「風 を 読 む!」 経済記事スクラップブック |
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※ページ作成者 去ト立不動産 柴立俊朗
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記事―11 目 次 | |||
NO | 記事年月日 | 記 事 元 | 記 事 内 容 |
285 | 2009/12/30 | nikkei | 国の借金 |
284 | 2009/12/21 | nikkei | 日本国債いつ火を噴くか |
283 | 2009/12/19 | nikkei | 米 ゼロ金利1年 |
282 | 2009/12/12 | nikkei | 中国、通貨供給量29.7%増 |
281 | 2009/12/6 | nikkei | 中国・インドに投機資金流入 |
280 | 2009/11/25 | nikkei | 中国都市人口 5割に迫る |
279 | 2009/11/22 | nikkei | 普通国債発行 140兆円超 |
278 | 2009/11/11 | nikkei | 「国の借金」864兆円 |
277 | 2009/11/06 | nikkei | 英中銀、量的緩和を拡大 |
276 | 2009/11/01 | nikkei | 米地銀、経営難続く |
275 | 2009/10/24 | nikkei | 国債の利払い費 税収の2割超す |
274 | 2009/10/18 | nikkei | 日米欧、財政悪化の試練 |
273 | 2009/10/05 | 日経ビジネス | 「出口戦略」は失敗する |
272 | 2009/10/03 | nikkei | 外貨準備 ドル比率最低 |
271 | 2009/09/21 | nikkei | 65歳以上 2898万人 |
270 | 2009/09/15 | nikkei | リーマン・ショック1年 |
269 | 2009/09/11 | nikkei | 不動産価格 中国で上昇加速 |
268 | 2009/09/01 | nikkei | インド、6.1%成長に回復 |
267 | 2009/08/30 | nikkei | 日米、赤字神話の果てに |
266 | 2009/08/23 | nikkei | 検証・グローバル危機 大収縮 |
265 | 2009/08/13 | nikkei | 鉱工業生産 インド7.8%上昇 |
264 | 2009/08/08 | nikkei | 1993年、今年と相似? |
263 | 2009/07/29 | nikkei | 空き家率、最高の13.1% |
262 | 2009/07/20 | nikkei | 東南ア企業 対中投資拡大 |
261 | 2009/07/06 | nikkei | 対外投資の外貨規制緩和 中国 |
260 | 2009/07/06 | nikkei | 「借金」が「税収」を上回る |
259 | 2009/07/04 | nikkei | 中国、外資上場を容認へ |
258 | 2009/06/24 | nikkei | 改革後退 進路失う |
257 | 2009/06/17 | nikkei | 米金融政策 かじ取り微妙 |
256 | 2009/06/09 | nikkei | 財政再建2020年に先送り |
255 | 2009/06/06 | nikkei | 投資資金、リスク資産へ |
254 | 2009/05/31 | nikkei | 米景気、過剰債務の重荷 |
253 | 2009/05/21 | nikkei | 金の1―3月需要量 中国、世界最大に |
252 | 2009/05/16 | nikkei | ユーロ圏GDP2.5%減 |
251 | 2009/05/08 | nikkei | 欧州中銀も「量的緩和」 |
250 | 2009/05/01 | nikkei | GDP比168%に 債務残高 |
249 | 2009/04/27 | 日経ビジネス | 株価回復は一時的 |
248 | 2009/04/17 | nikkei | 40道府県で人口減 |
247 | 2009/04/11 | nikkei | 財政悪化、深刻さ増す 追加経済対策 |
246 | 2009/04/03 | nikkei | 財政出動、総額500兆円 |
245 | 2009/03/24 | nikkei | 公示地価3年ぶり下落 |
244 | 2009/03/20 | nikkei | FRB、国債3000億ドル購入 |
243 | 2009/03/10 | nikkei | 日経平均 バブル後安値 |
242 | 2009/03/04 | nikkei | 世界で100兆円に迫る |
241 | 2009/02/25 | nikkei | 米住宅価格、下げ幅最大 |
240 | 2009/02/21 | nikkei | 金の取引最高、1900兆円 |
239 | 2009/02/14 | nikkei | 長期的にはインフレ警戒 |
238 | 2009/02/07 | nikkei | 米失業率 7.6%に悪化 |
237 | 2009/01/28 | nikkei | 米住宅価格19.1%下落 |
236 | 2009/01/23 | nikkei | 米住宅着工件数、最低に |
235 | 2009/01/16 | nikkei | 欧州、0.5%利下げ |
234 | 2009/01/11 | nikkei | 国債 日米欧400兆円規模 |
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NO.285 | 2009/12/30(水) 日本経済新聞より |
国の借金 家計の貯蓄頼み 限界 負債700兆円 個人資産の7割に 政府が家計の貯蓄に頼って借金を重ねる構図に限界が見え始めた。政府の負債残高が膨張し、9月末は家計資産に対する比率は66%まで上昇した。これは過去最高の水準だ。今後も政府負債の膨張が止まらず、少子高齢化を背景に家計の貯蓄が減少に向かえば、2020年までに家計資産を逆転する可能性もある。家計の高貯蓄という日本経済の強みは薄れつつあり、財政の抜本改革が急務になっている。 財政の抜本改革 急務 政府の歳出のうち税収などで賄えない分を国債発行で穴埋めする。国債発行は1990年代以降の景気対策の財源を賄う目的で急増した。 増え続ける債務 日銀によると、9月末の長短国債の発行残高は約820兆円と過去10年で倍増。地方も含めた一般政府の純負債(負債から資産を差し引いた額、公的年金を除く)は09年度に入り初めて700兆円を突破した。 政府の巨額債務は家計が支えてきた。国債の直接保有に加え、預金や保険といった形で金融機関に集まったお金の多くが国債に流れ込んでいる。日本経済研究センターの試算では、家計の実質保有分は500兆円前後と全体の6割を占める。 だが、「元手」である家計の資産は伸び悩み、国債の買い余力が衰え始めた。資産から負債を差し引いた純資産は1065兆円。金融危機後の株安もあって頭打ちが鮮明だ。政府負債の家計資産に対する比率は65.7%と記録の残る80年度以降で最大を記録した。 国債通貨基金(IMF)は日本の政府債務の拡大が続き、国内総生産(GDP)に対する比率は07年の188%から14年には246%に上昇し、米国(108%)の2倍以上になると予測する。 一方、少子高齢化で家計の貯蓄率は07年度に過去最低の1.7%まで低下。「3〜5年後にはマイナスに転じる」との見方もある。政府債務が過去3年間平均のペースで増え続けると仮定すると、家計の純資産が横ばいとしても20年ころには「買い余力」はなくなる計算になる。 内需主導は困難 政府は10年度予算案で税収を上回る約44兆円の国債発行を盛り込んだ。ニッセイ基礎研究所の櫨浩一経済調査部長は「貯蓄率がマイナスになれば、海外からの投資増が必要になる。財政規律がより求められる」と語る。 民主党政権は子供手当て支給など家計支援を打ち出したが、財政赤字の膨張が続くと将来不安からかえって消費が低迷しかねない。財政をテコに内需主導型の経済をめざす政策には限界がある。一方で、「今のまま財政健全化を急ぐとデフレが加速しかねない」(JPモルガン証券の菅野雅明チーフエコノミスト)というジレンマも抱える 少子高齢化は国内消費の縮小ももたらす。日銀の白川方明総裁は24日の講演で「世界経済の成長の果実を取り込むため、企業努力が最大限発揮される制度見直しが欠かせない」と訴えた。企業の国際競争力を高める政策が求められそうだ。 |
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(柴立の独り言) ジパングはジレンマに陥っている。ワナにはまっている 打開策はあるのだろうか、そして打ち出せるのだろうか 仮定として、今、もし財政が健全であったなら・・・ 加えて1500兆円といわれる金融資産が自由に使えるものだとしたら・・・ と考えずにはおれない。 財政規律の重要性が問われ始めてきた。 早急に健全化の模索をしていくことになるや!否や! 国民みんなの責任において、打開策を見出し得るのだろうか。 今後の経済を占う重要なポイントである。ターニングポイントになるか? 諸外国から“衰退国”とみなされ始めた現実があるという 過去、幾多の試練を乗り越えてきたジパング!本当の英知の示しどころにきた。 大和魂があるとすれば、その発揮のしどころに来ている。 もう逃れられない所まで来てしまっている。 とりあえずは、国民一人一人が真剣に認識するや否や に掛かっていると見る!全体共同責任で・・・ 次世代への贈り物、それは決して負債であってはならない。 少なくともゼロにする要あり |
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NO.284 | 2009/12/21(月) 日本経済新聞より |
“核心” 論説委員長 平田育夫 日本国債いつ火を噴くか 成長と財政の未来図がカギ 「大蔵省はオオカミ少年だ」という声は30年ほど前からあった。 やがて財政は破綻し金利が上がる。そう官僚たちが言い続けても危機は来なかった。人々は安心し警告に耳を貸さなくなった。 この安心感が危機を引き寄せたのだろうか。ここへきて経済の専門家は先行きを本気で心配し、国債市場も反応し始めた。鳩山政権下の財政規律は読めないし、経済成長率や貯蓄率の低下、人口減など環境はすべて悪い方向に転じた。 いまや問題は、どのくらい凶暴なオオカミがいつ、やってくるかである。 財政赤字の拡大から国債が格下げされたギリシャや格下げ懸念のあるスペインで最近、外国資本が国債から逃げ出し、長期金利の上昇を招いている。 日本は外貨建ての国債を出していないし、国債の93%は国内の金融機関や個人が持つ。だから両国のようにはならない、というのが常識的な見方だ。その日本も国際的な投機と無縁ではないことを物語る動きがこの秋にあった。 「新政権はバラマキ」との見方から10月、国債利回りが上がり始めると、それに乗じて外国人投資家が長期国債先物を売り、金利上昇に拍車をかけたのだ。 「海外のヘッジファンドは日本を“新衰退国”とみて、先物売りなど国債を持たなくてもできる方法で利益を上げる機会をうかがっている」と国際金融コンサルタントの草野豊巳氏。今は中東の信用不安などから日本国債に資金が戻っているが、気になる動きだ。 日本が衰退国かどうかはともかく、国内だけで国債を消化できなくなる日が近づいているのは事実。 個人の金融資産は、個人負債を除き1065兆円。一方、国と地方の長期債務残高は825兆円で今後も増える。2010年代中には個人資産を全部当てても公債を買い切れなくなる。 また家計貯蓄率は1990年代末まで10%を超えていたが、07年には2.2%にまで下がった。貯金を取り崩し生活費に当てる高齢者の割合が増えたからだ。 金融市場は変化を先取りする。後藤康雄三菱総合研究所主席研究員は「国債金利は早ければ11年度に上がり始める」とみている。 その金利上昇を抑える直接の手立ては国債を外国人投資家に売るか、日本銀行による購入を増やすかだ。 格付け会社ムーディーズで日本国債担当のT・バーン氏は「外国投資家はリスクをとることにどん欲であるなど日本と異なるので、その保有比率が余りにも急激に高まると日本にとって不安定性が増す恐れがある」と警告する。 日銀の国債買い入れ拡大ももろ刃の剣。これまでの買い入れ拡大は金利上昇を抑えるのに役立ったという見方もある。だが、やり過ぎれば制御不能のインフレや金利上昇を招く。 戦前、高橋是清蔵相は日本銀行による国債引受けを開始。これが戦時中、戦費調達に利用されてマネーが世にあふれ、卸売物価は1944年からの6年間で124倍に高騰した。 日銀による国債購入の金額しだいでは再びインフレも起こりうる。デフレのご時世に結構なことと思いがちだが、物価は上がり始めると管理しにくい。また日銀の本格出動で「財政膨張に歯止めがきかなくなる」と市場が判断すれば、国債金利は高騰するだろう。 今年1.2%台の10年物国債利回りが米国と同じ3.6%になるとしよう。国の利払い費は新規国債を出さなくても7〜8年後には約12兆円膨らむ。今年度の消費税9.4兆円を上回る額で、財政をさらに悪化させ後世代の負担を増やす。金利の上昇は設備投資を冷やすなど経済への打撃も大きなものになる。 米国の連邦準備理事会(FRB)は金融危機対策として国債買い入れを決めたが、10月で打ち切った。やはり財政危機を回避するための本道は財政の健全化と、経済成長を促す政策を進めることである。 「財政健全化の計画とセットでなら、日銀による国債購入の増額もやむをえない」と土居丈朗慶大教授は早めの健全化計画を促す。 当面の不況対策として財政を活用するのは仕方がないとしても、中長期的な対応で政府の動きは鈍い。財政健全化計画は「来年前半」に先送りした。成長戦略も福祉充実などによる内需振興が大きな柱になる見通しだ。こうした姿勢に市場がどう反応するか・・・。 スウェーデンでは90年にバブルが崩壊し、福祉政策に加え金融機関救済で財政が悪化した。同国最大の保険会社スカンディアは「政治家が財政赤字の削減に取り組むまで国債を買わない」と宣言。長期金利の高騰に見舞われ、政府は財政改革に真剣に取り組んだ。 スカンディアの国債不買などのおかげで、かろうじて破綻を回避したわけだ。 日本はどうか。独断で将来を予想してみたい。 財政再建は進まず歳出の半分程度を国債に頼り続ける。日銀は大幅な国債購入に乗り出す。インフレ懸念や財政悪化懸念が高まり、長期金利も急騰する。その惨劇の幕が上がるのはズバリ来年。財政運営への不信感がきっかけになる――― 財政赤字を減らせないなら、インフレという、形を変えた増税によって政府の債務を実質的に減らすしかない。それは世界の歴史が教えるところである。 |
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(柴立の独り言) この“核心”のコラムに書かれている論調は同感なところが多く、その通りになるであろうことを予測もしているところではある。有り難くない予測で面白くはないが、実際にアパート投資活動をし始めている自分にとっては、非常に示唆に富む改めて驚きの論調である。結果、逆にチャンスと捉えられることもないわけではない・・・時の流れに任せるしかないのだが、対策をしっかり立てておくべきだろう。 この論調によって全国民が危機感を持ち、財政健全化に取り組むことになれば、大混乱に陥ることなく、まだ救われるのだと思う。ここまで至ってしまっている財政健全化は非常に厳しいものであることも事実。 現在、852兆円!まだまだ増える方向にある。 ここまでなるまでに手は打てたのに実行しなかった・・・ 実際は、もう手遅れなのかもしれない。 高齢化、少子化、人口減少に突入し、産業空洞化に重ねてデフレが襲ってきた。 健全化にむけての環境はたいへん悪化しているところだ・・・ 財政健全化に向けての国民の意識は無頓着に見えるところで、改まって政治家の強い健全化計画の表明もない。それどころか大衆迎合主義で「増税は先送り!」と平然として表明している。あたかも増税しないことが正しいかのような言い振りである。成長戦略もあるわけではないし成長戦略が掲げれるほど甘くない情勢でもある。リーダーシップも見えない。・・・・・ 科学技術や先端技術や教育水準の高さは評価するとしても、どうなるのこのジパング! こんな情勢の中で本当に財政健全化が可能なのだろうかと言いたいが・・・。 皆さんどう思われますか? 手遅れ?・・・だとしたら・・・・どうなるの・・・・ 「財政赤字の負担は後世代が負担することになる!」とよく言われるが果たしてそうだろうか。 852兆円、今後増えて増えて1000〜1500兆円超の財政赤字の負担は本当に後世代で負担することになるのでしょうか。 自分にはそうは思えなくなって来た。 借金は私たち自分たちで負担して処理して(理想はゼロ乃至は積立金)おかなければならないはずだし、それが未来の子供たちへの責務ではないのだろうか。 自らの国民の強い意思でそれが出来なければ・・・ この論調の後段に述べられているようにインフレという超負担を強いられることになる。 誰の責任でもない、今の国民全員で負担させられる共同全体責任のときが来る。 遠からず・・・・。 経済という怪物!この自然(数字)の摂理現象に抗うことはできないことは今の金融危機で証明済み! @自分たちの意思と責任でこの借財を返済するか、 A若しくは破綻の憂き目に会い、経済の自然現象という超ハイパーインフレの世界に突入させるがままに任せて、苦しみもがきあえぎながらご破算で願いましては・・・ということになるか・・・2者択一に見えてきて仕様がない。Bあるいは第3の解決策が見つけれるのか(ハイパー成長という選択肢もあるが・・・・これも相当な努力が要) いずれの道も険しいものが待ち受けていることは間違いない。覚悟要!。 Aの道に進んだ場合、 個人も企業も公共団体も国も・・・・対策は? なかんずく自分個人の対策は?・・・・ 万国共通!の真理がある! お金(紙幣)は紙切れという事実。そして数字という事実。 ITが進化して、グローバル経済という現実。 考えなければならないことはすこぶる多い!・・・ 今、自分たちはダイナミックな時代に生きているのだろう。 |
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NO.283 | 2009/12/19(土) 日本経済新聞より |
