前の水準を上回った。

 一致指数の有効求人倍率などが今回の拡大局面で最高値となったこともあり、景気拡張のトレンド自体は続いている可能性が高いと見ている。

 しかし、11月の気温上昇により、冬物の小売販売が伸び悩み、在庫も増えたことなどから、一致指数は前月の100%から低下した。


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NO.101  2003/11/8(土) 日本経済新聞より

 上場企業 経常益25%増
 デジタル機器や北米・アジア好調
 ITバブル超す水準
 9月中間 本社集計


 日本経済新聞社が7日、上場企業の2003年9月中間決算を集計したところ、連結経常利益は前年同期に比べ25%増え、情報技術(IT)バブルで潤った2000年9月中間期の利益水準を上回った。薄型テレビなどのデジタル機器の市場拡大や自動車などの北米・アジアでの販売好調による増収が原動力になった。需要増加で利益を拡大する企業が増え始めている。

 集計対象は新興三市場を除く290社。3月期決算企業全体の18%。利益ベースでは全体のほぼ5割を占めると見られる。7日までに電機、自動車、医薬品の主要企業が発表を終えた。

 経常利益の合計額は4兆5612億円。このうち2000年9月中間期と比較可能な279社では4兆2820億円と、ITバブルに沸いた3年前(4兆0084億円)を超えた。

 前年同期は減益だった非鉄金属が増益に転じたほか、鉄鋼が5.6倍、精密機器は3割の増益となった。前期のV字回復を牽引したのは自動車や電機だったが、この中間期では収益が改善する業種が広がっている。

 増収率は製造業が3.9%と前年同期の3.3%を上回った。液晶テレビやデジタルカメラ、携帯電話などの販売好調で電機は前年同期の減収から増収に転じた。シャープは液晶カラーテレビの売上高が2倍強に拡大。三洋電機はデジタルカメラの売上高が5割増えた。デジタル機器ブームは部品・材料メーカーにも波及し、液晶用光学フィルムの日東電工は売上高が過去最高となった。

 外需も好調で、円高・ドル安を吸収した。トヨタ自動車、日産自動車、ホンダの3社合計の海外販売台数は北米を中心に9.6%増加。新日本製鉄は「自動車や造船向けなどを除いて内需は弱いままだが、中国を中心とするアジアの需要は旺盛」(藤原信義常務)と輸出を伸ばした。

 前期までは、デフレやヒット商品不足で売り上げが伸び悩む中、人件費などの固定費の削減や不採算事業からの撤退などで、企業は利益をねん出してきた。収益基盤が改善したところに、デジタル景気の広がりや外需の伸びにより、利益を伸ばす企業が増えている。「リストラ頼みから売り上げの拡大が牽引する増益に変わりつつある」(大和総研)との指摘が出ている。

 今後、円高が進むようなら輸出採算が悪化する懸念はあるが、現段階では下期の経常利益は前期下期より27%の増加を見込む。2004年3月期通期でも前期比26%増となる見通しだ。 

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NO.100 2003/10/27(月) 南日本新聞より

 創造空間としての都市
 客員論説委員 山崎 朗 九州大学大学院教授



 四大工業地帯に過度に集積していた工業を地方に移転させる計画は、1960年代から本格的に始まった。

 もっとも有名かつ大規模な計画は、62年から石油化学、鉄鋼業を地方へ立地誘導させるため、全国15ヶ所で実施された「新産業都市」建設である。それ以降の地方振興も、誘致対象を鉄鋼、石油化学のような素材型から機械系の業種へと変更しながら、中小規模の工業団地建設と立地助成金の組み合わせによる工場の地方誘致を地域振興の柱に据えてきた。

 たしかに近年の頭脳立地法やオフィスアルカディア計画では、研究所やオフィス、ソフトウェアなども誘致対象とされた。だが、工場誘致と同じ発想で整備された団地は、オフィスやソフトウェアハウスの立地動向を適切に反映しておらず、期待されたような成果をもたらしてはいない。

 経済発展の初期段階では、製造業が生産活動に占める比重が高くなるが、その後はその比率が徐々に低下していくことが明らかにされている。日本は、すでに80年代から製造業の比率が低下していく成熟社会段階に入っている。新規工業立地件数も、バブル崩壊後の90年代後半から急速に減少しており、全国各地に造成された工業団地は、分譲価格を引き下げても売れ残っている。

 日本の地域振興は80年代に転換すべき時期に来ていたのであるが、その転換が遅れ、しかも工業誘致の発想でソフト機能、サービス機能の誘致を構想していたため、企業立地とのミスマッチが生じている。今後、工業誘致を地域振興の柱に据えることはできない。ソフト機能、サービス機能の誘致、育成にあたっては、それら業種の立地指向を正しく認識した施策が必要である。

 事実、指定地域に指定されなかった地点において、情報処理、ソフトウェア関係の事業所、雇用が増大している。90年代は高速インターネットや携帯電話の普及により、本格的情報化が進展し始めた時期である。そのことが、関連ソフトウェアやホームページ作成などの新しい業務を生み出した。

 国土交通省が毎年行っている「ソフト系IT産業の実態調査」によると、東京23区のターミナル駅周辺に集積立地しており、地方圏においても取引企業との対面接触が容易なターミナル駅周辺に多く立地していることが明らかになった。

 2003年3月の主要駅半径1キロ以内の事業所数を比較すると、1位秋葉原駅(東京都・・742)、2位渋谷駅(東京都・・483)、3位心斎橋駅(大阪市・・431)、4位博多駅(福岡市・・418)、5位茅場町駅(東京都・・416)、6位都庁駅前(東京都・・413)、7位新大阪駅(大阪市・・378)、8位池袋駅(東京都・・364)、9位南森町駅(大阪市・・352)、10位九段下駅(東京都・・324)、の順となっている。事業所数300を超える駅は、これらの10駅である。

 地方の駅周辺では、仙台駅(仙台市・・224)、札幌駅(札幌市・・211)、天神駅(福岡市・・191)、八丁堀駅(広島市・・163)、新潟駅(新潟県・・107)、静岡駅(静岡県・・106)、岡山駅(岡山県・・82)、浜松駅(静岡県・・65)、松山駅(愛媛県・・54)などに集積している。

 駅前集積では渋谷が有名であり、ビットバレーと呼ばれるようになっている。しかし現実には、電器店の集中する秋葉原の集積度がきわめて高く、更なる集積促進に向けて東京都と千代田区によるIT産業拠点化のための駅前土地区画整理事業が開始された。

 福岡では天神駅周辺の中央区大名地区へのデザイン、ソフト関連企業の集積があり、大名バレーという名称で全国に知られるまでになっている。しかし、実態は博多駅周辺への集積が目立っている。福岡市でもようやく天神、博多駅周辺での民間、自治体による企業の創業支援するための、インキュベーション(育成)施設がオープンした。

 ITバブル崩壊でソフト系事業所でも閉鎖が増加している中で、鹿児島県では開業率が廃業率を上回っており、開業率は全国第4位であった。鹿児島市が運営するソフトプラザ鹿児島の運営も軌道に乗っている。

 知識重視の知価社会の地域振興策として残された手段はただ一つである。都市計画と産業政策を結合し、都心を創造空間へと変貌させることである。
 

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NO99  2003/9/19(金) 日本経済新聞より

 基準地価 12年連続下落
 地方圏、下落幅拡大
 東京都心は一部で上昇


 国土交通省が18日発表した7月1日時点の基準地価は全国平均で前年比5.6%下がり、12年連続の下落となった。景気低迷で住宅地、商業地ともに下落幅が拡大、地方圏の下げ幅は5.1%とバブル崩壊後最大で、土地資産デフレの続く実態が鮮明。一方で東京都心部では下げ止まる地点が目立つなど、土地利用価値の違いを映し始めている。

 株価は上昇基調にあるものの、金融機関や一般企業などの土地の含み損の拡大は必死。地価動向が依然、景気回復の重しになっている。

 基準地価は都道府県が毎年7月1日時点で調査する地価。国が1月1日時点で調べて公表する公示地価と並び、土地取引の目安となる。

 住宅地は4.8%、商業地は7.4%下落した。住宅地の下げ幅は0.5ポイント、商業地は0.2ポイントそれぞれ拡大した。住宅地は6年連続、商業地は3年連続で下落幅が拡大している。