米 ゼロ金利1年 超金融緩和の功罪 信用収縮なお根深く 資産価格下落で不良債権膨らむ 銀行融資伸びず 「おかしい。何が起こっているんだ」。米サウスカロライナ州で家具の製造・販売を営む男性は米連邦準備理事会(FRB)のゼロ金利政策に不信感を募らせる。運転資金の借り入れに使う法人向けクレジットカードの金利が立て続けに2度も引きあげられ、年22.7%に達したからだ。 カードだけではない。消費者ローンや自動車ローン、高額物件向け住宅ローンなど民間で決まるローンの金利は一部で上昇したり、低下しても下げが小幅にとどまったりしている。 FRBが事実上のゼロ金利に踏み込んで1年。銀行が資金をやり取りするフェデラルファンド(FF)金利は翌日物で0.1%強で推移し、FRBの狙い通りの水準に抑えこまれている。だが、超金融緩和の効果はFRBが直接介入する銀行間取引など「庭先」にしか及んでいない。 データが政策の限界を裏付ける。FRBが供給する通貨量を示す米国のマネタリーベースは、ゼロ金利に移行した昨年12月半ばに比べ足元で約25%増えた。国債や住宅ローン担保証券(RMBS)を買い切る「量的緩和」で資金供給を増やした結果、金融市場にマネーがあふれているのは事実だ。 一方、融資など金融機関から供給される通貨量を表すマネーストックは同期間に約3%増とほぼ横ばい。危機で深い傷を負った銀行などの信用仲介機能が弱ったままで、金融緩和の効果を減殺していることを映し出す。米銀の貸出残高はこの1年間で約5300億j減り、景気回復の足を引っ張っている。 根底にあるのは資産価格の下落と不良債権問題の連鎖だ。 今月8日、資金難に陥っているドバイ首長国系の投資会社が競売にかけたニューヨークの高級ホテルは、経営権部分が3年前より96%も安い値段で落札された。ホテルやオフィスビルなど商業不動産の価値の劣化に歯止めがかからない。 地銀など米金融機関は今年、133社が破綻した。商業用不動産向けローンの焦げ付きが増えているのが主因だ。FRBの統計によると、同ローンの延滞率は7〜9月期に8.74%と1993年以来の高水準に達した。米連邦預金保険公社(FDIC)は米金融機関の破綻予備軍が500社を超すと警告する。 不動産の値下がりが金融機関の経営を直撃し、マネーの目詰まりが続く。1990年代、バブル崩壊後の日本の光景が米国で再現している。 米債券運用大手ピコムのグロス最高投資責任者は「成長率が充分に高まるまでFRBは金融緩和を続けるはずだ」とみる。一方で大量のマネーが貸し出しに回らず、米国債などに滞留。短期国債の利回りが一時マイナス圏に沈むなど市場のひずみも目立ってきた。 バーナンキFRB議長は超低金利の長期化を示唆する。信用収縮が続くうちはゼロ金利をj解除する展望は開けない。 (ニューヨーク=山下茂行) |
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(柴立の独り言) 正に金融機関を助けている構図はかつての日本の構図と全く同じだろう。 現代の経済社会が金融機関まみれである限り、金融危機で社会に衝撃を与えてはいけないとの大義名分が今後も引き続くなら、金融機関はどんなこと(モラルハザートや悪事も含めて)をしても、どんな状況になっても最終的には救われる、救わざるを得ないと言う不思議な安全な世界でもあると言うこと。ひがみっぽい言い回しになっているが現実の世界! 預金者は超低金利に甘んじることになった。 米国の債券バブルがはじけ、ベアー・スターンズが破綻し銀行に買収されておよそ2年、リーマンブラザーズの破綻からおよそ1年半が過ぎた。その間におびただしい資金の供給が行われた。にもかかわらず住宅不動産価格の下落が起こり、今又、商業用不動産価格の下落は止まっていないと言う。銀行は不良債権の山を抱えているところであり、新規融資どころではなく破綻の危機が忍び寄る銀行が後を断たない状況!真の経済活性化はしばらく後になるのであろう。米国にとっても、あるいは長〜い経済停滞になるのかもしれません。 バブルの後遺症は大きいものなのだろう。デフレを経験することになる。今の日本のように。 |
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NO.282 | 2009/12/12(土) 日本経済新聞より |
中国、通貨供給量29.7%増 11月末 最高を更新 【北京=高橋哲史】 中国人民銀行(中央銀行)は11日、11月末の通貨供給量(マネーサプライ)が前年同期比29.7%増になったと発表した。伸び率は10月末の29.4%を上回り、月ごとの統計データをさかのぼれる1999年以降の最高を更新した。金融機関による11月末の人民元建て融資残高の前月末比の増加額は2,984億元。1〜11月の累計は9兆2100億元に達し、政府の2009年通年の目標である「5兆元以上」を既に大きく上回っている。 |
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(柴立の独り言) 通貨供給量の増加は物の生産増と同等比率ならなんら問題は起こらないところであろうが、実際はどうなのだろうか。小さな個別の経済ならともかくも、大きな経済器の世界で物が一挙に29.7%も増えることはない筈である。とすれば潤沢に供給されている資金はやはり、かねて言われている通り、株式や不動産に向かっていることはうなずける。中国の4兆元に上る緊急経済対策に加えて円やドルなどの超低金利を活用したキャリー取引での資金が元に換えられて流通しているところであろう。中国は自国の輸出を維持するために安くなったドルに連動した為替政策を維持しており、元高防止対策上の為替取引での元資金供給量も止まるところを知らないと言うことなのか。いつまで元高対応策を続けられるのかも見ておかないといけない。 それにしても羨ましい限りの通貨供給量ではある。バブルでなければよいのだが・・・。 中国が成長著しいパワーを本格的に発揮し始めたその一端と言えないでもない・・・ |
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NO.281 | 2009/12/6(日) 日本経済新聞より |
中国・インドに投機資金流入 株式・不動産価格が高騰 「キャリー取引」目立つ バブル懸念も 【香港=吉田渉】 中国など東南アジアやインドへの投資資金の流入が続き、株式や不動産相場が高騰している。成長への期待が背景にあるが、超低金利の米ドルを使った投機も目立つ。「東アジアでバブル懸念がある」(世界銀行)との観測も台頭した。中国で5日に開幕した共産党・政府が来年の経済運営を議論する「中央経済工作会議」でも資産インフレ抑制策が大きな議題となる見通しだ。 投資資金流入は今春から本格化。アラブ首長国連邦(UAE)ドバイ首長国の信用不安を受けて一時的にアジア投資縮小の動きがあったが、株価や不動産相場は再び上昇基調を取り戻している。 中国の代表的な株価指数、上海総合指数はドバイ信用不安が表面化した翌営業日に当たる11月30日から再上昇を始め、4日までに7%強値上がりした。年初来でも8割以上上昇しており、伸び率は日米欧を大きく上回る。住宅価格も上昇を強め、北京市の10月の住宅成約価格は9月に比べて10%強も上昇した。 中国は厳しい為替管理で海外からの投資を制限しているが、「熱戦(ホットマネー)」と呼ばれる海外投機資金が、規制をかいくぐって流入していると見られている。株式市場でも貿易決済を装って入ってきた資金を使った投資などがかねて指摘されている。 中国人民銀行(中央銀行)は人民元高を防ぐため元売り介入を繰り返しており、膨らんだ過剰流動性が資産価格の上昇を招く悪循環が続く。 投資資金の流入はアジア他地域にも拡大。株価は今春以降急上昇を続ける。夏以降は不動産相場も急激に値上りを始め、香港では高級住宅価格が年初から4割近く上昇した。 香港の銀行筋は「米欧の短期資金が中国・アジアへの投資を急拡大している」と話す。低金利のドルを借りて金利が高い金融商品に投資する「ドルキャリー取引」を使い、米欧に比べて利回りがよいアジアに資金を移しているもようだ。 香港の曽蔭権(ドナルド・ツァン)行政長官は米国を念頭に「ゼロ金利がもたらすキャリー取引がアジアの資産バブルを招く恐れがある」と警鐘を鳴らす。中国の劉明康・銀行業監督管理委員会主席も11月半ば、「ドル安と米の超低金利政策が株式や不動産市場で投機的な行為を助長し、世界経済、特に新興国経済の回復に新たなリスクを形成している」と指摘した。 台湾が外国人による定期預金預け入れ規制などを導入するなど、一部の国・地域は投資資金の過度な流入を防ぐ方策の検討を始めた。だが行き過ぎた規制は投機性の薄い長期的な投資の流出を招く恐れもある。 |
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(柴立の独り言) 米国で起こった詐欺的債券金融バブルが、サブプライムローン破綻問題を発端として、もろくも崩れ去り、結果、今の世界的金融危機を招いたものであったはず、その後始末に世界各国で財政を犠牲にした前例のない夥しい大量の資金が投入されて、併せて超低金利も導入されて、ようやく金融危機を乗り越えたかに見えるところである。大変な犠牲が払われているところだが・・・。 懲りない面々・・・とでも言おうか、厚かましくも、今度は真に成長してきた新興国を舞台に、超低金利を悪活用した相変わらずの金融機関の跋扈は続いている模様である。マネーの本質は利の有るところに移ることである。バブルを引き起こして利益を上げようと画策するのはマネーの本質を知り尽くしている人々。人そのものである。人に規制を加えるのは無理としても、マネーの動きに規制がなかったらどうなるか、再び、いわずと知れた結果が待ち受けることになる。 マネー規制は働かないのだろうか。 グローバル経済とはいえ、金融が余りにも跋扈しすぎる世界になってしまってはいないだろうか。 不動産投資(アパート経営)を生業とする限りにおいては・・・バブルは経営を左右する現象。 経済政策、中でも金融政策をいつもつぶさに研究して、様々な現象に対処できるようにしておかないといけないと思われる。 バブルは再び起こる、起こるべくして起こると言うことか・・・・ 今の金融情勢が続く限りにおいては、世界各地であるいは資源を含めてバブルは連続的に起こるのではないのだろうか。要注意・・・。 |
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NO.280 | 2009/11/25(水) 日本経済新聞より |
中国都市人口 5割に迫る 来年、政府予測 消費拡大 後押し 【北京=高橋哲史】 中国の都市化が急ピッチで進んでいる。中国政府の最新の予測では、2010年の総人口に占める都市人口の割合は47.7%に達し、農村人口とほぼ肩を並べる。都市化の進展は住宅など不動産価格を押し上げるほか、所得の拡大で個人消費を底上げする効果が期待できる。ただ生活インフラの整備が追いついておらず。都市問題が一段と深刻化する恐れもある。 中国政府が実施した国勢調査によると、08年末の総人口は13億2802万人。うち都市で生活する人は6億667万人、農村住民は7億2135万人で、都市人口の比率は45.7%だった。09年以降も都市への人口流入は続いており、都市人口比率は5割に迫っている。10年代前半にも都市の人口が農村を上回る公算が大きい。 1949年の建国当時、総人口の9割は農民だった。都市化が進み始めたのは78年に改革開放へ舵を切ってから。特に90年代以降、急速な経済発展を背景に農村から都市への人口移転が加速し、都市人口の比率は08年までの20年間で約20%も上昇した。 日米欧など先進国では都市人口の比率が8割程度に達しており、中国でも都市化がさらに進む余地は大きいとの見方が多い。都市への人口流入が続けば住宅やオフィスの需要が膨らむため、不動産価格の上昇期待が高まっている。 今月20日の北京市の土地使用権を巡る競売で、北京首都空港のそばに位置する住宅地が建築面積1u当たり約3万元(約40万円)で落札された。落札価格は北京市内で過去最高と見られる。昨年秋からの金融緩和で中国の不動産市場にはバブル懸念もくすぶるが「都市化の加速が価格を押し上げている面も大きい」(中国信達資産管理公使の沈洪溥研究員)との指摘は多い。 都市化は個人消費の拡大を後押しすると言う見方もある。08年の都市住民の収入は農村住民の3.3倍で「中国の都市住民は農村住民の3倍消費しており、都市住民が増えればそれだか消費が拡大する」(政府関係者)。ただ、急速な都市化はインフラ不足など負の面も露呈。都市部の下水処理率(08年)は57.4%にすぎない。中国政府は4兆元の景気刺激策で都市部のインフラ整備を重点項目に掲げる一方、農村部の生活水準の向上も目指している。都市部への過剰な人口流入は都市問題の深刻化などにつながりかねないだけに、中国政府は均衡の取れた経済発展に腐心している。 |
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(柴立の独り言) 13億人の中国が都市化の進展などに見られるように、日本に追いつけ追い越せの勢いで動き出したと見てよい。日本の10倍の13億人が一斉に動き出したと言うことだろう。政治、経済、文化など各方面での行動力や、生産力や消費力など様々のパワーはいかなるものだろうか、空恐ろしい勢いで世界中にそして日本にも迫ってくることだろう。自分たちの活きる術も中国の中に取り込まれていくのかもしれない。そんな勢いであろう。なかんずく大量消費に備えての資源争奪はこれからが本番なのだろう。 中国のはるか先を進んでいたと見られていた日本の経済力(GDP)を今年は追い抜いていくと言われる。国民1人当たりの生産力や国民所得もいずれ同等になるところまではそんなに時間を要しないのではないだろうか。そのとき中国は日本の13倍の経済力を持つことは明らかだ、いや20倍30倍の威力を発揮するのだろう。今のままの日本ではいずれ遠からず中国に虐げられる運命にある。そうならないための努力は欠かせない。それにしても中国には勢いが付いてきた。一昨年はオリンピックを成功させ、今年は上海万博を開催する。 日本が昨今経済の面で長期停滞やデフレ傾向にあるのも、グローバル化経済での一面が出てきていることでもある。経済の平準化の原則が有るとすれば当然と言えば当然でもある訳だ。要はどのように対処して乗り越え、先を行く努力をできるかが問われてきているのだろう。うかうかしているといずれ出し抜かれる運命なのだ。本質はコスト高ということ。究極と言われるほどの合理化と効率化を成し遂げて生産性を高め、追随を許さないと言う努力と覚悟が求められるところである。 ジパングの人々全体にその心構えが充分に備わっているのだろうか。 |
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NO.279 | 2009/11/22(日) 日本経済新聞より |
普通国債発行 140兆円超 新規・借換債 来年度計画 最大に 政府が12月下旬にまとめる2010年度の国債発行計画で、新規国債と借換債を合わせた普通国債の発行額が初めて140兆円超となり、過去最大を更新する見通しであることが明らかになった。これまで発行した国債の返済に充てる借換債が100兆円規模に上り、新規国債も44兆円規模と当初予算ベースで過去最大の見通しとなるためだ。 普通国債は借換債と新規国債を合わせたもので、利払いや償還財源を主に税財源で賄う。10年度の普通国債発行額は09年度の当初予算ベースに比べて20兆円前後増え、これまで最大だった06年度の約138兆円を上回る公算が大きい。 借換債は、09年度の約91兆円から100兆円前後まで増える。1998年に小渕恵三内閣が27兆円規模の超大型景気対策を実行して以来、大規模な新規国債発行が常態化している。借換債は6年連続で90兆円超の高水準となるのが確実だ。09年度や10年度の新規国債発行で償還期間が1年以下の短期国債が増えれば、借換債は過去最大だった06年度の108兆円や、05年度の約104兆円に迫ることも否定できない。 新規国債は鳩山由紀夫首相が44兆円以下に抑えると表明している。ただ税収は大幅な落ち込みが不可避で、44兆円規模を上回る可能性もある。国債市場への影響を懸念する声も出ている。 財投債も合わせた国債発行総額は、05年の約165兆円が過去最大となる。10年度の財投債発行額は10兆円前後の見通しで、当初予算ベースで国債発行総額は過去最大にはならないとみられる。 |
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(柴立の独り言) いまや政府が借金することは通常のこと・・・、ごく普通のこと・・・、当たり前のこと・・・、そんな感覚になってしまってはいないだろうか。 国債発行=政府の借金=国の借金=国民の借金=国民一人当たり600万円超。と聞く 生まれたての赤ちゃんを含めた1人あたりである。家族5人いれば3000万円、謂れのない借金と言いたいところでもある。しかし、現実!しかも人口は減り始めている。 借金に慣れてきたジパング! 感覚的に理解できないほどの借金額、想像を絶する借金に国民の一人一人も感覚が麻痺しているとしか思えない無関心さ。返さなければならないものとは深くは考えていないのかもしれない。・・・とすれば返さない!、返す意思のない!借金とも言える。・・・・この世に返済しなくてよい借金があるのだろうかと言いたいところでもある。返さなければどんな運命が待ち受けているのか、良く研究してみるに越したことはない。 恐ろしいほどの借金にもかかわらず、今のところ何も不都合なことは一切起こってはいない。 大変なことになると声高らかに警告する人も少ない。このまま続けばどんな結末になるかを論じる風潮も聞かない。・・・・一体全体どうなっているのだろう、ジパング! どうなるのだろう、ジパング! どなたか、このまま借金が増え続ければどうなるのか明確な回答をお持ちの方にめぐり合いたいものだ。自分で研究するしかないのだろうか。 「自己防衛力を備えていないジパング!」「経済的に衰退するジパング!」「財政の破綻が見えてくるジパング!」「安心しておれないジパング」に住んでいる。自分・・・ これは杞憂なのか?・・・ |
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NO.278 | 2009/11/11(水) 日本経済新聞より |
「国の借金」864兆円 9月末 最大額更新、1人678万円 財務相は10日、国債と借入金、政府短期証券を合計した「国の借金」の総額が9月末時点で864兆5226億円に達したと発表した。6月末に比べ4兆2669億円増え、過去最大額を更新した。10月1日時点の推計人口(概算値)の1億2756万人で計算すると、一人当たりの借金は約678万円となった。 国の借金残高は年度末にかけてさらに増加が続く見通しで、来年3月末までに普通国債だけで約29兆円増える見込み。政府は2009年度の税収の落ち込みを赤字国債の増発で賄う方針で、さらに兆円規模で増える。 国の借金残高は四半期ごとに財務省が公表している。借金残高が過去最大を更新した主因は、麻生政権が09年度第一次補正予算に盛り込んだ経済危機対策の財源を賄うための普通国債の増発で、約8兆8000億円増の563兆2530億円となった。 企業の資金繰り支援を手掛ける日本政策投資銀行の財務基盤を強化するため、7月に同行に対して1兆3500億円の交付国債を発行したのも増加要因となった。一方、一時的な資金不足を補う政府短期証券は約5兆1000億円減の114兆208億円となった。税収減に対応するため4〜6月に増発した分の償還が相次いだため。 国の借金残高は6月末に1年3ヶ月ぶりに過去最大を更新していた。昨秋に金融危機が深刻化して以降、政府が財政出動を打ち出したため、増加傾向をたどっている。 |
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(柴立の独り言) 国の借金増加はすでに幾度も幾度も繰り返し記事にされてきた。しかし、その借金の重大さや、危険性や破綻の恐れなどを真剣に記事にしているものにめぐり合えないでいる。国が破綻したらどんな経済現象が起こるのか具体的な話は聞いた事がない。日本には1500兆円の金融資産があるから大丈夫だ・・・とか、国を成長路線にもって行けば借金は返せる・・・と言う論理で「何とかなるさ」と思ってはいないだろうか。何よりも国民が無関心なのかもしれないし、記事にしている当の記者も真剣に国の借金に向き合ってはいないのではないだろうか。「まさか日本が破綻するはずがない!・・・」と・・・ 一部のエコノミスト氏が“国の借金を減らずべきだ”と真剣に語ってはいるが・・・ 大方の国民や政治家、官僚、経済人、学者や知識人、その大方が無関心なのではないだろうか。もしそうだとしたら、空恐ろしいことではある。「借金は将来の国民が返済させられることになり、将来の国民は大変なことになる・・・」とは理解してはいる。とは言いながら借金の増加を止められないでいる。止められないどころか、むしろ借金を増やしている。借金を増やす政策しかできないでいるし国民も国の借金政策を期待している風だ。こんな風でいいのだろうか。これは正に無責任そのものではないだろうか。借金は返さなければならないもの、借金はない方がよい・・・はずだ。でも、864兆円。もし今この時点で、借金がなければ・・・・と考えずにはおれないのだが・・・。国民に借金の自覚がない・・・とすれば。返済の意思もないということ・・・。借金の自覚がなく、返済の意思もなければ、借金は増え続ける。やがて2000兆円にもなるだろうと自分が予測しているのは正にそのことである。国民の無関心さや無責任さが2000兆円の借金を作り出させるのだと思う。しかし無限に借金を増やせるわけではない。2000兆円になる前にでも経済の原理が働くことになるのではないか。いずれどこかの時点で経済原理が働くことになる。借金は無限に増やせるわけではないはずだ。そのことに国民が早く気付けばいいのだが・・・と、願わずにはおれない。将来と思っていることが近い将来と言うことにならないか・・・自分たちが造った借金は自分たちで処理させられると言う経済原理が働くことになると思われるが・・・。近い将来に破綻処理が始まることになる。それが経済原理に基づく経済現象。 決して杞憂ではないと思うのだが・・・ 対応策は充分に練り上げておくことだ。いずれにしても国民全体で運命を共にすることになる。付き合うことになる。破綻を避けるためには国民一人一人が何十年も頑張って借金を返済するか?あるいはこのまま経済の自然現象にもとずいた破綻処理を受け入れるか・・・か?。いずれの道も険しい道のりではある。もう避けられないはずだが・・・自覚が要・・・ 政権は変わったが・・・国民の意識まで変わるのだろうか? 何か心もとない心境だ。JAPANどうなる。 |
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NO.277 | 2009/11/06(金) 日本経済新聞より |
英中銀、量的緩和を拡大 3兆7000億円増やし計30兆円 政策金利は据え置き 【ロンドン=吉田ありさ】 イングランド銀行(英中銀)は5日金融政策委員会で、量的金融緩和策を250億ポンド(3兆7000億円)拡大し、2000億ポンド(30兆円)とすることを決めた、政策金利は過去最低である現行の0.5%に据え置く。経済に占める金融部門の比重が大きい英国では、世界的な金融危機の打撃が長期化し、独仏など他の欧州主要国と比べ、景気回復が遅れている。英中銀は異例の金融緩和姿勢で景気下支えを続ける。 景気回復「速度遅い」 量的金融緩和策は英国債などを買い取り市場に出回るお金を増やす措置。今回の拡大で英国の量的緩和の規模は2008年の名目国内総生産(GDP)の約14%に達する。追加分の資産買い取りは今後3ヶ月で実施する。 英中銀は英景気の現状について「政策効果などが下支えする一方、銀行の不良債権処理に伴う信用収縮で消費抑制が続く」と分析。量的緩和拡大の理由を「(消費などの)需要が(企業などの)供給を下回る状態が続き、景気の回復スピードが遅い」と説明した。最近発表された経済指標が企業に景況感の改善を示していることから、量的緩和で景気回復を後押しする。 英国は7〜9月期の実質GDP伸び率が前期比マイナス0.4%と6四半期連続でマイナスとなり、第2次世界大戦後で最長の景気後退となった。 英中銀は量的緩和を3月に750億ポンドの計画で始め、拡大するのは今回で3回目。景気好転で金利引き上げん転じたオーストラリアやノルウェーなどとは対照的に、英国の超金融緩和は長期化する。 金融市場では「3ヵ月後に英中銀は再び量的緩和を拡大する」との見方が多い。著名エコノミストのロジャー・ブートル氏は「景気回復が確実になるまで英中銀は量的緩和を拡大すべきだ」と指摘している。 FRB 景気下支え姿勢 鮮明 ゼロ金利を継続 政府と足並み 【ワシントン=御調昌邦】 米国の中央銀行にあたる米連邦準備理事会(FRB)は、失業率が依然として上昇傾向にある中、金融政策で景気を下支えしていく姿勢を鮮明にしている。政府は雇用を増やすため、経済成長を促進する政策を重視しており、FRBも足並みをそろえた格好だ。 FRBは4日米連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利を年0〜0.25%に据え置くと決定するとともに、今後も異例の低金利を維持する方針を明示。事実上のゼロ金利を継続する。 市場ではFOMC後の声明に「長期間にわたって異例の低金利を続けるとの文言を変更するのではないか」との事前観測が浮上したが、結果はこれまでの表現を踏襲。景気底入れ後も、当面は政策金利の引き上げに動かないとのメッセージが込められているもようだ。 超低金利政策を継続する方針を明らかにし、市場関係者や企業などに安心感を与えるとともに、長期金利を低位で安定させる狙いがある。 米政府は來年にかけて総額7800億ドル(約70兆6000億円)の景気対策を実施中。当初は大手金融機関の救済などのに取り組んだが、景気底入れを受け、現在は雇用対策を柱に据えつつある。 |
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(柴立の独り言) 米国のバブル崩壊によるサブプライムローン債務不履行問題がきっかけとなった世界的金融危機の発生に対して、日米欧の先進国を中心とした、前例のない、同時超低金利政策、及び超金融緩和策は、まだ止められないでいる。英国では拡大して行くという事態。 世界的バブル崩壊の処理に超低金利や超金融緩和策というバブル政策で対応しなければならないと言うことも、なんとも面白い。不思議な経済政策ではある。バブルはバブルで解決する・・・と言うことか・・・ 4兆元(約56兆円)に及ぶ景気対策中の中国ではバブルの兆候も見られるとのことで、同じことがいつ世界中で発生しないとも限らない・・・。 世界中で、これだけのことをしておいて、果たして、「出口政策」とやらはうまくいくのだろうか。 JAPANの財政赤字は900兆円弱、やがて2000兆円にも届くことだろう事も見えてきた。 JAPANの財政破綻は秒読みの段階といえるぐらい確実と見える。 自分の対策は万全だろうか。 収益性の高い不動産には大いに投資してよいと思われる。 福岡への投資構想は現実味を帯びてきた。 |
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NO.276 | 2009/11/01(日) 日本経済新聞より |
米地銀、経営難続く 上位10行 7行が最終損益悪化(7〜9月) 【ニューヨーク=財満大介】 米国の地域金融機関の経営難が続いている。7〜9月期決算は総資産額で上位の地方銀行10行のうち7行の最終損益が前年同期より悪化した。商業用不動産の市場の冷え込みで不良債権が増大。証券業務を強みとする大手金融機関との格差が開いている。急増する経営破たんも含めて地域金融の不振は主力の取引先である中小企業の資金繰りや雇用を厳しくする。米景気の本格回復を阻む要因にもなりそうだ。 商業用不動産低迷 不良債権が増大 中小の資金繰り圧迫 大手地銀10行のうち7〜9月期の最終損益は5行が赤字で、2行が減益となった。増益はUSバンコープ(ミネソタ州)など3行だけだった。業績の急回復に成功したゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースなど大手と異なり、地銀の経営は金融危機のころよりも悪化している。 違いは証券部門の有無だ。大手が実体経済に先行して回復する証券市場で稼いだのに比べ、地銀の大半は融資に集中。景気低迷に伴い不良債権が膨らむ。「(融資専門の)伝統的な銀行ほど厳しい」(サントラストのジェームス・ウェルズ最高経営責任者)という。 商業用不動産ローンにのめり込んだことも痛手となっている。リージョンズ(アラバマ州)は同ローンが融資全体の約4割を占める。同ローンは1件ごとの金額が大きく巨額の不良債権の発生につながるのも特徴だ。 商業用不動産市場の悪化は深刻だ。企業の人員削減でオフィスビルの利用が低迷。家計は消費を切りつめ、ショッピングモールの客足は落ち込みが続く。このため賃料収入が上がらず、物件を運用する不動産業者や建設業者がローンを返せなくなっている。 増益だった地銀は商業用不動産ローンの割合を全体の20%以下に抑えている。破綻した周辺の銀行を統合し、預金量が増えて貸し出し利ざやが拡大する恩恵も受けた。地銀の破綻は、今年100行を突破。今後も経営体力のある一部の地銀を中心に集約が進みそうだ。 一方、多くの地銀は収支改善へローン残高を減らしている。これが取引相手である中小企業への貸し渋りにつながり、人員カットや投資の抑制で地方経済の疲弊に拍車がかかる悪循環も見られる。破産法申請が近いとされるノンバンク大手CITグループの経営危機も中小企業向け融資の焦げ付きが背景にある。 今年に入って破綻した米地域金融機関は累計115行。ミシガンなど中西部、ネバダやカリフォルニアなど西部で破綻が目立つのは、雇用減と金融機能の衰えが同時に進んでいるためだ。 商業用不動産ローン FRBなどが指針 【ワシントン=御調昌那】 米連邦準備理事会(FRB)や米連邦預金保険公社(FDIC)などの金融規制当局は30日、商業用不動産ローンに関する指針を公表した。地方銀行などの経営で、同ローンの焦げ付きが深刻な問題になってきているため。借り手の返済能力の再評価や返済期間の変更などを促す狙いもある。 今回の指針は、金融関係当局の審査官と金融機関を対象。特に経済環境が厳しいときには、金融機関と借り手の双方にとって慎重な融資の実行が最良と指摘した。 金融機関が借り手の返済能力などを再評価し、資産分類が悪化しても批判の対象にはならないと説明。返済期間変更などでは、担保価値が下落したことだけを理由に資産分類が悪化することにはならないとも指摘した。 米フォールストリート・ジャーナル(電子版)は「金融当局は仮に資産価値が融資総額を下回っても、銀行が同融資を健全と位置づけることを認めた」と指摘した。 |
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(柴立の独り言) かつてのJAPANのバブル崩壊時とほとんど同じ現象になってきているのではないか。 1980年代末期の証券バブルをはじめ、不動産バブルもピークに達し、やがて不動産融資総量規制の始まりで不動産価格が暴落し始めたものだった。 JAPANでも商業用不動産の暴落によって「住専」が次々と破綻した。住専問題は国会でも取り上げられ、てんやわんやの騒ぎだった。とどのつまりは、大手の銀行が次々と破綻しはじめ、山一證券までも倒産し、産業や雇用問題などで上を下への騒ぎだった。銀行や企業の合従連衡が始まったのもそのころである。 JAPANのバブルがはじけておよそ20年経過、JAPAN経済はアメリカのバブル消費経済に助けられた一時期を除いて、ず〜っと停滞を続けてきている。 今回の米商業用不動産ローンの問題はとりもなおさず、かつてのJAPNの二の舞を世界規模で繰り返すことにならないか・・・・とすれば、JAPANのバブル崩壊の程度どころではない規模で又20年の停滞期を過ごす事にならないか・・・ 米国のバブル発生とその崩壊の正常化への荷は非常に重いと肝に銘ずべきなのだろう。 米国とて小手先の金融機関救済策を講じ始めている。ダイナミックな米国ではなくなっているのだろうか、いくら小手先の対策を講じても、経済の実態は微動だにしない。「経済は実態を直視することが特に重要な視点である」・・・と考える。 |
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NO.275 | 2009/10/24(土) 日本経済新聞より |
国債の利払い費 税収の2割越す 今年度見通し 政策財源に使えず 2009年度の新規国債発行額が50兆円を越す見通しになるなか、国債の利払い費が膨らむ可能性が高まっている。国の税収に対する利払い費の比率は10年ぶりに20%を超え、政策に使える税収が一段と減る見通し。利払い費に償還分も合わせた国債費全体では20兆円を超え社会保障費の25兆円に迫る公算がある。 09年度の利払い費は麻生太郎政権の補正予算後の一般会計ベースで9兆5000億円。1日当たり約260億円を利払い費に充てている計算だ。政府は補正予算の見直しで約3兆円を削減したが「国民生活に密着したものに振り替える」(藤井裕久財務相)として借金返済に充てない方針を示している 09年度当初に46兆円を見込んでいた税収は、企業業績の低迷で40兆円を割り込む公算が強まっている。財務省は減収分を赤字国債で補てんする構えで、利払い費はさらに膨らむ見通しだ。 09年の利払い費は予算ベースで長期金利を現行水準の1.3%台よりも高い2%に想定しており、実態よりも多く見積もっている。それでも税収減に対応するための国債の追加発行額は6兆円を越すと見られ、利払い費は決算ベースでも8年ぶりに9兆円台に乗る可能性が大きい。個人や企業から集めた税金が国債の償還や利払いに当てられ、有効に活用されない構図が強まっている。 |
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(柴立の独り言) 単刀直入な表現で結論的に言うと 「JAPANの国家破綻は確定的で、その日を予測確定はできないが秒読みの段階に入った!」と言える。 バブル崩壊後、JAPANの経済停滞は既に20年近くに及んでいる。 ITの進化やグローバル経済への移行で新興国が台頭して来て、厳しい現実もある。 JAPANはかつての高度成長期のような成長期待を抱き続けて、身の丈知らずの潤沢な国家予算を組み続け、野放図な国債発行をしているうちに、世界中のどの国よりも群を抜いた借金国家に成り上がっている。敢えて成り上がっていると言おう。 今年度末でおよそ約900兆円にもならんと言われるJAPANの国と地方の債務残高、想像を絶するおびただしい借金額と言わずして何と表現すればいいのだろうか。自分には想像できない金額である。およそ他所事のような気がしてならない。自分たちが働いて返済し正常化しなければならないとの意識は薄い。大方の国民の意識もおそらくは自分たちが返済しなければならない借金との意識はないように見えてならない。今までの政治家も含めて、だからこそ延々と続いたルーズな政策にも気付かずに、今のような状況を生んだ・・・と言える。 この9月、政権が変わり、様々な政策を尽くして行こうとしてはいるが、時すでに遅し! 人口減少社会へすでに突入している。高齢化も高速度で進む。少子化は止まらない。地方の疲弊は極限に向かう。様々な格差も発生してきている。経済はグローバル化し苛烈なほどの競争社会。長期停滞経済のところ、そこに、サブブライムローン問題をきっかけとした世界的バブル崩壊が始まった。結果、過去の甘い見通しでの国家経営がここにきてほころびを表し始めてきていると見る。やがて2000兆円にも及ぶであろうと推測できるJAPAN国の財政赤字! 世界が日本が経験したような長期停滞が始まろうとしているときに・・・ JAPANの財政赤字は重い。でも、ほとんどの国民は無責任!の心境 もし、今のJAPAN国家が健全財政で借金が何もないものならどんな手でも打てたのに・・・・ 時すでに遅し・・・?か? どんなことが起きるかを想像し予測しなければならない状況になってきた! |
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NO.274 | 2009/10/18(日) 日本経済新聞より |
日米欧、財政悪化の試練 金融危機対策が重荷 日米欧の財政が急速に悪化している。世界的な金融危機で各国が大規模な景気対策を打ち出したためだ。米国の2009会計年度の財政赤字は1兆ドルの大台を始めて突破。欧州主要国も財政赤字が拡大する。特に深刻なのが日本。税収が減る一方で、10年度予算の規模は要求段階で過去最大の95兆円に膨らんだ。消費税の増税を含む税収底上げの議論は避けて通れない。 日本、公約優先で概算要求拡大 税収増、議論不可避に 財政赤字を国債の増発で埋め合わせるため、日米欧の債務残高は急ピッチで増えていく。国際通貨基金(IMF)の予測によると、米欧は政府債務残高の国内総生産(GDP)に対する比率が危機発生前の07年の60%台から、14年には100%台に到達する。先進国で最も借金が多い日本は07年の約188%から、14年は約246%に拡大する見通しだ。 9月下旬に米ピッツバーグで開いた20カ国・地域(G20)首脳会議は、危機対応のための財政出動を平時モードに戻し、財政再建に転じる「出口戦略」づくりの扱いを協議。11月に英国で開くG20財務相・中央銀行総裁会議でも、出口戦略を検討するよう各国の財務相へ指示した。 ところが鳩山政権による09年度補正予算の見直しと10年度予算の概算要求では歳出削減が難航。概算要求では、国の財政規模を示す一般会計ベースの要求総額が過去最大の95兆381億円に膨張。補正予算の一部凍結で確保した約3兆円も、財政再建ではなく公約実現に充てる方針だ。 IMFは7月、日本の政府債務残高が19年に個人金融資産(約1400兆円)を上回るとの試算をまとめた。国内のマネーだけでは政府の借金を賄えず、海外に頼らざるを得なくなる状況だ。 鳩山由紀夫首相は「4年間は消費税を上げない」と封印するが、「ムダの根絶」が思うように進まなければ、増税の「先送り」も限界を迎える。 大規模な国債増発 債券市場も警戒根強く 国の財政悪化が意識され長期金利が上昇する「悪い金利上昇」への懸念は、日米欧の債券市場にくすぶっている。今年6月には米国の財政悪化懸念が急速に広がり、米長期金利(10年債利回り)は一時4%まで上昇。(16日終値は3.41%)。日欧の金利同時上昇の引き金となった{苦い経験」(国内証券)となった。 その後は金融機関が国債を買い進めて金利低下の流れをつくったが、日本の債券市場は来年度予算編成の行方に警戒感を募らせている。大規模な国債増発は市場で消化しきれないとの懸念を生み、長期金利(新発10年物国債利回り)を含めた金利上昇圧力になる。 来年3月までの新規国債発行予定額は現状では44兆円だが、これは前政権下の追加経済対策に伴う増発分を上乗せした額だ。2009年度当初予算での発行額は33兆円。これも08年度当初予算に比べ約8兆円増えている。 市場からは「なぜ44兆円をベースに議論しているのか理解できない。比較対象の目線を下げるべきではないか」(三菱UFJ証券の石井純氏)との声も出始めた。6月には追加経済対策による増発で金利が1.56%まで上昇した。こうした「悪い金利上昇」の再来を防ぎたいというのが市場関係者の共通する思いだ。 米財政赤字、3倍の130兆円 「1兆ドル超」続く公算 経済本格回復焦点に 【ワシントン=大隅隆】 米政府が16日発表した2009会計年度(08年10月〜09年9月)の財政赤字が前年度の3.1倍となる1兆4171億ドル(約130兆円)となり、戦後最悪を記録した。10年度も1兆ドルを越す赤字が続く公算が大きい。米経済が来年中に本格回復しなければ、オバマ政権の政策運営は抜本修正を迫られかねない。 「来年以降の赤字幅が大きすぎる」。ガイトナー財務長官は同日の声明で、向こう5年間国内総生産(GDP)比4〜10%前後で推移する見通しの財政赤字に懸念を表明した。この水準だと米経済の成長率を上回る公算が大きく、政府債務が増加し続けるためだ。 米政府は中国など逃げ足の速い海外マネーに財政資金の半分近くを頼る。赤字が高水準で推移すればドルの信認にも影響する。オルザグ行政管理予算局長が同日、「財政正常化に向けた新たな提案」にわざわざ言及したのも、投資家の信認維持の思惑がある。 オバマ政権は失業率(9月は9.8%)が来年半ばから低下し始めると予測。雇用回復を起点に米経済が年後半から本格回復するシナリオを描く。だが失業率の改善や過剰債務を抱えた家計の購買力の回復には時間がかかるとの見方が強い。 |