 住宅地はピーク時の1991年に比べて27%下がり、ほぼ87年の水準。商業地は同55.1%下がり、78年の水準にまで落ち込んだ。住宅地、商業地ともに全都道府県で下落した。

 住宅地で下落幅が最も大きいのは千葉県の9.5%東京都区部の下落幅は1.8%で、4年連続で縮小した。マンションなど住宅需要の都心回帰が続き、都心部では下げ止まる地点が目立つ。特に千代田、渋谷両区は全地点が上昇または横ばいだった。大阪圏は8.9%と前年と同じ下落幅。名古屋圏は5.6%の下落で前年比0.3ポイント拡大した。

 商業地で下落幅が大きいのは富山県の13%。海外ブランド店の進出が相次ぐ東京都心部の銀座や表参道などでは5%前後の高い伸びを示す地点もあった。東京都区部の下落幅は3.1%で前年より1.3%縮小した。

 需要が少なく、収益性の低い土地の地価下落が鮮明で、人口10万人以上の地方都市の商業地下落率は10.5%。中心商店街から大規模商業施設などが撤退し、急落している地域が目立つ。収益性や利便性によって同じ地域でも地価が異なる「地価の個別化」の傾向が顕著になっている。

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NO.98  2003/8/2(土) 南日本新聞より
 
 
路線価11年連続下落
 32道府県 下げ幅拡大
 全国平均6.2% 二極化一層進む   03年度分

 国税庁は1日、2003年分の相続税、贈与税の算定基準となる土地の路線価を全国の国税局などで公表した。約41万地点の標準宅地(住宅地、商業地、工業地)の路線価の平均額は、前年比八千円安い一平方メートル当たり12万1千円で11年連続の下落、下げ率は前年の6.5%から6.2%に縮小した。

 海外ブランド店の出店やオフィスビル建設が進む東京の中心部など大都市の一部で、昨年に続き値上がり傾向が見られる一方で、三十二道府県で平均額の下落率が前年を上回るなど、不況下で二極化現象が一層進んだ。
 
 全国一位は18年連続で東京・銀座五丁目の文具店「鳩居堂」前の銀座中央通り。3年連続値上がりし、一平方メートル当たり1272万円(前年1200万円)だった。

 各都道府県別の平均額はいずれも前年より落ち込んだ。下落率では長崎の10.8%が最大。東京は前年比2.6%減と4年連続して下落率が縮小した。

 圏域別の下落率は、東京圏が前年の5.2%から4.0%、大阪圏が9.4%から8.7%、名古屋圏は7.0%から6.5%にいずれも縮小。その他の地方圏は5.7%から7.7%へと拡大した。

 都道府県庁所在地の最終路線価は東京が上昇、大阪、福岡が前年と同額となった。他の道府県では前年比マイナスで、下落率が5%未満だったのは札幌、横浜、名古屋、松山の4都市。福井や宇都宮など19都市では15%以上の下落だった。

 一方、昨年に続き路線価の上昇がみられたのは、再開発が進んだり、交通の利便性が良くなったりした地域。

 東京では巨大オフィスビルがオープンした千代田区丸の内2丁目(前年比7.2%上昇)、新幹線の新駅開業を10月に控え、再開発が進む港区のJR品川駅東口(同9.0%)など。名古屋では、ブランドショップが集中する中区栄3丁目が前年比2.4%上昇した。

 九州全県マイナス

 福岡、熊本の両国税局が1日発表した2003年分路線価によると、8年連続で7県とも前年を下回り、標準宅地の評価基準額の平均額は1平方メートル当たり7万2千円で前年を6.5%下回った。

 下落率が最も大きかったのは、長崎県で前年比マイナス10.8%の8万3千円。同県の下落幅は全国でも最も大きく、九州では5年連続で下落幅最大となった。
 
 九州の最高路線価は、福岡市中央区天神二丁目の渡辺通りで314万円。変動率は0.0%で九州最高路線価上位20位中、唯一下落しなかった。次いで熊本市手取本町の下通りの167万円、福岡市博多区博多駅前2丁目の駅前通りの164万円で、鹿児島市東千石町の天文館電車通りは前年と同じ6位だった。