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(柴立の独り言) 米国のウオール街の人々の、人としての理念なき、そして際限のない、野放図な、強欲主義がサブプライムローンを生み出し、不動産価格の高騰や沸きに沸いた証券取引が極限まで到達した挙げ句、いかがわしい格付けの証券が暴落し、やおら、不動産価格まで下落し始めて久しい。バブルは終わったのだろう。そして必然ともいえる債務不履行が発生しはじめ、サブプライムローン債務不履行問題だけにとどまらず、全世界を震撼させる金融危機の連鎖が発生、米大手証券投資会社が次々と破綻に至るにおよび、合併や救援や破綻など世界中の金融及び経済界が右往左往した挙句、様々な金融対策を講じているうちに、詰まるところ、上記のような財政危機の状態に至っている。 金融界が引き起こした金融経済事件とも言える事変を、金融システムが壊れると経済に良くないとの大義名分を振りかざして、世界中の国々が前例のない政策を動員し、おびただしい大量の資金を投入して金融界を救った、と見ている。しこたま悪得の限りを働いた金融界の人々を救う形になっているが、それが経済という世界のやり方なのだろうか。 バブルが起こり、そして破綻する。そのたびに人々は(人類は)右往左往する。「人間は未だ経済を完全にコントロールできるところまでは至ってはいないようだ」 金融危機に対処すべく前例のない景気対策を実行し、ひとまず目先の金融危機とやらは乗り切ったように見えている。果たして、これだけのことをしておいて、このまま平穏に通常の経済状況に戻すことができるのだろうか。元に戻るのだろうか。 「経済には再帰性がある・・・」と、ある投資家が言っている。要はバランスを取る作用が働くのが、「経済という自然現象」なのだ・・・と言っていると思われる。さて、どんなバランスを取っていくのだろうか? 今後どのような経過をたどるのか・・・ 今回の金融危機に対応した各国の景気対策の反動は、今回の金融危機の数倍のパワーで経済にインパクトを及ぼすことが起こり、ダイナミックな経済現象が起こる時代を生きることにならないか、しっかりと研究しなければならないようだ。 再帰性と言う経済現象が起きるとき、人間の力の及ばないコントロール不能の経済現象にならなければよいが・・・と念じずにはおれない。人間は未だ経済を完全にコントロールできるところまでは至ってはいないようだ・・・とすれば、どんなことが起こるのだろうか。 最近、再び金融界は異様な利潤を上げ始めていると聞く、懲りない面々!と言わざるを得ない。強欲さは人間の性なのだろうが、ここまで来れば“サイクロンインフレ確実”を想像させずにはおかないようだ。 元来、お金でお金を稼ぐという金融経済行為そのものがおかしいと思うのだが・・・、お金は物を代用する効用はあっても、物ではないはずだ。そのお金が物として扱われ始めている。実におかしい!人間は強欲で愚かしいものだといわざるを得ない。 金融界全体の人間の理念にもとずく行為を期待しても無理なら、金融界全体の人々の行動規範を法律で規定する以外に方法はないのだろう。しかし、その法律の制定が各国の利害対立や金融制度の違いもあって、いわゆる世界が一つになっていないこともあって、完全な制定には相当の時間がかかるのだろう。 それまでは野放図な理念無き金融界がのさばるのだろうか。このままではそのうちに必ず再びバブルが起こる、しかも止むを得ずに財政赤字というバブルの基をしっかりと造ってしまっている。財政危機に臨んで金利上昇というその兆候は既に見え隠れし始めている。バブルは遠くない!バブルと金利高騰と言う現象がダブルで重なれば、コントロール不能と言う撹乱的経済状態がやってくることになる。 それを止めるのは世界中の人々の、特に金融界の人々のお金に対する真っ当な理念にもとずく行動を待つしかない。 金融界においての真っ当な理念はいつ発揮してくれるのだろうか。 待ち構えている荒海を笹船で航海するに等しい我が現経営。 肝に銘じて、「わが身は自分で守る!」・・・だ 経済界に活きる経済人の鉄則である。 |
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NO.273 | 日経ビジネス 2009/10/5 40周年記念号より |
「出口戦略」は失敗する 巨額の財政赤字と公的債務の増加に依存する現在の政策。 これを維持し続けることは、もはや不可能だ。 インフレによる調整が最も無難とされるかもしれない。 世界中の政府や中央銀行による大がかりな金融緩和と景気刺激策、金融システム支援策が、深刻な景気後退が世界恐慌に発展するのを阻んだと一般的には見られている。恐慌を避けられたのは、1930年代の大恐慌や、90年代の日本に学んだからだ。 論議は、どのような回復過程をたどるかに移っている。「V字型(急回復)」か「U字形(緩やかな回復)」、あるいは「W字型(二番底のある回復)」かだ。 ゼロ金利で賄われる財政赤字 きわめて重要な政策課題は、現在の大規模な財政出動や金融緩和政策から抜け出す「出口戦略」を、いつ、どのような手順で行うかだ。米国やユーロ圏諸国、英国、日本など多くの先進国で、巨額の財政赤字と公的債務の急増に依存する政策が取られている。だが、これを維持し続けることは不可能だ。 巨額の財政赤字は、多くの国の中央銀行が金利を0%まで下げることで賄われている。一方、前代未聞の量的緩和で、資金供給残高は急増。米国の資金供給残高は1年間で2倍を超えた。 このままだと、どこかの時点で財政危機と悪性インフレが起こり、再び資産バブルと信用バブルが発生するだろう。政府は、過度の流動性をいつ取り除き、政策金利をいつ正常化すべきかを決断し、増税と政府支出削減のタイミングを決めることが重要になる。 最大の政策リスクは、出口戦略がうまくいかないことだ。政治家はやってもやらなくても非難される。もし財政赤字を積み上げるなら、増税して支出を減らし、過剰流動性を解消すべきだ。 だが問題は、景気が底打ちしたとはいえ、民間需要の回復が鮮明になる前に財政政策と金融政策を反転させたら、再びデフレや景気後退に向かいかねないことだ。日本はその過ちを1998〜2000年に犯したし、1937〜39年の米国も同様だった。 しかし、今の政策を続ければ、デフレ圧力が終息した後に、債券市場が反乱を起こすだろう。そうなるとインフレ懸念が強まり、長期国債の利回りが上昇、ローン金利や市場金利も上がる。結局、スタグフレーション(景気後退下のインフレ)に陥るだろう。 では、政治はどんな手を打つべきか。 第1に、公的債務への耐久力は国によって異なる。それは負債の水準や、現在の債務負担、支払い歴、政府の信頼性などによって決まる。欧州の一部の経済小国のように、巨額の財政赤字を抱え、公的債務も増加する一方、銀行は(抱えた損失が)大きすぎて潰すことも、救うこともできない場合、入札の失敗や格付けの引き下げ、財政危機などを避けるために、財政支出の調整に早めに着手すべきかもしれない。 第2に、政治家は速やかに増税し、公的給付支出などを減らすことだ。景気回復が今よりも力強くなると思われる2011年以降に実行すれば、市場の信頼が増し、短期の回復を支えるためのより緩い財政政策が許容される。 第3に、金融政策当局は量的緩和解除の時期を決める際に用いる基準を明確にすべきだ。いつ、どんな速さで政策金利を正常化するかも明示すべきである。たとえ景気回復後すぐに金融緩和政策を解除するとしても、市場や投資家はあらかじめ出口戦略の時期やタイミングを決める基準を知っておく必要がある。再び資産バブルや信用バブルが起きるのを避けるために、金融政策を決定する際に、住宅などの資産価格の動向を考慮することも重要だ。 痛みを伴う選択は先延ばし 何より、正しい出口戦略をとることが重要だ。政治が深刻な過ちを犯せば、景気が二番底に向かうリスクが著しく高まる。だが、残念ながら、政治が過ちを犯す可能性は高い。痛みを伴う選択を先延ばししがちだからだ。 特に、公的債務や民間債務の実質価値を減らすためにインフレを使うという誘惑は、政府にとって抗い難いものになるだろう。増税や支出削減を議会に求めている国々では、債務増を紙幣発行で賄う結果、生じることになるインフレが最も無難な進路とされるかもしれない。 |
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(ノリエル・ルービニ氏) |
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【ノリエル・ルービニ氏】 ニューヨーク大学スターンビジネススクール教授 経済分析を専門とするRGEモニターの会長も務める 米住宅バブルの崩壊や金融危機の到来を数年前から予測したことで知られる |
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(柴立の独り言) かねて自分が予測していることと、ほぼ同じ様に論じていることへの驚きを禁じえない。 今後も更に投資活動を拡大、本格化していきたい・・・と考えている自分にとって、 又、人様の不動産売買業務に携わる不動産業者として、 国内だけでなく世界の経済対策の流れをしっかりと見据え、心しておかなければならない 今の経済状況は、引き起こされた金融バブルの後始末に おびただしい額の資金が社会に流し込んであるからこそ、起こるべき恐慌を止めてはいる。 おびただしい額の資金をそのままにしておいては、何が起こるかは自明の理である。 行われている経済対策が経済原則を逸脱したままなのだから・・・元に戻す必要性がある。 欧州の中央銀行を始めとして、出口戦略が唱えられ始めてはいるが・・・。 出口戦略は本気で行われるのだろうか。出口戦略は成功するのだろうか。 辛苦に立ち向かう人間の英知と根性が試されるときが来る。遠からず・・・ もう来ている!のかもしれない。世界の人々はどんな決断をしていくのだろうか。 |
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NO.272 | 2009/10/03(土) 日本経済新聞より |
外貨準備 ドル比率最低 6月末62.8% 新興国、通貨構成を多様化 世界の外貨準備に占める米ドルの比率が一段と低下している。国際通貨基金(IMF)によると、6月末時点で各国・地域が保有する外貨準備の米ドル比率は62.8%となった。欧州連合(EU)の単一通貨ユーロが導入された1999年以来で最低を更新した。新興国が外貨準備の通貨構成を多様化させているためで、米国の財政赤字拡大を背景とするドル安懸念から、見直しが加速する可能性もある。 世界各国・地域の外貨準備で、IMFが通貨構成を含めて確認している額は米ドル換算で約4兆2700億ドル(380兆円)。このうち米ドルでの保有分は約2兆6800億ドルで、全体に占める比率(62.8%)は半年前の2008年末比で1.3ポイント低下した。ドル保有の比率はユーロ導入時点では70%を超えていたが、01年から低下基調にある。 ユーロ建て保有残高は約1兆1700億ドルに上った。導入時点の保有比率は18%前後だったが、直近6月末は27.5%に上昇。過去最高水準を更新した。この間、日本円の比率は約6%から約3%に半減した。 外貨準備の運用はこれまで米国債などドル建て資産が中心だったが、中国やロシアなど新興国を中心にユーロや金などにシフトする動きが広がっている。最近では中国とロシア、ブラジルが主要通貨で構成される合成通貨単位であるSDR(特別引き出し権)建てのIMF債を合計700億ドル購入した。 外国為替市場でのドル安の進行も、外貨準備の構成見直しの動きを加速させている。米国の財政悪化や金融緩和の長期化を見込んで、対主要通貨でのドルの実効レートは9月下旬に一時一年ぶりの低水準となった。ドル建て資産の目減りを警戒した各国・地域が外貨準備のドル保有比率の引き下げに動き、さらにドル売り圧力が強まる可能性も一部で指摘されている。 国際的な資金の流れを見ると、世界各国・地域が経済成長を米国の過剰な消費に頼り、これに伴う米経常赤字を各国・地域が外貨準備を通じた資金還流で穴埋めする構図が続いている。国際社会では、これが世界経済の不安定要因という指摘が出ており、9月の20カ国・地域(G20)首脳会議は不均衡の是正に向けた国際協調で合意した。 (ニューヨーク=山下茂行) |
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(柴立の独り言) 米国という国の凋落と米ドルの凋落は連動する!は必定! 若しや、米国経済の根幹部分が製造業や純粋なサービス業ではなく、カネでカネを産ませるという通常の正当な経済行為とは看做し難い堕落した詐欺的金融業になってしまっているのであれば、“大恐慌”をも連想させた今回の金融危機は、ことさらに米国の信用を失墜させるものであり、米国経済を凋落させるに充分な要件であったと見る。結果はドル安。 米国の過剰な消費によるバブル経済や詐欺的金融経済に世界各国が便乗し自国の成長を頼んだのであればこれもまた同罪とも見える。米国を信じすぎた・・・!?その結末が今回の金融危機、恐慌化もまだこの先ありなんである。 ことほどに経済の真髄を見通すことは難しいのであろう。人間の欲望とは?と問いたい。 過去においてもバブルは繰り返し起こって来ている。これからも人間の欲望が続く限り、人間が強欲であり続ける限り・・・バブルを止めることは不可能なのだろうか。 米ドル保有比率の低下はドル価値の低下につながる方向である。様々の理由からドル価値の低下を米国自体歓迎しないわけでもないことも事実だろう。ただ、ドル保有比率を下げられることが米国にとっては厳しい状況となる。ドル価値の低下は認めつつもドル保有比率は下げられたくないというのが米国の本音とみる。グローバル経済はそれを許さない。ドル保有比率の低下はドル価値の低下に直結する。しかも相互に作用する。 米国自身がよほどの覚悟で経済再生を達成しない限り・・・世界経済の不安定要因は無くならない。ドルが基軸通貨である限り・・・ 果たして米国の再生なるか?・・・・世界各国・地域は米国に協力できるのか?・・・・そして世界経済の安定を見出すことができるのだろうか。 見極めは難しいことだが、自分なりの見通しをしっかりと押さえておくことが重要。 それにしても日本円のシェアの少なさには改めて驚いているところである。何かをいわんや! |
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NO.271 | 2009/09/21(月) 日本経済新聞より |
65歳以上 2898万人 女性、4人に1人高齢者 総務省が「敬老の日」に合わせてまとめた9月15日時点の推計人口によると、65歳以上の高齢者人口は昨年より80万人増えて2898万人で過去最高を更新し、総人口に占める割合も0.6ポイント増え22.7%となった。女性の高齢者割合は初めて25%を突破し、4人に1人が高齢者となった。15〜65歳人口は8156万人と昨年より76万人減り、総人口が減少する中での高齢化進展が一段と鮮明になった。 国勢調査を基に総務省統計局が集計した。総人口は昨年より12万人少ない1億2756万人。このうち男女別の高齢者割合は男性が19.9%、女性が25.4%。総人口に占める高齢者割合は、比較可能なデータがある1950年(4.9%)から一貫して上昇している。 2008年の住宅・土地統計調査によると、高齢者がいる世帯数は1821万世帯で、5年前に比べて180万世帯増えた。このうち高齢者が単身で住む世帯は414万世帯を数える。 |
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(柴立の独り言) 高齢化現象は誰も止められない、しかも加速度的に高齢化していく。 現実に各方面での目に見えたマイナス現象は起こってきている。 日本の人口構成のいぴつさは過去から語られてきていることで、改めて認識することではない。しかし、理屈でわかっていることであっても、実際、具体的にどのような現象を引き起こすことになるのか真剣に考えることは少ない。統計書を真剣に読むこともしてはいない。国の政策においても真剣に取り組んできたと言える程のことはしていない。人口減少、高齢化問題は通常の経済対策のような事案として解決できる問題ではなく、特別な政策が必要なのだろう。 大手の企業などは既に人口減少に対処するべく、グローバル経営にシフトしているようだ。大手の企業は対処できるが、我々中小企業や個人はどのように対処していけばよいのか、思案のしどころである。 まずは具体的にどのような現象が起こるのか良く理解しておくべきである。 日本での不動産投資、中でもアパート投資に於いては人口減少、加えて高齢化現象は大いなる問題を提供してくるのは必然である。あやふやないい加減な投資を絶対に避けることである。課題は大きい。 |
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NO.270 | 2009/09/15(火) 日本経済新聞より |