 鹿県は下落幅縮小
 平均3.6%5万3千円  住宅地もマイナス


 熊本国税局は1日、管内4県の2003年分路線価(一平方メートル当たり)を公表した。鹿児島県内の平均額は5万3千円で、前年比マイナス3.6%(2千円減)。全国平均のマイナス6.2%や管内平均のマイナス5.6%より下落幅は小さかったが、11年連続の下落になった。

 県内の主要道などに面する約5千7百地点で評価した。これまでほぼ横ばいだった住宅地が、商業地でのマンション建設ラッシュの影響などで前年比マイナス1.0%の下落に転じた。

 一方、商業地も下落したものの、下落幅は縮小。特に、九州新幹線の一部開業を控える鹿児島市の西鹿児島駅周辺は、下落幅が小さかった。

 11年連続で県内最高額となった鹿児島市東千石町の天文館電車通りは105万円で前年比マイナス7.9%、9万円の下落だった。ピーク時の92年の488万円から5分の一近くまで下がった。また、県内11税務署の各最高路線価もすべて下落。熊本国税局全体でもすべて昨年を下回った。

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NO.97  2003/7/13(日) 南日本新聞より
 
 経済損失 年間89億円
 鹿児島IC―中洲通りの慢性渋滞
 国道事務所が試算


 鹿児島国道事務所は九州自動車道鹿児島インター―中洲通交差点間の慢性的渋滞による経済的損失額を年間89億円と算出した。一日平均では二千五百万円近くになる。同インターから臨港地区に計画されている鹿児島東西幹線道路の整備を促進しようと同事務所が初めて試算した。

 損失額は同事務所が毎年実施している旅行速度調査と、五年に一度の交通量調査の結果などを用いて、2002年度にはじき出した。対象は東西幹線道路の予備設計などをしている「整備区間」とほぼ重なる約2.7キロ。

 一定区間を通常、想定される速度で走った場合の時間から、車両が一分間遅れるごとの経済的損失額を国土交通省が定めており、それを元に通行量などを掛け合わせ、算出した。一分あたりの車種ごとの損失額は乗用車が62.88円 バス519.74円、トラック87.44円。

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NO.96  2003/6/28(土) 日本経済新聞より

 福岡中心部の大型再開発
 渡辺通「職住一体型」に
 都市公団が整備主体に


 
福岡市中央区で計画が進められていた「渡辺通再開発事業」の新構想が27日、明らかになった。三分の一を商業用地、残りを住宅用地という「職住一体型」とする。市の第三セクター「都市未来ふくおか」が事業主体になる予定だったが、市と都市基盤整備公団で共同実施する方式に切り替えた。九州一の商業集積地・天神に隣接する地区の再開発が動き始める。

 再開発用地は、西鉄福岡(天神)駅から南に八百メートルほど下った所で、渡辺通りの東側2.7ヘクタールの地区。三千平方メートルを都市未来ふくおかが先行取得しており、残りは九州電力や地元地権者が所有する。

 新構想では、同地区の西側約一ヘクタール部分にオフィスビルなどを建てる。残りの1.7ヘクタールは周辺に住宅が立ち並ぶ状況を考慮し、賃貸・分譲マンションやアパートを設ける。

 同地区の再開発は、都市未来ふくおかが企画・運営する計画だった。しかし同社の経営悪化で反対する声も多く、整備主体は都市基盤整備公団になる見通し。市と公団で2004年度には具体的な計画策定に入りたい考え。05年から06年にかけて着工する構想だ。

 地権者は公団が整備した土地について、都市計画に基づいてそれぞれ活用法を探る。市は整備を公団に任せることで、財政支出を減らすことができる。

 一方で、同地区の中心部に市道を整備し、渡辺通りから同市博多区の複合商業施設「キャナルシティ博多」までつながる一本道をつくる計画。

 市内では天神周辺の大名・今泉地区などで民間の開発が進められている。05年春開業予定の地下鉄3号線と合わせ、天神の南側の渡辺通地区再開発が動き出すことで、一帯の集客力が高まる公算は大きい。

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NO.95  2003/6/27(金) 日本経済新聞より

 〔経済教室〕 
 新しい都心居住促進策をー事務系とセットで
 容積率を割り増し・売買

 
東京大学教授 八田達夫

 都市再生のメリットを高めるためには、都心への居住を促進する政策を推進すべきだ。具体的な手法としては、住居系容積率の割り増しと事務系容積率の売買自由化の組み合わせが有効だ。現在の縦割り行政を越えた政治判断を行い、この改革の実行に道を開くべきだ。

 都市再生が経済活性化

 都市再生とは「インフラの混雑を引き起こさずに都心のビルの床面積を事務系・住居系を問わず抜本的に拡大する政策」である。日本は長期的観点からも短期的観点からも、この政策を必要としている。

 第一に、都市再生による都心の床面積の大量供給は、床面積あたりのオフィス賃料・家賃を大幅に引き下げ、都心への集中を可能にし、オフィスの生産性を高める。

 都市の性能は一日に面談できる相手の数で決まる。フェース・トゥ・フェースコンタクトをすると、相手の反応を見ながら話せるから、はしょれるのか、もっと説明が必要なのかが瞬時にわかり、手紙や電話やメールに比べてコミュニケーションの量や質を高めることができる。

 都心全体の事務系床面積が広く、就業者密度が高いほど、一日にフェース・トゥ・フェースコンタクトできる相手が増える。高度情報社会では都市の機能が元来、都市でしかできないものに純化されるから、この機能はさらに高まる。したがってその都心に立地する企業の生産性は向上する。

 東京は、香港、上海、ソウル、シンガポールなどと都市間競争をしている。しかし、東京では都心ビルの指定容積率(床面積の対敷地面積比率)がこれら諸都市の半分に抑えられているため、オフィス賃料もマンション家賃も非常に高い。それが決定的な理由で東京は国際競争に負けている。

 昨年の国際会議の開催件数はソウルよりも少なかった。東アジアにおける国際都市間競争に勝つためには都心床面積の大幅供給が不可欠である。

 第二に、都心の集積化は経済成長をリードする新しい業種を作り出す。第二次産業の時代にソニーやホンダが現れたのは、政府が補助を与えたからではなく、貿易自由化や港湾建設など第二次産業のためのインフラを整備したからである。

 第三次産業の時代も、産業の舞台である都市という入れ物を整備する必要がある。そうすれば、東京の集積が生んだアニメ産業のように、予期できない都市型産業が生まれだす。都市再生は、リーディングセクターを作り出す「ゆりかご」を用意することになる。

 第三に、都心の住居系床面積の増加によって、長距離通勤を減らすことができる。これは夫を含めた一家団らんと、都心での共働きとを可能にする。都市生活の質を改善できるだけでなく、フルタイムに働く妻からの所得税収も期待できる。

 第四に、都市再生は即効性のある景気対策になる。都市再生は床面積あたり家賃は下げるが、敷地面積あたり床面積が増えるから、都市の地価を上げる。これはデフレ期待を止め、不動産投資を促し、景気回復の前提条件を作り出す。現在、東京のワンルームマンションの収益率は6%から7%である。一方、日本の家計は膨大な貯蓄を抱えているにもかかわらず利子の低い銀行預金をしており、不動産投資を行っていない。デフレが続き価格が下がると期待しているからだ。

 この地価下落の期待がなくなると、不動産投資が一斉に行われるようになる。これは当然、地価を引き上げ、さらなる投資を呼ぶようになる。

 インフラの混雑を打開

 都市への集積はこのように多くのメリットを生むが、インフラの混雑という弊害も生み出す。需要量が供給量を上回っているのに、何らかの理由で価格が安すぎる水準で固定されているとき、混雑が発生する。通勤電車・電気・水道・道路その他の公共サービスで発生する混雑への適正な対策は、混雑地点、混雑時におけるサービス料金の引き上げである。

 しかし、日本では都心の厳しい容積率規制によって混雑対策を行ってきた。確かに事務系ビルへの容積率規制は通勤者の数を減らすことによって通勤鉄道の混雑を抑制した。しかし、住居系にまで容積率規制をしたことは多くの人に長距離通勤を強いて、通勤混雑を助長した。ニュウーヨークでは都心ほど夜間、人の密度が高くなるのに対し、東京では都心ほど中心部の夜間人口が周辺より低くなっているのは、住居系にまで厳しい容積率制限をしたためである。