リーマン・ショック1年(上) ウォール街 薄れる教訓 危機再発の芽消えず 世界経済を震え上がらせた米証券大手リーマン・ブラザーズの破綻から1年がたつ。「100年に1度」の経済危機を経て、世界はどこに向かうのか。 ノルマ主義排す ウォール街で、社員230人の投資銀行「モエリス」が奮闘している。設立2年にもかかわらず、米企業へのM&A(合併・買収)助言で今年23位。上位をねらう位置に来た。 同社には収益目標がない。欧州系投資銀行トップの座を投げ出して創業したケン・モリエス氏(51)が、目標達成度で社員報酬を決めるウォール街流のノルマ主義を排した。企業は経営環境に応じてM&Aを考える。賞与前の実績作りのために買収を強いる銀行家の姿は、身勝手と映った。 「顧客への助言内容だけを評価する」と説く同氏が集めた社員はこの1年だけで100人。苦境のメリル・リンチやシティグループからも幹部を採用した。「数年で社員はさらに倍増する」とモリエス氏は業界の意識変化に期待をつなぐ。 世界最大の資本市場を担うウォール街。だが、金もうけ優先の風潮は暴走した。自己資本の30倍もの負債を背負って住宅投資に走ったリーマンの末路は、資本主義経済の心臓部に潜む暗部を浮かび上がらせた。 リーマン破綻が「ショック」といわれるのは、瞬く間に地球規模で広がった危機の起点だからだ。長年膨らみ続けた信用バブルは、ついにはじけた。 米国の負債総額は、1980年の国内総生産(GDP)比1.6倍から、昨年は3.7倍まで拡大した。リーマン破綻が招いた貸し渋りは、安易に借金をして消費してきた人たちに行動規範の是正を迫った。世界のGDPの2割近くを担う米個人消費が落ち込み、日本など対米輸出に頼る国々が危機のドミノに陥った。1年後の今も、危機の芽は消えていない。 まず金融システム。「来年までに500以上の米地銀が破綻する」破綻企業の買収と再生で「倒産王」の異名を持つ米投資家、ウィルバー・ロス(71)は断言する。5月には行き詰ったフロリダ最大手の地銀に投資したばかりだ。 新たな「爆弾」 読みの背景には、バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長が「新たな爆弾」と警戒する1兆ドルを超す商業用不動産向け融資の不良化がある。地銀最大の収益源だった地元ショッピングセンターへの融資は年初から100近い地銀が行き詰る爆弾に転じた。 そして、米国の個人消費の低迷でけん引役を欠く世界経済。自動車販売世界一が視野に入ってきた中国の内需への期待もあるが、中国経済は資産バブル懸念など危うさもはらむ。 再びウォール街。ダウ工業株30種平均は今年3月につけたリーマン破綻後の安値から5割上げ、危機感も薄れてきた。ゴールドマン・サックスは4〜6月期に過去最高益を出し、今年前半の1人当たりの報酬が2年前の水準に回復した。 政府傘下の金融機関の巨額報酬まで表面化、危機の元凶とされた複雑な金融商品の販売も再開した。モエリス氏は「報酬ほしさに昔の経営に戻りたい人々が頭をもたげてきた」という。 ハイリスク・ハイリターンを好むウォール街の文化は良くも悪くも「アニマル・スピリッツ」と呼ばれてきた。将来の成長を見越して金融機関がリスクを承知で投融資を手がけるのは、資本主義経済にとって欠かせないことでもある。 前向きな姿勢は凍りついた経済が動き出すエンジンなのか、どん底の恐怖を忘れてうごき始めた暴走の一歩なのか――。2つの顔をちらつかせながら再生に向けて歩き出したウォール街。その動向は世界経済の行方も左右する。 (ニューヨーク=編集委員 梶原誠) |
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(柴立の独り言) 昨年の今頃はリーマン破綻の影響で、株式を初めとする大暴落で全世界が「大恐慌」に匹敵する事態と考え、震撼したものだった。それに比べ、最近の金融及び経済状況は少しは安定的になってきているのだろう。しかし、それは超低金利策やおびただしい量の金融を提供したことでの安定であって、本質的な経済の改善に役立っているとは見られない。大恐慌の危機が当面の間去っただけであって、本当の危機は引き続くものと思いたい。経済には調整が求められるのは必然のことだから。 危機の本質は一部金融機関による強欲な倫理観のない暴走が引き起こしたものであると思いたい。それをコントロールできるのだろうか。 本来経済は自律的回復が筋であって、超低金利策や大量資金供給で賄われ続けれるものではないと思う。最近盛んに出口戦略なるものが唱えられ始めてはいるが、理想論ではあるが現実の経済状況において、そう易々と出口戦略政策をとれるものでもあるまい。一旦流れ出した金融を元に戻すことほど難しいものはないと思われてならない。 出口戦略に経済(人々)が耐えられれば問題はないが、痛みをこらえきれず、今の政策が長引くとしたら、出口戦略どころではない事態に至ることもあり得るとみている。 危機を乗り越えることが出来るのか人類の英知が問われているのだろう。 いずれにしても厳しい経済環境がしばらく続くとみておくべきである。 |
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NO.269 | 2009/09/11(金) 日本経済新聞より |
不動産価格 中国で上昇加速 8月2.0%プラス 開発投資一段と 【北京=高橋哲史】 中国の不動産価格が上昇ピッチを早めている。中国国家発展改革委員会が10日発表した8月の主要70都市の不動産販売価格は前年同月比2.0%上昇した。プラスは3ヶ月連続で、上昇率は7月の1.0%より拡大した。住宅市況の好転を受け、不動産開発投資は年後半に一段と増える見通しだが、強気一辺倒の開発計画にはバブル懸念も出ている。 バブル懸念も声も 不動産販売価格はマンションなど居住用と、オフィスなど商業用不動産の両方が対象。中国の不動産開発投資は固定資産投資の2〜3割を占め、その動向は景気の先行きを占う材料になる。 8月の不動産販売価格の上昇率を都市別に見ると、広東省深シンの6.5%、寧夏回族自治区銀川の5.3%、浙江省寧波の4.5%などが大きかった。なかでも深シンは今年1月に下落率が16%を超えていただけに、「V字回復」の象徴的な存在になっている。 中国の不動産市況は世界的な金融危機が深刻になった2008年秋以降、急速に冷え込んだ。前年同月比でみた主要70都市の不動産販売価格は同年12月、05年7月に現在の調査形式になってから初めてのマイナスに転じた。 春先から急回復したのは、中国人民銀行(中央銀行)が昨年秋から商業銀行に融資を増やすよう促す行政指導に乗り出し、マネーが不動産市場に流れ込んだため。一段の値上がりを見込んだ投機的な購入が膨らんだ。 人民銀が金融政策を引き締め方向に微調整する構えを見せたこともあり、7月以降は投機的なマネーの流入が細ってきたとの見方もある。にもかかわらず価格の上昇が続くのは「供給が不十分で需給が逼迫している」(中国銀河証券研究所)ためとみられる。今年前半の販売急増で、不動産在庫は大幅に減っているもよう。 1〜8月の不動産開発投資は前年同期比14.7%増と、伸び率は1〜7月に比べ3.1ポイント拡大した。 不動産在庫の減少を受け、開発投資は年後半に一段と増えるとの見方が多い。 |
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NO.268 | 2009/09/01(火) 日本経済新聞より |
インド、6.1%成長に回復 4〜6月実質 財政支出が下支え 干ばつ被害に懸念 【ニューデリー=長沢倫一郎】 インド政府は31日、4〜6月期の国内総生産(GDP,速報値)が前年同期に比べ実質で6.1%増えたと発表した。成長率は1〜3月期の同5.8%を上回った。四半期ベースの成長率が前期を上回るのは2007年10〜12月期以来。印経済は個人消費や財政支出など内需を下支えに反転の兆しを見せている。ただ6月以降の雨不足に伴う干ばつ被害が消費の足を引っ張る恐れもあり、政府が目標とする9%の成長軌道に早期に戻れるかは不透明だ。 インドのGNPは07年後半まで9%台の成長が続いた後、インフレ抑制のための金融引き締めで減速。世界的な金融危機の影響が重なり、08年10〜12月期から2四半期連続で04年10〜12月期以来の低い成長率に落ち込んでいた。 景気の反転傾向を支えているのは財政支出だ。政府は今年5月の総選挙を前に景気刺激策を相次いで打ち出している。公共投資も上積みしており、建設投資や設備投資の合計である固定資産形成は4〜6月期に前年同期比で4.1%増えた。 個人消費も景気対策に盛り込まれた農家の債務減免や国家公務員の昇給、金融緩和などの効果で底堅さを保っている。 インド自動車工業会(SIAM)によると、7月の乗用車の新車販売台数(出荷ベース)は前年同期比29%の急増。新車販売の復調を背景に、鉄鋼大手3社の7月の生産実績は前年同期比で揃って2ケタ増となった。 米欧向けが低迷する輸出は前年割れが続くが、堅調な内需がこれを補っている。シャルマ商工相は8月27日、「7月の鉱工業生産は前年同期比で7%伸びた」と明らかにした。 ただ目先の景気回復力には懸念材料もある。雨季の降雨不足で夏に種をまく穀物の収穫量は「前年実績を15〜20%下回る」(ムカジー財務相)見通し。農家の消費は個人消費全体の「55〜60%を占めている」(インド準備銀行=中央銀行)ため、収穫の落ち込みに伴う農家の収入減は個人消費の足かせとなる可能性がある。穀物の不作予想を背景に食料品価格が上昇傾向にあることも、消費の下押し要因となりかねない。 昨年以降の相次ぐ景気対策の結果、09年度末の中央政府の財政赤字は対GDP比で6.8%に拡大する見通し。08年度末は6.2%だった。準備銀は財政赤字の拡大に警鐘を鳴らしており、追加の景気対策を打ち出す余地は限られている。 |
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(柴立の独り言) 全世界で超低金利政策や財政出動による景気対策で金融危機に伴う経済危機は和らげられつつあるように見える。しかし、所詮はお金をばら撒いてのことにて・・・今後、自律回復力のみで通常の経済状態に戻るとはとても考えられない。 米国の財政赤字や米国民の借金による過剰消費、米国金融機関が造り出し、発行した金融証券などで潤っていた経済が縮小していくのは当然である。 米国や欧州の金融機関の不良債権問題が完全に解消されているとは誰もまだ、言ってはいないわけで、隠された不良債権の処理が終わったと確信できるまでの期間(数年〜十数年)は経済は停滞せざるを得ないと見られる。不良債権は今も増え続けているはずだ。 日本のバブル崩壊の二の舞を全世界で実演する時代に入ったと見るべきだろう。 各国政府が打ち出す景気対策は今後も、と止め処なく続くと見られる。 各国の景気対策は当然に財政赤字を伴う事となり、各国の財政赤字がすべての国でJAPANの財政赤字(GDP比170%)ほどにはならないとしても、世界中で繰り出される経済対策の金額は天文学的金額になることは自明だ。不良債権の元となっている金融証券発行額は「京」の単位での金額とも言われている。 さて、どうなることだろう? そして、どのように対処して行けばいいのだろう。 個人としても大いなる対応策、要だ! |
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NO.267 | 2008/08/30(日) 日本経済新聞より |
けいざい解読 ワシントン支局 大隅隆 日米、赤字神話の果てに きょう投開票の第45回衆院選。民主党の優勢が伝えられるが、米国ではわが世の春を謳歌してきた民主党とオバマ大統領が試練の時を迎えている。医療保険改革の迷走が目立ち、政権基盤を揺るがしかねない情勢になってきたためだ。 「あきれるほどの偽り」。 22日のラジオ演説で医療改革反対派を激しく非難したオバマ大統領からは持ち前の気品が失われていた。それもそのはず。景気回復が見え始めたのに支持率はさえない。一部の調査では支持率が50%を切り、不支持が支持を上回った。 洋の東西を問わず、社会保障改革は政局と政策がからむ大論争に発展する。ましてや自助自立の気風が根強い米国。15年前のクリントン政権でも医療改革は挫折した。だが、迷走にはもう一つの伏線がある。財政資金の海外マネーへの依存度が50%近くまで上昇した米国の台所事情だ。 7月27日、ワシントンで開いた米中戦略・経済対話。中国政府関係者は、米医療改革の必要性を訴えるオルザグ米行政管理予算局長らの説明に聞き入った。世界最大の米国債保有国である中国にとって、米財政のさらなる悪化は、ドルの下落リスクとあいまって外貨準備の目減りに直結する。米財政への影響が大きい医療改革は中国にとって「米国の内政課題」では済まない局面に入っている。 「中国などがいずれ(米国債の)購入意欲をなくすのは確か。いつまでも海外から借金し続けられない」。こう漏らすオバマ大統領は、医療改革の表看板を無保険者削減からコスト抑制に移したが、それでもそろばんが合わない。民主党は富裕層への追加増税まで持ち出した。 日本にとって、海の向こうのよその国の話で済むだろうか。国内で流布する国と地方の長期債務合計は国内総生産(GDP)比で約170%。これでも先進国で突出しているが、実は短期借り入れなどを反映しない甘めの基準。国際基準の債務残高は今年200%を超し米国の2倍以上だ。 「米国のように海外マネーに依存していない」。こんな反論も聞く。確かに日本国債の海外保有比率は約7%。米国とは異なり、まだ経常黒字(資金余剰)だが、高齢化に伴い貯蓄率のマイナス転落も現実味を帯びる。加えて、悲しいかな、日本はドルのような基軸通貨を持たない。海外マネーが必要になった時、リスクに見合う上乗せ金利の負担や内政課題への制約は米国よりきついだろう。 タイムリミットは2019年――。国際通貨基金(IMF)は7月、累増する日本の債務が19年に個人の金融資産(約1400兆円)を上回るとの試算をまとめた。同年に近づくほど、国債の消化懸念が強まり金利の急上昇など市場主導の調整リスクが高まるとの見方で、10年後をにらんだ経済成長・財政の設計図づくりを求めているとも読める。 ほんの1年前まで、日米経済にはともに“赤字神話”があった。「米経常赤字の膨張はグローバル化進展の証し」(グリーンスパン前米連邦準備理事会議長)という米国の神話は金融危機の惨事で終わりを告げたが、累積が止まらない政府債務を混乱なく消化し続ける日本の安定神話はまだ残る。選挙の勝者は神話の最終章をどう描くのだろうか。 |
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(柴立のひとりごと) 「市場主導の調整リスクが高まる・・・」とIMFが予測しているとの記事。 自分が予測するサイクロンインフレ(制御不能の経済状況))の前ぶれの現象で 見方が一部で一致するので、改めて、よ〜く考えてみるべき事項ではある。 さて、 日本に起こりうる経済現象の時間的な予測を立ててみることにした。 2015年「日本政府がデフォルトを宣言する」。・・・かもしれない・・・・? とんでもない予測に見えるかもしれないが・・・ 多少タイムラグがあっても、現実性は高い!と見ている。 こんな予測!、的中しないに越したことはないが・・・自分の予測が過去においても満更、的中しなかったわけでもないことからすると・・・・対応策を考え、立てておくに如くはない。 今までの政府のやって来たことや、経済に影響を及ぼす全体的なファンダメンタルズや財政に関して国民の意識の有る也無し也などを総合的に斟酌して見ると、 日本の累積財政赤字は 間違いなく! 確実に! ¥2000兆円!に向かって「走っている」とみる。どうにも止められないと見ている。 日本が・・・・この国が・・・デフォルトを起こす。 まさか!?・・・との意見も多いと思うが・・・ 一体その世界はどんな世界なのでしょうか。 考えておくに如くはない。対策を立てるに如くはない。 既に手を打ち始めてはいるが・・・さらにもう一歩研究の必要がある。 今日は衆議院総選挙投票日・・・ |
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NO.266 | 2008/08/23(日) 日本経済新聞より |
検証・グローバル危機 「大収縮」 第4部 リーマン破綻から1年 政府管理の金融 つかの間の平静 「新たなサブプライム」――省略 「預金を抱え貸し渋り」 5月7日、FRBは、大手米銀の経営問題にひとつの区切りをつけようとした。大手19社に実施したストレステスト(資産査定)の結果を発表した。 09年から2年の予想損失額は合計5992億ドル。19社のうち、バンク・オブ・アメリカなど10社が合計746億ドルの資本増強を求められた。当局は銀行を追い詰めるのを避け、市場の不安を解消しようとした。 株価回復を追い風に大手行は相次いで増資を実施。ゴールドマン・サックス、JPモルガン・チェースなど10社は公的資金を返した。その一方で政府管理の集中治療はなお続いている シティグループ、アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)、ファニーメイ、フレディマック――。公的管理下にある大手金融機関は公的資金の返済のメドが立たない。 証券化バブル崩壊で生じた不良資産も金融機関から切り離されてはいない。「レベル3」と呼ばれる値段の付けようのない資産を、大手18社は3月末で6575億jも抱えている。バンカメ、PNCファイナンシャルは08年12月末に比べ「レベル3」の保有額が2倍以上になった。モルガン・スタンレーは総資産の11%が「レベル3」だ。 会計のマジックもある。4月に米財務会計基準審議会(FASB)は、満期保有を前提に市場性の乏しい金融商品を時価評価しなくてよいことにした。しかも、09年初めにさかのぼって時価評価を停止できるようにした。1〜3月期の巨額の損失計上を回避し、ストレステストを乗り切れたのだから、金融機関には干天の慈雨だったが、副作用を生んだ。 「経営の透明性を低下させ、問題資産の把握を難しくした」と、米議会監視委員会は8月11日に公表した報告で批判した。 不良資産は金融機関のバランスシート(貸借対照表)から切り離す必要がある――。財務長官のティモシー・ガイトナーが音頭をとって、問題資産の受け皿、官民合同投資プログラム(PPIP)を立ち上げた。だが、大規模な損失計上を嫌う金融機関は問題資産を抱え込んだまま。PPIPは宙に浮いている。 足元の環境は好転している。企業が資金調達のために社債発行を増やし、ゴールドマンなど投資銀行の収益は回復。FRBのゼロ金利政策のおかげで銀行も利ザヤ収入を稼いでいる。 とはいえ、金融は正常には遠い。その証拠に、銀行は必死に預金をかき集めているのに貸し出しはむしろ減少気味。家計や企業は貸し渋りに直面している。 8月12日、米連邦公開市場委員会(FOMC)が景気底入れを宣言した。その足元の危うさは誰よりもバーナンキが知っている。 |
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滝田洋一が担当しました。 |
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(柴立の独り言) 銀行は損失を隠す!。かつての日本のバブル崩壊以来の銀行もそうだった。 洋の東西を問わず銀行の持つDNA体質はいずこも一緒なのだろうか。 「銀行が機能しなくなったら困る・・・」という変な大儀のために、何処の国でも銀行を援助する政策が行われる。それでも文句を唱える人はいない。 「すばらしく恵まれた職業」としか表現の仕様がない。かの自由主義経済の筆頭である米国にしても現実そうしている。計画経済体制ではないのに! 銀行が損失を上手く隠し続けることが、経済を良くする唯一の方策ならそれでよいのだが・・・ 日本の「失われた20年」と同じ経過を世界がたどることにならないか・・・ 銀行は他の産業と違い、本来、物を作らない。全く!物を作らない! 理念をよそに、お金でお金を生ませるだけに専念していくとしたら・・・ 世の中、真面目に物作りに働く人々はどんな気持ちになるのだろう。 元来経済は物つくりから成り立っているものだと思う 銀行は「どうあるべきか・・・」が問われるところである。 金融機関には「金融機関として特別の崇高なほどの理念」が求められるところではあるが、 銀行とて、一営利企業であり、営利追求の本質に変わりはない。 理念と利益追求の狭間で悪徳であっても利得に走るのは人間の性、 いま、銀行が跋扈して悪徳を働いてもそれを取り締まる規制的な法律がない。 悪得を働いても、倒産、破産しそうになっても、結局は国が手を差し伸べる。 悪人にカネを出しているようなもの・・・とも言えるが・・・ 社会のためにと言う変な大儀のために、救済の手を差し伸べなければならないほどの重要な職業なのであれば、そして、残念ながら職業としての理念が欠如しているのであれば、理念を強制する法体系が必要な所以ではある。 ところで金融や銀行批判ばかりしていても埒があかないので、現実の経済の話、 自分たちはどんな金融政策が行われどんな状況になっても甘受させられる。 対処できればよい方で「対応が遅れる羽目になったら」塗炭の苦しみを味わうことになる。 金融機関のDNA体質が代わらない限り・・・再びどこかで金融が跋扈しバブルは繰り返す(法律で規制する時代に入らないと跋扈金融はなくならない) よって、金融政策の方向性は常時、しっかりと見極める努力が欠かせません。 早めの対処に越したことはありません。 今のような金融政策が続くとすれば「サイクロンインフレ」が的中する。 銀行は損失を隠し続けるのが今の正体です・・・ |