 住居系容積率規制を緩和すると、都心居住が増える。その分、通勤鉄道への負荷が減るため、事務系ビルの容積率の緩和も可能になる。それによって集積の利益を増幅させ、オフィス業務の生産性を高めることができる。したがって、都心の住居系容積率の大幅緩和が都市再生の鍵である。

 都心の住居系の床面積を増やす方法としてまず考えられることは、住居系ビルのための容積率を事務系ビルの基準容積率より割り増しして指定することである。しかしこの方策の結果、住居系ビルばかりが建つと、その分事務系ビルの敷地面積が減ってしまい、都心の生産性が下がる。

 この問題を防ぐ方法は「住居系容積率の割り増しと事務系容積率の売買自由化との組み合わせ」である。具体的には、次の二つの政策を組み合わせる。まず、一定の都心地区の各敷地に事務系ビル用の基準容積率と、それより割り増しした住居系容積率とを指定する。つぎに、住居系ビルが建つ敷地の地主は、その敷地に建設できたはずの事務系ビル用の基準容積率を、この地区内の別の敷地の地主に売却できるものとする。

これによって、この地区内に住居系ビルがどれだけ建てられてもこの地区に許可された事務系の床面積の総量は、全体としては減らない。

 しかも、住居系の容積率と事務系の容積率を同時に増やす場合と違い、事務系ビルばかりが増えて通勤混雑が助長されるということはない。

 この制度では、基準容積率を超える容積率の事務系ビルを建設したい地主は、越える部分の容積率を地区内の住居系ビルの地主から買う。つまり、事務系ビルを建設する地主が住居系ビルの地主に補助金を出すことになる。この規制改革によって、住居系ビルの建設は今とは比較にならないほど進むであろう。

 なお、都心の住居系ビルの容積率を増やすと、通勤鉄道の負荷は減らせても、他のインフラが混雑するのではないかと危ぐされるかもしれない。しかし、電気・水道のインフラは、使用する時間帯がオフィスと住宅とでは異なる。また必要ならば、地区ごとの電気や水道料金を設定することによって負荷を抑制し、インフラ整備の原資を得ることもできる。

 地下鉄が諸外国に比べて極度に発達した東京では、休日や夜間はともかく周日の昼間の自家用自動車の使用の発生が多くなるとは考えにくい。しかし実際に道路混雑が発生すれば、違法駐車の取り締まりを厳しくした上で、周日の昼間における都心の駐車場への車の出入りに対して高い課税をすることで対処できる。税収は街路の拡幅に当てることもできる。

 必要なのは混雑の発生源に対する直接的対策である。容積率規制による間接的な対策ではない。容積率規制による混雑対策は、水虫がかゆいという患者に全身麻酔をかけるようなものである。

 タテ割り行政超えた判断を

 今回、「骨太の方針」では、運用の改善による容積率規制の弾力化が決まった。歓迎すべきである。これをさらに前進させた本稿で提案する政策を行うと、都心居住を増加させるだけでなく事務系容積率緩和への道も開く。その上、本格的な景気回復の起爆剤になる。

 ただし、現在の縦割り行政の下では、ここで提案した改革を実行することは不可能に近い。都市計画当局には、インフラ負荷対策の手段として容積率のような建築関係の規制権限だけが与えられている。容積率緩和の結果、万一何らかのインフラ負荷が増したとき、価格や税を用いた個別のインフラ対策をとる権限がない。このため緩和にきわめて消極的である。