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NO.265 | 2009/08/13(木) 日本経済新聞より |
鉱工業生産 インド7.8%上昇 6月 製造業の回復傾向 鮮明 【ニューデリー=長沢倫一郎】 インド政府が12日発表した6月の鉱工業生産指数(速報値、1993年度=100)は290.2となり、前年同月比で7.8%上昇した。上昇幅は5月の同2.2%(改定値)から拡大し、2008年2月以来の高水準。アナリストが予想していた3%台の上昇も大きく上回った。堅調な内需を追い風に在庫調整が進んだ製造業の回復傾向が鮮明になっている。 鉱工業生産指数の上昇は6ヶ月連続だが、1月から5月までの上昇幅は5月の2.2%が最高だった。分野別では、5月は2.0%の上昇にとどまっていた製造業が一段と改善し、6月は7.3%の上昇となった。 主要産業の最新の統計は、企業生産の回復傾向が持続していることを示している。インド自動車工業会(SIAM)によると7月の新車販売台数(乗用車、メーカー出荷ベース)は前年同月に比べて29.2%増加。鉄鋼大手3社の7月の生産実績もそろって同2ケタ増となり、4〜6月の伸び率を上回った。 企業生産の回復は09年度に6%台の経済成長を目指す印政府にとって好材料。半面、雨不足は解消しておらず、コメなどの作柄悪化への懸念が高まっている。農業生産が落ち込めば物価上昇や農家の所得減少を招き、景気拡大の足を引っ張る可能性もある。 |
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(柴立の独り言) BRICsの一画、インドの経済回復基調は今後も引き続く傾向として本物なのだろうか。 米国を発震源とするグローバル金融危機の影響で先進国の景気がもたついていく間にも、新興国はどんどん経済発展して来るのだろう。先進国並みを目指しているはずの新興国にとっては当然といえば当然の経済成長である、かつて言われた事のあるデカップリングの世界なのだろう。世界全体の景気好転のためにも、これら新興国の経済発展は必要欠くべからずの要件であり、先進国は新興国やその他の国々の経済振興に鋭意協力していくべきなのだろう。グローバル経済の利点が発揮されてくのだろうか。 それとも、悪徳的ともいえる詐欺的金融経済を謳歌してきた先進国は、ことさらに今しばらく衰退の方向へ進まざるを得ないのかもしれない。それも経済の必然、当然といえば当然であるが・・・・ 世の中、面白くできているように見えてならない。 |
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NO.264 | 2009/08/08(土) 日本経済新聞より |
1993年、今年と相似? 金融不安一巡で株価回復 下振れ懸念も共通 天候不順や円高・衆院選 現在の経済情勢が1993年と似ているとの指摘が民間エコノミストの間から出ている。両年とも金融不安が一巡して日経平均株価が回復。政府が景気の下げ止まりを宣言した。一方で冷夏や円高などが企業収益や個人消費にマイナスの影響を与えた。93年は政権も交代したが、細川政権は短命に終わった。経済情勢が急展開する中で政権運営に難しさが伴う点も共通だ。 一番似ているのは株価だ。今年の日経平均株価は3月に7000円台だったが6月に1万円台に回復。93年も1月に1万6000円台を付けて以降、景気回復期待から急速に上値を追い、5月には2万1000円台になった。 両年とも金融不安の後退が株高につながった。93年当時は住宅金融専門会社(住専)への公的資金注入でバブル崩壊後の危機意識が和らぎ、今年と同様、在庫調整の進展と公共投資の積み増しで景気の下げ止まり感が出た。船田元経済企画庁長官(当時)が「景気底入れ」を宣言した。 経済活動の水準が低く、下振れリスクを抱えている点も似ている。93年は冷夏で個人消費が縮み、円高で企業収益は伸び悩んだ。今年も全国的に梅雨明けが遅れ個人消費は底ばい状態にある。 細川政権は「景気底入れ」宣言を撤回。規制緩和などの対策を打ち出したが目立った効果はなかった。発足後、株価は約3ヶ月間で26%下落。予算編成が年をまたいだり、「国民福祉税」構想を突然表明するなど政策も大きく混乱。政権は9ヶ月で交代した。 30日投開票の衆院選も政権選択の色が濃いが、新政権が経済運営を誤れば、93年のように政治と経済が共に混乱する可能性がある。第一生命経済研究所の熊野英生氏は「新政権への期待は、それが期待はずれに終わるリスクもはらんでいる」と指摘する。 |
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(柴立の独り言) 米国発の金融危機に対し、超低金利の金融政策や金融機関への融資、莫大な額の財政支出等が世界中で行われ、ひとまず金融危機は大きな不安要因を克服したかに見える。それが株価に表現されている・・・。どの程度の株価が実体経済を表しているかを見極めるのは難しいことだが、金融危機を引き起こした根源的な経済状況が完全に解決されたわけではない。むしろ本当の経済危機は今後表面化して来ると見て置くのが順当ではないか。それが下振れリスクといわれる所以であろう。 米国の過剰消費によってもたらされて来ていた好況が消えたことで、経済の停滞は止められない。新興国の成長に期待するばかりである。それも好況感が表れるには長期間を要することとなる。不況によるデフレ感は今後もしばらく続くことであろう。 それだからこそ、更なる財政支出の要請が起こり、米国を始め、日本、欧州各国、新興国を含め、延々と金融緩和と財政出動が止め処なく続くことが想定される。世界中の国々が日本のような財政赤字の状態になるとしたら、この世界経済は一体どんな経済状態を呈するのだろうか。想定の一つに入れておく必要性が強い。サイクロンインフレの可能性がより強くなっていくと判断している。 |
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NO.263 | 2009/07/29(水) 日本経済新聞より |
空き家率、最高の13.1% 昨年、総務省調査 地方中心に増加 総務省は28日、2008年の住宅・土地統計調査(速報集計)を発表した。昨年10月1日時点の住宅数は5759万戸となり、5年前の前回調査に比べて6.9%増えた。一方で人が住まない空き家が756万戸と5年前比14.6%増となり、住宅全体に占める空家率も13.1%と過去最高を更新した。人口の都市流出に悩む地方を中心に、使われない家屋が増えている。 同調査は5年に1度、総務省統計局が実施しており、住宅や土地の状況を網羅的に調べるのが目的。総世帯数は単身化や核家族化が進み4999万世帯となり、5年前に比べ5.8%増えた。 |
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(柴立の独り言) 人々は就労機会を求めて移住する。あるいは利便性や文化・医療・教育など社会設備が完備しているところに移り住む方向にある。移れれば・・・のことだが・・・高齢化と少子化が確定している現状ではこの先も加速度的にその傾向は強くなるのではないか、社会全体の福利厚生上は都市と地方の格差があってはならないのだが、いつの間にやら国民の大方の自覚のないままに、日本の財政が破綻状態を呈して来ている以上、国土全体に今までのような社会資本投資がやれるわけではあるまい。やれば破綻が早まるのみ・・・なのだろう。悲しいことに人々は否応なく自らの意思と自らの責任で移住するか、しないかを決断させられるところまで来てしまっているように見える。政策的な対応がどうしても求められるところであるが、そのような政策方針と財政的裏付けが今の日本にあるのだろうか。心もとないと言わざるを得ない。国民一人一人が真剣に日本社会のあり方を考える時期に来ている。深〜く考えさせられる、近々、総選挙! 空き家が5年前に比べ14.6%増の756万戸で全体の13・1%とは驚きだ。600万戸前後と教えられてきたところであった。756万個の内、半分が人の住めない古家屋としても、残り半分380万戸くらいは利用していない家屋ということ、金銭価値に換算していくらぐらいになるのだろう。無駄な財産を抱えていることになる。しかもそれが今後も増えていく傾向にあるとみられる。 ビジョンの欠如は国をもっと危うくする。この国で投資活動を進めてよいのだろうか。考えさせられる・・・・・・。 |
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NO.262 | 2009/07/20(月) 日本経済新聞より |
東南ア企業 対中投資拡大 【シンガポール=牛山隆一】 東南アジア企業が対中投資の拡大に乗り出した。不動産や製造、流通など中国の内需を狙った多彩な分野で新規案件が相次ぎ浮上。華人系企業以外による投資も目立つ。世界同時不況下で中国経済への期待が高まる中、巨大市場の成長力を取り込もうと躍起だ。各国政府も企業の対中進出の支援に力を入れている。東南アジアの対中関係は貿易に続き投資でも緊密度を高めそうな情勢だ。 不動産・製造・・・ 多彩な分野 内需狙う 「今後数年内に中国に持つ資産の割合を全体の45%に高める」―― シンガポールの大手不動産キャピタルランドのリュウ・ムンリョン最高経営責任者(CEO)は話す。同社は6月上旬、北京で商業施設やオフィスビルなどで構成する大型複合施設をオープン。浙江省寧波市でも同様の施設の建設に着手した。 既に中国47都市で住宅や商業施設を展開し、全資産の26%に当たる約65億シンガポールドル(4100億円)が中国内にある。だが対中傾斜をさらに強めており、商業施設を現在の2倍の58件へ増やす計画。高まる資金需要に対応し、中国工商銀行などから総額250億元(約3500億円)の融資枠も得た。 東南アジア企業の対中投資で目立つのは不動産分野。シンガポールの大手複合企業ケッペル・コーポレーションは天津市で環境配慮型都市「エコシティ」の開発を合弁で進めている。総面積30平方キロメートル、総事業費は500億元(約7000億円)とされ、2011年に第1期分が完成する。マレーシアの大手不動産SPセティアも、浙江省で商業施設建設など同社にとって初の対中投資を始める計画だ。 製造業ではマレーシアの大手複合企業UMWが河北省で中国石油天然気集団(CNPC)と合弁で石油・ガスの輸送管工場を稼動した。投資額13億元は同社の対中投資で最大規模となる。タイ酒造大手タイ・ビバレッジは、雲南省の雲南玉林泉酒業を3億4700万パーツ(約9億5000万円)で買収した。 さらにマレーシアの金融大手CIMBグループが3月に中国東北地域の遼寧省の地元銀に資本参加。フィリピンのファーストフード最大手ジョリビー・フーズも「対中投資に重点を置く」(トニー・タン会長)と店舗網拡張に意欲的で、金融・流通でも投資例が後を絶たない。 背景には、中国経済への期待の高まりがある。先進国がマイナス成長に陥る中、中国は4〜6月期に8%弱の成長を達成した。4兆元の景気刺激策や底堅い消費を支えに、09年通期でも7%台の成長が可能と世界銀行は見ている。世界同時不況下で巨大市場の魅力が改めて鮮明になり「企業は対中投資へと突き動かされている」(在マレーシアの外国銀行) 中国経済の改革・開放が進んだ1990年代にも、東南アジア企業の間で対中投資熱が急速に高まったことがある。当時の主体は中国に人脈を持つ華人系企業が中心だったが、最近はマレーシアのUMWやCIMBのような非華人系企業も目立ち、進出企業の幅も広がっている。 |
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(柴立の独り言) 昨年度までの中国の成長は年率10%を越えていた。この世界同時不況下での8%近くの成長力は新興国の中でも秀でているのではないだろうか。強力な景気刺激策が打たれているとはいえ「13億人がうごめき始めた!」とみる。日本の10倍以上の人口パワーで・・・ 米国をはじめ日本・欧州各国とも、超低金利の上に膨大な財政支出をしてもマイナス成長、そして財政赤字・・・先進国がまどろんでいる間に、粛々と中国が追いついてくる。13億という人口パワーで・・・ いずれ、将来は米国を抜いて世界の超大国になるのだろうか。 世界の政治・経済・文化いずれでも第一級の魅力ある大国に成って欲しい! いずれ中国に行く! |
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NO.261 | 2009/07/16(木) 日本経済新聞より |
対外投資の外貨規制緩和 中国 海外利益、再投資可能に 外貨準備2兆ドル越す 増勢抑える狙い 【北京=高橋哲史】 外貨管理の規制緩和策は8月1日から実施する。外貨管理局は「(今回の規制緩和は)企業が対外直接投資の好機をつかみ、中国の国際収支が基本的なバランスを保つよう促すのに役立つ」と指摘、中国企業の海外投資の増大につながるとの考えを強調した。 現行の外貨管理制度は中国が外貨不足だったころのなごりで、国内に入ってきた外貨を外に出さないことに重点を置いている。海外投資で利益が出た場合も、それをいったん国内に戻すことが原則になっており、外貨準備が増加する一因となっている。 新制度では、海外投資で得た利益をそのまま海外での投資に使えるようにする。 中国企業は海外に建設した工場などで利益が出た場合、それを原資に新たな工場を建てられるようになるため、海外投資の拡大に弾みが付くとみられる。 対外投資に伴う外貨の使用も審査制から、事後報告だけで済む登録制に代わる。国内外の銀行から外貨建ての融資を受けて投資をすることもできるようになり、中国企業は対外投資のための資金調達源を広げられる。 中国政府は2000年ごろから国内企業の対外投資を後押しする「走出去(外に打って出る)」政策を進めている。輸出で稼いだ外貨を使って海外に工場を建設したり、外国企業を買収したりすることで、国内にたまった外貨を海外に還流させることが狙いだ。 しかし、外貨管理の規制が厳しいこともあって、中国企業の対外直接投資はそれほど増えていない。商務省によると、金融機関を除いた今年1-6月の中国から海外への直接投資は前年同期比51.7%減の124億ドルにとどまった。 2兆ドルを越す巨額の外貨準備は、中国にとって重荷になっている。約7割をドル試算で運用しているが、ドルの信任が揺らぐなかで運用先に困っているのが実情だからだ。外貨管理の規制を緩和し、国内に入ってきた外貨が外に出やすいようにするのは、外貨準備のこれ以上の増加を抑える狙いもある。 今回の規制緩和策について、在中国の日本企業関係者からは今のところ「詳細がわからず、どの程度の影響があるか不透明」などの反応が多い。 |
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(柴立の独り言) 開放されてくる中国 日本が1兆ドル近くの外貨を保有し、世界一と言われていたのは、つい数年前のこと、 いつの間にやら隣りの中国に外貨保有高を越されてしまっている。 金融危機で先進国がもたついている間に、GDP成長率もプラス成長を維持、しかも8%近くの成長。 現在の中国は一人当たりのGDPが日本の10分の一という所まで来た。いずれ同程度まで成長すると仮定すると(あるいは日本以上)、単純に日本の10倍のGDPに向かって走っていることを感じさせられる。更に人口比率10倍と知れば、10倍の経済力×10倍の人口で今の100倍の経済力を作り上げるであろうことが推察できる、中には1000倍の経済力をつける人々も現れるであろう、幾多の試練があるとは思われるが恐るべし中国!と言わざるを得ない。 今回の外貨規制緩和に加え外資規制の緩和が更に進めば、経済はすでにグローバル化していることでもあり、想像を超える成長を続けていくであろうと予測する・・・ 中国国内の自由化、民主化が進み近代化してくれば、自分たちも自由に中国へ出入りできる日もそんなに遠くないのだろう。 遠い将来、中国のどこかでアパート投資!、そろそろと考え始めてもいいのかもしれない。 「衰退していくことが確実!」と思わしめてくれるどこかの国にとどまって投資するよりは・・・と考え込んでしまう昨今です・・・ょ。 超貧乏でも男はビジョンを渇望いたします。 |
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NO.260 | 2009/07/06(月) 日本経済新聞より |
「借金」が「税収」を上回る 来年度見込み 戦後初、当初予算から 国債大量発行で 金利上昇懸念 景気低迷で国の税収が落ち込み、2010年度予算は戦後初めて、当初段階から国債発行収入が税収を上回る可能性が出てきた。09年度から2年続けて国の主要財源が「借金」という厳しい財政運営が続く。国債の大量発行は長期金利の上昇要因となり、景気回復の足かせとなりかねない。 金融危機の影響で08年度に44兆円まで減った税収は09年度に一段と落ち込む。財務省は秋以降に編成する第2次補正予算で税収見通しを46兆円から下方修正する見通し。一方、景気対策のため09年度の新規国債発行額はすでに44兆円に膨らんでいる。税収が下振れし国債を増発すれば年間で国債収入が税収を上回る。 10年度は当初から「逆転予算」を組まなければならない可能性がある。税収見積もりの前提となる内閣府の経済見通しでは、税収を左右する名目成長率が09年度のマイナス3.1%に続き、10年度もマイナスとなっている。 90兆円前後の一般会計歳出に対し、税収が40兆円程度にとどまれば、残り50兆円を国債などに頼らなければならない。税収は1980年代半ばの水準である30兆円台に沈み込むとの観測さえある。財務省は「10年度予算編成はかつてない苦しい作業になる。」(幹部)と懸念を強めている。 09年度の財政出動については世界的な景気悪化への対策としてやむを得ないという指摘もあるが、10年度も借金依存型の予算が続けば財政悪化への懸念が噴出しかねない。与謝野馨財務相は6月30日の記者会見で「国債依存度の高い財政で一番の心配は長期金利の動向だ。いつまでもいい状況が続くという考えは楽観的すぎる」と指摘した。 2日に実施された新発10年物国債の入札は波乱なく終わり、6月に一時1.5%台まで上昇した長期金利は1.3%台まで下がった。ただ財政健全化への「出口」が見通せなければ、再び長期金利が跳ね上がり、景気回復に水を差す恐れもある。 追加の財政出動の余地が狭まり、財政政策の柔軟性が損なわれる点も問題だ。総選挙後の新内閣は10年度予算編成に向けた政策論議にまず直面する。景気対策とともに財政再建の道筋をどう描くかが問われそうだ。 |
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(柴立の独り言) 日本国の借金!どうなる日本!どうなるの私たちの暮らし!・・・周りの人々は皆、どうでもいいとあまり考えないようにしているのだろうか・・・。国民の間に、国の借財について他人事のように考えているフシがあるとしたら、それでもよいのだろうか。でもすこし考えてみたい 国民の大方も、政治屋の人々も、産業界も今の日本国の財政状況について、真剣に対応策を語る人は見当たらないようにも見えるが、そうでもないのかナー。居ない訳ではない筈だが・・・自分が知らないだけなのかナー。自分が知っている範囲での人々には財政の実態が解っていて、その深刻さを語る人はいない・・・「国はどうなければならない・・・」とか。「自分はどう対処しなければならない」とか・・・だから結局は「国が何とかしてくれるサー。」になる・・・だから対応策を語る人も見当たらない。残念なことに・・・・自分の守備範囲の狭さに残念! 私の予測は「杞憂」なのかも、すこし考えてもみたい。予測を立てる!これは重要! やがて日本国の国の借財が1000兆円を超えようとしている。今の状況が続くと仮定すると累計2000兆円に向かっているのだろう。いつまでも借金ができるのだろうか。もしそれができるとしたら一生懸命働いて生活を成り立たせている者にとっては労働にばかばかしさを感じるはずだが・・・ 又、一体全体どこからこの借金を持ってきているのだろうか。国債!という代物。それを買って国に資金を貸している人々、銀行・・・ 国=国民 自分の金を自分に貸しているようのもの・・・内容は悪くなる一方ではないか・・・自分の国の国債を自分たちが買わなくなったらどうなるの・・・???? このまま行くと日本は100%確実に財政破綻し(すでに破綻しているのだが・・・)、金利上昇を止められない状況となり、そのことが物価上昇の主な要因となり、更に物価上昇を引き起こす・・・金利上昇と物価上昇が相互にパワーを得て、ハイパーインフレを通り越した制御不能の「サイクロンインフレ」になると予測している。通常の状態でのインフレやバブルの処理は国の政策や中央銀行の政策で対処、解決できるがサイクロンインフレはどんな政策も効かない制御不能の状況です。国の財政内容について国民や政治屋や産業界からも強い懸念の声や対応策の意見がないことを斟酌すると、このままである限りサイクロンインフレは確実だ。物価10倍、いや20倍、いや50倍、いや100倍もあり得るかも・・・これが私の予測!ここしばらく私の予測が的中することが多く、今回の予測が的中することの恐ろしさを感じずにはおれません。空恐ろしい国になったものだ・・・というのが実感! よって、私の対応策?結論! 「借金をする!」です。日本の国に負けず劣らず一生懸命に借金をする。 それが私の究極の対処策。どんな借金をするかは秘密! 国の財政等についてお考えをお聞かせ下さい。 また、異論のある方是非お聞かせ下さい。お待ち申し上げます。平成21年7月15日(水) |
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NO.259 | 2009/07/04(土) 日本経済新聞より |
中国、外資上場を容認へ 誘致で経済活性化 直接投資減少に懸念強く 【上海 戸田敬久】 中国政府は外国企業による国内市場での株式上場を容認する方向で検討に入った。金融危機で外資の対中直接投資が急減しているため、外国企業を誘致して経済の活性化を目指す。すでに解禁した外資の人民元建て社債発行と併せて、資本市場を段階的に開放、人民元の国際化にもつなげる 人民元国際化も狙う 中国商務省の陳健次官は北京での記者会見で、外国企業の株式上場を含めた外資誘致策について関連省庁と共同研究に乗り出したことを明らかにした。同次官は「外資の投資環境を整備し、就業機会の増加や地域発展につなげる」と強調した。 中国市場では外資と中国企業の合弁会社が上場したケースはあるが、外国企業本体や現地法人の上場は認めていない。新たな誘致策の詳細は明らかではないが、関係者によると「外資の100%子会社でも上場前に外部株主を増やせば上場を容認する」(国内証券)など、現地法人について条件付で上場を認める案が有力視されている。 中国市場での上場を巡っては、英HSBCが上海証券取引所への上場を計画している。他の欧米系金融大手なども上場を検討しているもよう。 中国政府は対中投資の減少に懸念を強めている。2009年1〜5月の外資の対中直接投資は340億ドル(約3兆2600億円)と前年同期比20%減少。新規進出企業は同34%減の7890社だった。「中国に生産拠点を設けた外資による輸出が、中国経済の成長をけん引してきただけに危機感は大きい」(外資系証券)という。 中国政府は外国企業が中国国内で資金調達しやすくなるよう、規制緩和に動き始めている。上海市は2020年をメドに国際金融センターの地位を目指す計画を策定。この計画でも外国企業の株式上場や債券発行など資金調達の環境整備を進める内容を盛り込んだ。 すでに人民元建て債券の発行を解禁、HSBCと香港の東亜銀行が6月下旬に香港で人民元建て債券を発行した。英スタンダードチャータード銀行は中国国内市場での人民元建て債券の発行を計画している。 ただ中国政府は株価急落を招かないよう、昨年9月から新規株式公開(IPO)認めていない。6月から容認に転じたものの、中小企業が中心の深シン証券取引所で新規上場銘柄が出ただけで、外資の上場が想定される上海証券取引所でのIPOは再会されていない。このため「多くの中国企業が上場を待っている現状では、外資の上場は後回しになる」(外資系証券)との指摘もある。 |
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(柴立の独り言) 世界的金融危機の影響は中国にも例外なく及び、デカップリング論は通用しなかったようだ。 経済はグローバル化し、フラット化している証左であろう。13億人超という人口大国にして成長著しい中国は、金融危機でも果敢に経済政策に取り組んでいる。新興国の中でも注目に値する国になるのだろう。大国なるがゆえに、様々な国内問題も指摘されているが、経済成長過程ではどの国も突き当たる問題とも言え、現在までのところ順調に進めているとも見える。13億の人々が豊かな生活を目指して動き出しており、グローバル経済は中国抜きには語れなくなっている。国際政治の面でも中国を中心に世界が動く時代もそんなに遠くないのであろう。外資による直接投資の起爆剤となる証券取引所上場解禁は13億の人口を狙った投資活動として画期的な展開を呼ぶものとみられる。 |
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NO.258 | 2009/06/24(水) 日本経済新聞より |
改革後退 進路失う 「骨太09」決定 財政再建目標や社会保障費抑制 骨抜き鮮明に 政府は23日の臨時閣議で「骨太方針2009」を決めた。財政再建目標は先送りし、社会保障費の歳出抑制方針を撤回するなど後退した。成長力を高める規制改革なども踏み込み不足。構造改革路線の修正を色濃く映し出した。 骨太方針の副題は「安心・活力・責任」。国民の不安を解消しつつ、成長力を高め、財政健全化という未来への責任は堅持する――という意味を込めた。だが実際には「骨抜きが目立つ」。 形のうえでも・・・ 「10年度予算においては社会保障費の自然増はそのまま認める」。骨太決定後の記者会見で、与謝野馨財務・金融・経済・財政相は社会保障費の抑制を来年度予算で撤回する考えを表明した。 2200億円の抑制は小泉政権による「骨太方針06」から守ってきた目標だ。実際に達成できたのは07年度予算のみで、事実上の「棚上げ」状態。それでも財務省は特別会計の資金で穴埋めするなど、形のうえでは踏みとどまってきた。撤回すれば公共事業や防衛などでも歳出膨張圧力が噴き出しかねないからだ。 与謝野氏は歳出改革の枠組みは崩さないと強調するが、タガが緩んだのは間違いない。井堀利宏・東大教授は「巨額の補正予算を組んだ以上、骨太方針でも歳出見直しという出口戦略を考えるべきだった。今の姿では財政再建の責任をだれが負うのか分からない」。 成長の基礎づくりに向けた青写真も描き切れなかった。たとえばアジアなど各国との経済連携協定(FPA)。成長力を保つための原動力として重みが増すが進展はなかった。農業でもコメの減反見直しなど改革に踏み込まずじまい。 有望分野と期待される医療・介護では3年で30万人の雇用創出を盛り込んだが、参入規制の緩和など具体策に踏み込めなかった。環境や少子化対策などに前進の兆しは見えるが、改革の決意はすっかり息をひそめた。 新目標も厳しく 骨太方針が威光を放っていた時代には、各省庁が予算獲得のため政策を骨太に盛り込もうと競い合った。解散・総選挙が近づく今年は「選挙後に紙切れになるかもしれない骨太に力を傾ける必要性は乏しい」(経済官庁幹部)との声もある。 骨太09では財政再建目標も仕切り直しになった。国と地方の借金を減らし国内総生産(GDP)に対する比率を「20年代初めには安定的に引き下げる」とした。一方で基本目標としてきた基礎的財政収支の「11年度までの黒字化」を断念。とりあえず「13年度までに赤字のGDP比を半減」との目標に差し替えた。 その道も険しい。「目標達成には消費税を11年度から段階的に7%は引き上げる必要がある」。 内閣府が示した財政試算からは厳しいメッセージが浮かび上がる。菅野雅明・JPモルガン証券チーフエコノミストは「名目成長率を3%程度と想定しているが高すぎる。消費増税の道筋は見えず歳出削減も進まない。目標の実現可能性は低い」。改革の軸を失ったまま、政府は来年度の予算づくりに突入する。 |
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(柴立の独り言) 財政再建の必要性をこの国の国民はどの程度真剣に考えているのでしょうか。 財政赤字がどの程度なのか、どうしなければいけないのか、“実感がない”のかもしれない。 「どこにそんな借金があるの・・」、「その借金はだれがつくったの!」「だれも今困ってはいないでしょう」。ということかな!国民皆で無責任! グローバル化した経済社会のなかで、今起こっている金融危機や経済危機が更に再度起こらないとも限らないなかで、財政に余裕のない状態では・・・次はどんな経済状況になるのでしょうか? 元来、財政は黒字で余裕がなければいけないところに、現在800兆円超の赤字があるとは・・・変な意味でこの国たいしたものだ・・・財政赤字2000兆円に向かって走っているのかも・・・ この文章を転載しながら、この国はどこへ向かおうとしているのか、少々不安になってきた。 わが身は自分で守る・・・。どうすればいいのでしょうか?教えてください。 |
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NO.257 | 2009/06/17(水) 日本経済新聞より |
米金融政策 かじ取り微妙 経済危機克服へ異例の資金供給策を展開してきた米連邦準備理事会(FRB)が金融政策で微妙なかじ取りを迫られている。景気底入れ期待から市場が実質ゼロ金利政策の「出口」を探り始める一方、長期金利上昇への懸念から長期国債購入の増額を求める意見も根強い。膨れ上がる財政赤字への懸念も浮上、財政との連携も正念場を迎えている。23日から開く連邦公開市場委員会(FOMC)はメンバーに意見が錯綜する可能性がある。 「出口」先走る市場 一部の経済指標の好転を受け、市場が「ポスト危機」をにらんだ金融政策の出口を探り始めた。先物市場から見た今年12月時点のフェデラルファンド金利(現行の誘導目標は0〜0.25%)予想は6月上旬に0.565%まで上昇。実質ゼロ金利政策の解除を視野に入れ始めた。 ただ10日の地区連銀経済報告(ベージュブック)の総括判断は「景気は弱いか悪化」との認識を維持。家計の負債残高は2002年の1.6倍の水準。債務調整はまだ入口段階で個人消費の本格回復は望みにくい。 需要が低迷するなか、米ゼネラル・モーターズ(GM)国有化など供給サイドの構造調整が続く。デフレ圧力は残っており、FRBが金利面で出口政策に動く公算は小さい。 長期金利めぐり議論 焦点は、上昇基調にある長期金利を巡る対応だ。3月に2%台後半で推移していた米国債10年物の利回りは先週、一時8ヵ月ぶりに4%台に上昇した。「(長期国債買い入れ増額は)選択肢の一つ」。FOMCで投票権を持つアトランタ連銀のロックハート総裁は11日、記者団にこう語った。FOMCが国債買い入れ増額で金利上昇に歯止めをかける方向に動く可能性もある。 今回の長期金利上昇が景況感の改善を反映した正常な動きなら「よい金利上昇」と言える。だが、財政赤字への懸念によるものなら、経済が回復していないにもかかわらず金利が上昇していることになる。こうした「悪い金利上昇」の場合、経済回復の阻害要因になる。 「危機解除」に時間 FOMCにとって難しいのは、長期国債買い入れ増額が「政府の借金を中央銀行が肩代わりするマネタイゼーションとみなされ、インフレ懸念を助長する」(アメリカン・エンタープライズ公共政策研究所のラックマン研究員)点だ。 「我々は赤字をマネタイズしない」。3日、バーナンキFRB議長は強調した。市場に根強いマネタイゼーション懸念を意識した発言だが、長期金利上昇が景気回復に悪影響を与えるのも避けたい。3月から「半年間」と限定した長期国債の買い入れ期間延長などさまざまな案が浮上しそうだ。 昨年末の実質ゼロ金利政策導入、今年3月の長期国債買い入れは全会一致の決定だった。誰の目にも明らかな危機が結束を促した形だが、景気底入れ期待が浮上するなかで、メンバーの認識は拡散し始めた。金融不安が後退しても、需給ギャップは大きい。大量の資金供給でインフレ懸念が浮上する一方、デフレへの警戒感も残る。危機モード解除には時間がかかるが、金融政策運営は潮目の変化に向けた模索が始まっている。(ワシントン=大隅隆) |
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(柴立の独り言) 米国を中心とした金融機関の跋扈による過剰金融・バブル金融が引き起こした各種金融不安はサブプライムローン問題をきっかけとして、証券会社倒産、銀行倒産を引き起こし、大型金融詐欺事件まで起こし、延いてはリーマン・プラザーズの倒産を機に、一気に世界中を金融不安に陥れた。慌てふためいた各国中央銀行はゼロ金利に誘導したほか、おびただしい大量の資金を市場に供給し、株価を操作し、にわかには景気が回復期に入ったような印象を持たれ始めてもいる。実態はどうなのだろうか。ひとまず金融危機は収まっているようにも見えるが、果たして、過去日本がたどった経過を世界中がその轍を踏まないとは言い切れない。とすれば、金融危機の打破、安定はしばらく先のことであろうと予測する。金融危機の回復に手間取っている間に実態の経済はさらに延々と回復が遅れるのも予測できる。バブル経済の修復は簡単ではないはずだ。しばらくは金融経済問題の先に有る実体経済の動きをしっかり観察し続ける必要がありそうだ。米国と日本の財政問題は世界経済の足を引くことになりはしないか・・・ 世界中で更に、さらに大量の資金供給がなされることかもしれない。 今の政策はインフレ政策と言い切っていい、とすればその先にハイパーインフレが待ち構えており、ハイパーインフレとなれば、更に制御不能の“サイクロンインフレ”(私の造語)が襲い掛かってくるのかもしれない。世界中の人々が塗炭の苦しみを浴びることになる。杞憂だろうか? |
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NO.256 | 2009/06/09(火) 日本経済新聞より |
「骨太09」素案 財政再建 2020年に先送り 債務残高 GDP比で削減 政府の経済財政運営の基本方針となる「骨太方針2009」の素案の全容が明らかになった。焦点の財政健全化目標について、20年代初めに国・地方の債務残高の国内総生産(GDP)に対する比率を「安定的に引き下げる」ことを基本目標に設定した。基礎的財政収支の赤字をGDP比で、14年を待たずに「半減」させる目標も提示。従来は「11年度」としていた黒字化は「10年以内」に先延ばしした。 基礎収支 10年以内に黒字 骨太方針の素案は政府が9日の経済財政諮問会議(議長・麻生太郎首相)に提出。与党との調整を経て、23日に諮問会議として正式に決定する。麻生政権にとって初めての骨太方針で、今秋までに行われる次期衆院選の事実上のマニフェスト(政権公約)となる。 素案の柱は財政健全化目標の見直し。国と地方の債務残高をGDP比で安定的に引き下げることを目標の中核に据える。足元の債務残高はGDPの170%程度と主要国では最も高い。骨太素案では債務残高のGDP比を「10年代半ばにかけて安定化させ、20年代初めには安定的に引き下げる」と明記。財政赤字の無軌道な拡大に歯止めをかけ、20年以降、GDP比の債務残高を削減する方針は明確にする。 小泉純一郎政権で策定した骨太06では、社会保障などの国・地方の政策が借金なしで賄えていることを示す国・地方の基礎的財政収支の黒字化を「11年度までに達成する」としてきた。だが、追加経済対策による国債の増発や景気悪化に伴う税収の落ち込みで実現は困難となった。このため実現達成時期を「今後10年以内」に後退させた。 10年先の目標では実効性が乏しいため、5年程度の目標が必要との民間議員の意見を踏まえ、「まずは景気を回復させ、5年を待たずに基礎的収支の赤字を対GDP比で少なくとも半減させることを目指す」との文言を盛り込んだ。事実上、14年までに赤字を半減する宣言となる。 歳入改革については10年代半ばまでに消費税を含む税制抜本改革を実行するとの道筋を描いた政府の「中期プログラム」の着実な具体化を強調。少子化対策や低所得層の支援策として、所得税減税と社会保障給付を組み合わせる「給付付き税額控除」の導入を検討すると明記した。 経済成長戦略では環境技術の活用による「低炭素革命」や医療・介護の充実を柱とする「健康長寿」を推進する方針。 歳出削減を巡ってはこれまで明記してきた「骨太06の堅持」、「最大限の削減」といった言葉が今年は与党との調整に入る前の素案段階で早々と姿を消した。 |
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【柴立の独り言】 この国の指針はどうなっていくのだろうか。財政再建先送りとは!・・堂々と 財政再建が国の喫緊の課題となっていると思うのだが、国をして、ましてや国民の間でも切迫感がないように思えてならない。“財政再建”と軽々と唱えてみてもその実現の厳しさを語る人は少ないのではないのだろうか。「まずは景気を回復させて・・・」と唱えてみても、経済はグローバル化してしまっているうえに、少子高齢化の現実を見るにつけ、これ以上景気がよくなると考えるのはおかしいのではないかとも思われてならない。 私もS23年生まれ、今61歳、団塊の世代と呼ばれ日本経済の高度成長期に遭遇し一翼を形作る役目を果たしてきたのも事実!その団塊世代が高齢化し、これからは日本の財政を食いつぶす“団塊の日本のシロアリ族”!と呼ばれかねない世代に入りました。 半端な財政赤字ならまだしも、数年内に1000兆円を超えるであろう予測される財政赤字!財政再建どころか財政破綻に入っていくように思えてならないのは1人私だけでしょうか。 私たちはどう対処していけばいいのでしょうか。 とりあえずは自己確立、自立したいと奮闘努力中です。 |