 さらに当局は、新規住民の流入をけむたがる既存都心住民の声を重視する立場に置かれており、長時間通勤を強いられている通勤者の利益を考える立場にない。

 したがって、ここで提案した改革を実行するには、最高レベルの政治的決断が不可欠である。都市再生は、それに値する改革である。


    はった・はつお 43年生まれ。国際基督教大卒、
    ジョンズホプキンス大博士。専門は公共経済学

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NO.94  2003/6/4(水) 日本経済新聞より

 長期金利 初の0.5%割れ
 銀行など、膨らむ国債保有
 反転なら巨額損


 三日の債券市場で長期金利の指標となる十年物国債(二百四十九回五月債)利回りが初めて0.5%を下回り、過去最低を更新した。デフレの長期化を見込み、銀行や生命保険会社などが、国債を買い進めている。ただ、国債の大量保有は金利が反転上昇(債券価格は下落)したときには、巨額の損失を生むリスクをはらんでいる。


 十年債利回りは終値で前日比0.030%低い0.495%に低下。年初からの低下幅は約0.4%に達した。

 財務省が同日実施した十年債入札が順調だったうえ、エビアン・サミットでデフレ懸念が世界的に広がっていることが確認され、債券買いに対する安心感が強まった。

 国債は償還まで保有すれば元本割れの可能性はきわめて小さい。経済が低迷し、物の価格が下落するデフレ経済では、デフレで価格が減じるリスクの小さい国債は、利回りが低くても相対的に魅力が高い。デフレが投資家の買いを誘っているといえる。

 日本銀行は中長期国債の買いきりオペを拡大。買い取り額は月一兆二千億円ペースに達し、投資家の買い安心感を増幅している。こうした買い手の存在が、投資家のリスク意識を薄めているとの指摘もある。

 大手銀行の2003年3月期末の国債を含む国内債券の保有総額は前の期より約九兆円増え、約五十五兆円に達した。貸出残高(約280兆円)の約五分の一の規模だ。銀行が債権投資を増やしているのは、景気低迷で企業の資金需要が伸び悩む中で、安全な運用先として国債にお金を振り向けているためだ。

 銀行は債権価格上昇(金利は低下)による含み損を、前三月期は不良債権や株含み損の処理の穴埋めに使った。決算で含み益をはき出したため、大手行全体の債権含み益は五千二百億円程度にとどまっている。

 今後金利が反転すれば、含み益が底をつき含み損に転じる恐れもある。大和総研の試算では「金利が1%上昇すると、大手銀行全体で二兆二千億円の損失が発生する。」という。年間の業務純益の半分程度に匹敵する金額だ。

 生保にとっても、金利低下の影響は深刻だ。超低金利が続くだけで運用利回りが予定利率(保障利回り)を下回る「逆ざや」が拡大するからだ。かつてない低金利は各方面で潜在リスクを増大しつつ進展している。


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NO.93  2003/5/23(金) 日本経済新聞より

 「デフレの方向 世界的に」 日銀総裁
 中銀の協調訴え 物価下落圧力に対処

 
 日銀の福井俊彦総裁は22日の記者会見で物価動向について「世界的にデフレの方向、ディスインフレ(物価上昇率の低下)がさらに進む方向にある」との認識を示した。「中央銀行同士が知識を交流しながら対応しないといけない」と語り、欧米にも広がりだした物価下落圧力に主要国の中央銀行が協調して対処する必要性を指摘した。

 米国では四月の卸売物価指数が過去最大の下落を記録し、米連邦準備理事会(FRB)はデフレへの警戒を強めている。欧州中央銀行(ECB)も物価安定の定義を厳格化した。
 
 世界的なデフレ傾向について福井総裁は「グローバル化でモノや資本、人材が自由に動き、世界が限りなく単一市場に向かっているからではないか」と語った。

 そのうえで「今では中央銀行は(インフレだけではなく)デフレの心配をする役割も担っている」との考えを示し、世界の中でいち早くデフレ問題に直面した日本の中央銀行総裁として欧米との協調を呼びかけた。

 りそなグループの実質国有化の関連では「金融システムの基盤はぜい弱で、何か特別な問題が起きたときに連鎖的に心配が起こるという意味で潜在的なリスクがある」と指摘。追加金融緩和の決定などを踏まえて「日銀としては市場に対し、なるべく先手を打って不安感を鎮める措置をとっている」と協調した。

 銀行への公的資金注入については「(現行では)自己資本の水準がギリギリまで落ちた段階でないと必要な手術を受ける機会がない。早い段階の方が健全ではないか。道具立てをそろえた方がいい」と発言。予防的な投入の枠組みが必要だとの認識を改めて示した。

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NO.92  2003/5/7(水) 南日本新聞より
 
 与次郎の観光地区廃止
 市議会建設委 市が基本的考え方案


 鹿児島市は6日、木材団地や与次郎ヶ浜、天文館地区の既成市街地3ヶ所について、土地利用の見直しの指針となる基本的考え方案を明らかにした。3地区は用途地域などで土地利用を規制していたが、時代の変化に合わせて規制を大幅に緩和、土地の有効利用を図る。
 
 同日開かれた市議会建設委員会で、市都市計画課が報告した。
 
 与次郎ヶ浜地区はこれまで特別用途地区の観光地区に指定され、建築物が規制されてきた。しかし本来のホテルや旅館などの宿泊、観光関連施設の立地割合は低く、現状では娯楽施設などが多くなっているため、観光地区を廃止、店舗の規制を撤廃し、工場建設も緩和するなど、現状に合った地区計画を定める。
 
 木材団地、木材加工団地は工業専用地域で、産業道路沿線を除き、工場や事務所、診療所などに限られていたが、近年木材取扱量の減少で遊休地が増えてきていることから、住宅や飲食店なども建設できる工業地域に変更。しかし両地域は、秩序ある開発のため、住宅は従業員宿舎に限り、パチンコ、麻雀といった娯楽施設は建てられないなどの地区計画を定める。
 いづろ・天文館地区は、人口減少や少子高齢化が市全体でも特に進展しているため、容積率を従来の400―600%から、さらに拡大することで、土地の高度利用による有効活用を図る。

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NO.91  2003/4/4(金) 日本経済新聞より

 新税制 こう使う(上) 個人編
 
 2003年度税制改正の関連法が成立した。個人の暮らしや企業活動にどんな影響が出るのか。動き出した新税制の主な内容をまとめる。

 【住宅ローン減税、転勤から戻れば再適用】
 
 ローンを借りて住宅を買った人が利用できる住宅ローン減税が使いやすくなる。4月からは転勤などでいったん引っ越しても、元の住居に戻って住めば再び減税を受けられるようになった。

 減税は年末の住宅ローン残高に応じて所得税を一定期間、軽減する仕組み。今年中に入居すると、十年間で最高500万円を税額控除できる。これまではローンで住宅購入後に転勤などで家族全員が引っ越すと、それ以降の減税は打ち切りだった。

 新制度では元の住宅に再入居する際に減税の適用期間が残っていれば、残り期間の減税を受けられる。再入居した年に住宅を他人に貸していると、減税の再適用は翌年以降になるので注意が必要だ。

 【生前贈与も「住宅」に照準】

 住宅購入や消費を促すため、相続税と贈与税の課税を一体にして清算する新制度もできた。「65歳以上の親」が「20歳以上の子」に生前贈与する際の贈与税の非課税枠が従来の年間110万円から、一生涯で2500万円に広がった。この非課税枠は贈与財産が上限に達するまで何度でも使え、非課税枠を越える部分への税率も一律20%で済む。今年1月以降の贈与を対象にする。相続時点では、非課税で贈与を受けた財産もまとめて相続税の課税対象とする。その代わり、過去に払った贈与税額があれば相続税額から差し引いて最終的な納税額を決める。

 住宅取得資金の贈与への優遇はさらに手厚くなる。非課税枠を1000万円上乗せし3500万円とする特例を05年末まで設け、贈与する親の年齢制限もなくした。従来の贈与税の住宅取得資金の550万円の特例非課税も経過措置として05年末まで残し、新制度との選択制になる。

 【貯蓄から投資へ、株式配当課税など軽減】

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 新税制のポイント〈個人編〉

 相続税・贈与税の一体化(1月にさかのぼり摘要)
   〇65歳以上の親から20歳以上の子への生前贈与は2500万円まで非課税。非課税枠を超える部分への税率は一律20%

   〇2005年末まで住宅取得資金の贈与の非課税枠は3500万円
   〇一般の贈与税、相続税の最高税率を70%から50%に下げ

 住宅ローン減税の再適用(4月から)
   〇転勤などで引越し、再び元の住居に戻った場合に住宅ローン減税を再適用

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