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NO.255 | 2009/06/06(土) 日本経済新聞より |
投資資金、リスク資産へ 世界の投資マネーがリスク資産に少しずつ向かい始めた。日経平均株価など主要市場の株価指数は軒並み3月を底に上向き始め、原油など国際商品価格も上昇基調だ。世界的な金融緩和や景気底入れ期待を背景に、金融危機で萎縮していた市場資金が再び動きを速めている。 新興国株・原油が急伸 5日の東京株式市場。個人投資家からの買い注文も目立ち、日経平均株価は9,768円と年初来高値を更新した。―中略― 3月10日につけたバブル後安値からの上昇率は38%で、1万円回復まであと232円に迫った。東証1部の株式時価総額はこの間に70兆円近く増え、約七ヶ月ぶりに300兆円に乗せた。―中略― 転機は今年3月ごろ。各国の財政金融当局が危機を乗り越えるために政策をフル動員して財政出動や金融緩和策を進め、市場に「金融システムが安定し、世界経済が持ち直す」との期待が高まった。―中略― 株価の上昇は世界に共通する。米ダウ工業株30種平均は昨年末の水準をほぼ回復。新興国株はさらに戻りが顕著で中国やインド、ブラジルの代表的な株価指数は、すでに昨年9月のリーマン・ショック前の水準に戻った。ロシアは1月につけた今年の安値から上昇率が2倍を超える―中略― 商品に分散投資 動き出した投資マネーは収益機会を求め国際商品にも流れ込んでいる。ニューヨーク市場のWTI原油先物は5日の時間外取引で、1バーレル70ドルを超えた。景気底入れへの期待先行の買いなどが原油相場を押し上げ12月19日の安値(32.40ドル)から2倍以上になる。 ニューヨークの金先物(期近)は4日、2月20日以来の1トロイオンス1,000ドル台へ接近した。「株への投資だけでは不安が残るため金にも分散投資する傾向が強まっている」(ワールド・ゴールド・カウンシルの豊島逸夫・日韓地域代表)という。穀物ではシカゴの大豆やトウモロコシが昨年12月の安値から約5〜6割上昇。リーマン・ショック前の8割まで値を戻した。―中略― ニューヨーク原油でも総建玉のうちヘッジファンドなど大口投機筋の買い持ち高が2週連続で増えており、投資マネーの流入が鮮明になっている。 弱い実需、投機色も 株式や商品に資金が流れ込む一方で、「安全資産」として買われてきた米国や日本の国債は売られやすい。財政出動や国債増発という危機克服の「副作用」もあいまって国債の価格は下落(金利上昇)。長期金利は世界的な上昇局面にある。―中略― |
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(柴立の独り言) 近々、バブルは再び起こるのかもしれない。・・・かもしれない・・・ いや、バブルを起こそうとしているかのような政策が余りにも目に余る。 それを根拠にしてのことか、投機マネーが再び跋扈し始めようとしているとしかみられない。 もしそれが本当なら、制御不能のグローバル経済現象が起こる可能性が高まったと見られる。人間の欲望は際限がないのも事実である。そこに持ってきて今の金融政策、人間には理性が働いても、「投機マネーには理想も理念も何もない。」単なるファンドなのだ。 昨今のバブルは金融機関を主としたバブルであった。理性を持ち合わせているかのように見える金融機関を中心としたバブルが起こったことが事実とするならば、今後のバブル現象は金融機関のみならず一般の大多数の投資家も参加した投機とならないのか・・・今の金融政策の裏をかいて投機に走る現象を引き起こしそうだとしたら、一体どんな現象が起こるのだろうか。考えればぞっとする思いだが、各国中央銀行や政府はそれをコントロールできるのだろうか。コントロールできる手立てを準備しているのだろうか。・・・・ 事態はすでに動き出しているようにも見える! 経済はバブル・崩壊・デフレ・対策・インフレ・・・・を繰り返しながら進むのだろう。要はその程度が問題なのだろう。今後は・・・ |
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NO.254 | 2009/05/31(日) 日本経済新聞より |
経済解読 編集委員 太田康夫 米景気、過剰債務の重荷 米国で金融危機は最悪期を脱したとの見方が出ている。銀行の増資によって金融不安が薄れているからだ。しかし企業や家計に過剰債務がのしかかり、出口は見えない。 米ゼネラル・モーターズ(GM)の債務削減交渉が難航し、法的整理の可能性が一段と高まってきた。背景には銀行に不振企業を支える余力がなくなっている現実がある。 「V字回復はなぜ起きないのか」。米ゴールドマン・サックスは五月半ば、家計の貯蓄思考、企業の消極的な雇用姿勢などが回復を遅らせると指摘。景気循環的な側面から家計や企業を分析しているが、実は借金の重荷が大きい。 証券化が絡んだ今回の金融危機は、裏付けとなっている融資が焦げ付いている点では日本の不良債権問題と同根だ。国が銀行から不良債権を買い取っても、返済をすべて免除するわけではない。危機は貸しすぎた銀行だけでなく、借りすぎた企業、家計に広がる。 かつて日本では過剰債務は企業部門に遍在した。返済ができず一部のノンバンクやゼネコンが破綻。多くの企業は利益をその返済に充て、解決まで長い時間を要した。日銀はゼロ金利政策で余裕のある家計から企業に利益を移転し、企業の債務削減を後押しした。 米国では企業だけでなく家計も借り入れに狂奔した。2008年末までの五年間で企業が42%、家計が45%も借金の残高を増やしている。増加額は企業で二兆一千億ドル、家計で四兆三千億ドルにのぼる。経済成長率を超える速度で、経済の「借金漬け」が進んだ。 企業部門では「今後、債務不履行の増加は避けられない」(国際通貨基金)。クライスラーなどはそのはしり。日本でかつて「大口融資先問題」と呼ばれた大手企業向け融資の焦げ付きが米国でも起きかけている。ただ米国は日本より従業員の解雇がしやすい。過剰債務の負担を人員削減で和らげる動きが加速する可能性がある。 厳しいのは家計部門だ。銀行の融資功勢と、住宅価格の高騰を背景に借り入れを増やした。しかし担保の住宅が値下がりし、返済負担が重くなっている。可処分所得に対する借金の利払いの比率は13.9%もあり、1980〜2000年の平均より2ポイント以上高い。 すでに家計は自己防衛を始めている。05年にはマイナスになった貯蓄率は現在、4%程度と日本より高い。それでも借金の穴埋めには不十分で、10%程度への上昇が不可欠だ。それに伴って国内総生産(GDP)の七割を占める消費が抑えられ、景気に下押し圧力がかかる公算が大きい。 「米国も失われた十年に陥るリスクがある」(クルーグマン・米プリンストン大教授)。米国で失敗例と見ていた日本の不良債権問題を見つめ直す機運が高まっている。 学者などにはバブル崩壊であいた穴は時間をかけて埋めるしかないとの考えが広がりつつある。しかし日本でそれを支えた家計のゆとりは米国にはない。バブルの後始末も海外からの借金頼みで、国債金利に上昇圧力がかかっている。問われているのは米国の消費の節度で、日本の過剰債務問題より解決は難しそうだ。 |
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(柴立の独り言) 米国が創り上げて来た「虚空詐欺経済」とも言い切っていい証券化商品経済は完全に破綻した。 紙切れに価値をつけて売りまくった・・・それを現実経済と見まがった人々が群がり、極限に達し、とどのつまりは破局を向かえ、破綻を起こしバブルの泡と消え失せた。まずはそのことをしっかりと認識することが重要だろう。 その虚空経済の破綻が引き起こした経済混乱や恐慌を避けるためと称して、超低金利政策と実物経済とは無関係の大量資金供給がグローバルな規模で行われています。 大恐慌を防ぐ為の政策上、免れ得ない方策ではあると誰も認め、その政策に期待もし、誰もその政策に反対する人はいない様でもある。実物(その価値)と貨幣の量が不均衡となった結末が今回の破綻の一旦である事に鑑みれば、今、グローバルな規模で行われている超低金利政策と大量資金供給の結末は・・・・いずれ・・・何かを言わんやであると思われる。 すでに、長期金利が上昇し始めたようである。悪い物価上昇を招かねばよいのだが・・・・ |
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NO.253 | 2009/05/21(木) 日本経済新聞より |
金の1―3月需要量 中国、世界最大に 2009年1―3月期の中国の金の需要量が世界最大の金需要国インドを上回ったことが、国際的な金の調査機関などの世界需要統計で20日、明らかになった。販売規制の緩和を進める中国が需要を伸ばしたのに対し、インドは高値相場での換金売りが増加した。数年後には年間で中国がインドを抜いて最大の需要国になるとの見方もあり、相場にも影響を与えそうだ。 米国は前年比15%増 活発な分散投資 背景 四半期ベースで中国の需要量がインドを上回ったのは、07年10―12月期以来。米国も前年比15%増加し、不況下での米市場での活発な金投資を裏付けた。 国際的な金の調査機関、ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)と英貴金属調査会社、ゴールド・フィールズ・ミネラル・サービシズ(GFMS)が主要国・地域の需要量を調べた。 上場投資信託(ETF)を除く投資と宝飾品の需要量の合計は、中国が105.2トンと前年同期に比べ2%増えた。これに対しインドは17.7トンと83%減った。中東地域は26%減の53.6トンだった。 米国は前年同期比15%増の55.2トンだった。景気後退下での米国の需要増は株式相場の低迷や通貨不安を受け、金への分散投資が活発になったのが背景だ。 中国では金投資の規制緩和や環境整備が進んでおり、投資熱が高まっている。二年前に銀行での投資用金地金の販売が解禁され、昨年は上海の商品先物市場で金が上場された。宝飾品の需要も伸びている。 一方、景気後退を背景にインドでは金の需要が大幅に落ち込んでいる。「投資好きな人が多い中国は買いが膨らみ、インドは換金売りが増えた」(貴金属アナリストの亀井幸一郎氏)との見方もある。 中国は07年に南アフリカを抜き、二年連続で世界最大の金産出国になった。「数年後には中国が生産・需要の両面で世界一の金の大国となり、国際相場に中国が大きな影響を及ぼす可能性がある」(WGCの豊島逸夫・日韓地域代表)との指摘もある。 |
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【柴立の独り言】 中国という恐竜がいよいよ動き出すのだろう。 恐慌発信元の米国の金投資の活発化は、ドル安が予見される中での対応策として当然の事象でもあろう。 いよいよインフレへ突入していく前触れなのだろうか・・・・ |
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NO.252 | 2009/05/16(土) 日本経済新聞より |
ユーロ圏GDP2.5%減 1―3月前期比 年率なら10%弱 通貨統合後で最悪 【ブリュッセル=赤川省吾】 欧州連合(EU)統計局は十五日、ユーロ圏十六カ国の2009年1―3月期の実質域内総生産(GDP)が前期に比べ2.5%減となり、前期の1.6%減に比べ減少幅が一段と拡大したと発表した。年率換算ではマイナス10%弱で、1999年の通貨統合以降で最大の落ち込み。欧州経済は昨年4―6月期から4・4半期連続でマイナス成長を続けており、追加の景気対策論議が浮上する可能性が出てきた。 ユーロ圏の1―3月期のGDPは、米国のGDP(年率換算で前期比6.1%減)を大きく上回る減少幅となった。経済のけん引役である輸出の減少に歯止めがかからず、域内で最大の経済力を持つドイツのGDPが前期比3.8%減と70年の統計開始以来で最大の落ち込みを記録した。 フランス、イタリアなどの主要国も軒並みマイナス成長となったほか、自動車部品や機械産業が立地するスロバキアが前期のプラス成長から一転して11.2%のマイナス成長となった。EU27カ国全体でも前期比2.5%減。英国のマイナス幅が拡大したことに加え、バルト三国やハンガリーなどで景気後退が続いた。 |
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(柴立の独り言) 欧州も米国発金融危機の一端を担って来ており、同じ穴の狢である。マイナス成長は予期されていたことで、驚くには値しない。日本のマイナス成長も金融塗れではないにしても輸出のストップでマイナス成長!同じことである。今の時点で金融危機を作り出した総本山の米国のマイナス成長よりも、日本及び欧州のマイナス度合いが大きいということは、米国のマイナス成長が今後大きくなることを予測している自分の予測に基づけば、日本及び欧州のマイナス経済成長は更にもっとひどいものになるということだ。景気対策!と称して世界中で金融緩和と途方もない額の資金供給が今後も加速度的に行われるとしたら、私の予測のハイパーインフレが、そして「サイクロンインフレ」が的中するのかもしれません。大恐慌とともにサイクロンインフレが来るものと覚悟するに如くはありません。対応策が欠かせません。 |
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NO.251 | 2009/05/08(金) 日本経済新聞より |
欧州中銀も「量的緩和」 日米と足並み 0.25%利下げ 【フランクフルト=赤川省吾】 欧州中央銀行(ECB)は七日の定例理事会で追加的な金融緩和策を決めた。ユーロ圏十六カ国に適用する政策金利を0.25%下げて十三日から年1.0%とするほか、金融機関への資金の貸付期間を一年に延長。民間金融機関が発行する債券も六百億ユーロ(約七兆八千億円)規模で購入する。いずれも銀行の資金調達を支えるのが狙い。主用国の中銀が利下げ以外の政策手段で通貨供給量を拡大する「量的緩和」で足並みをそろえる。 最重要の市場調節金利は1999年の通貨統合後の過去最低を更新する。トリシェ総裁は「長期のインフレ率も安定している」と利下げの理由を説明した。 日銀や米連邦準備理事会(FRB)は国債などを買い取って資金供給量をふやす政策を打ち出している。ECBも金融機能の回復に向けて新たな措置を導入。まず公開市場操作(オペ)を通じた金融機関への資金供給期間を現行六ヶ月から一年に延長する。金融機関が国債などを担保に差し出せばECBが長期の資金繰りを支援する仕組みで、トリシェ総裁は「固定金利で供給額に上限を設けない」と説明した。 さらに金融機関が発行する「カバーボンド(金融債の一種)」と呼ばれるユーロ建て債券を購入する。ECBは「詳細は六月四日の次回理事会で公表する」(トリシェ総裁)としており、その後に債券購入を開始する。堅実な資金を裏付けとする金融債であるファンドプリーフ債を念頭においているとみられる。 日米欧の政策金利 ※米国 0〜0.25% 日本 0.1% 今回の欧州中銀 1.0% |
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【柴立の独り言】 まさかECBまでもが政策金利をここまで引き下げるとは・・・・ 米国発の金融危機は米国の金融界がどんなことをしたかを省みれば、米国自体の経済回復に困難を伴うことは自明の理である。利下げのみにとどまらず、大量資金供給で凌ごうとしている。再生には相当の時間と膨大な額の資金投入を伴うことであろう。 日本は1990年バブル崩壊以来のデフレ不況が20年近くも続き、800兆円超という財政赤字を伴った資金供給を続けてきている。最近は米国の過剰消費や、はたまた中国の発展期待もあって外需による景気回復の兆しも見えた。そこに米国発金融危機!、国内は様々な社会的歪を内包しており、財政状況は逼迫の度を通り越して正に危機の状況であるとみている。長期に及ぶ超低金利はいまだに続き、新たに始めている日銀による大量資金供給も異常と見ている。 そこの今回のECBによる更なる利下げの決定は全世界を巻き込んだ超低金利の世界となってきた感がある。世界の経済の大方を占めるで国々での超低金利時代への突入と大量資金供給が続けば世界の経済状況は一体どうなるのか、実物とマネーのバランスをどう取り繕えるのか・・・ 日本がバブル崩壊以後たどって来たデフレ現象と同じと考えられるのか・・・あるいは・・・・ 全世界を巻き込んだ大変な経済現象が発生するのか・・・思慮に猶予は許されなさそうだ。 自分たちのアパート投資の方向は間違った方策ではないと判断でき、アパート投資の姿勢を一層拡大し広域化して行こうと考えている。 |
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NO.250 | 2009/05/01(金) 日本経済新聞より |
GDP比168%に 債務残高 財務省見通し 今年度、補正など反映 財務省は三十日、2009年度末の国内総生産(GDP)に対する国・地方の長期債務残高比率が168.5%になるとの見通しを公表した。今年度補正予算案や政府経済見通しの下方修正を反映した数値で、前年度末と比べ10.8ポイント上昇する。与謝野馨財務・金融・経済財政相は、同比率の引き下げを新たな財政健全化目標とする意向で、具体的な引き下げ幅などを巡る検討が焦点となりそうだ。 国債残高と借入金を合わせた国の長期債務残高は年々増え続けている。政府が四月に取りまとめた追加経済対策では、財源として十兆八千億円の新規国債を増発。その結果、今年度末の国と地方の長期債務残高は前年度末より二十九兆円増え、八百十六兆円に達する見込だ。内閣府がGDPの成長率見通しを下方修正したことも比率の上昇につながった。 債務残高のGDP比を財政健全化の目安とするのは、欧州各国では一般的だ。算出基準が異なるため単純比較は出来ないが、日本の168.5%は主要国で最悪の水準。経済開発協力機構(OECD)の経済予測では、短期証券や社会保障基金を含む日本の債務残高GDP比(09年)は174%で、二位のイタリア(114%)を大きく上回る。 小泉政権下で定めた「骨太方針06」では、11年度にまず国・地方の基礎的財政収支を黒字化し、10年代半ばまでに債務残高GCP比を「安定的に引き下げる」とする目標を掲げていた。 |
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【柴立の独り言】 国と地方を合わせた債務残高が膨らみ続けてきたことは、1990年の日本のバブル崩壊以来の国内経済対策や米国からの経済対策要求を受けての債務残高増であった。ここにきて、米国発の金融・経済危機で、更なる経済対策をしなければならない状況に嵌っている。 米国は詐欺的ともいえる証券・金融バブルとともに不動産バブルをも生み出し、揚句サブプライムローン破綻をきっかけとした、金融危機を造り出した。今、世界を経済的震撼させている。一種、米国家計の借金で贅沢をする体質が生み出した金融危機ともいえる部分がある。 翻って、日本国の借金体質は大丈夫なのでしょうか・・・・・。 プライマリーバランスの目標さえも延期せざるを得ない状況は異常と言わざるを得ません。 異常な状況を、危機として国民はどれほど深刻に受け止めているのでしょうか。 際限のない財政悪化への危機感の無さ、そのものに対し危機感を感じずには居れません。 この借金はいずれ遠くない将来、今の世代が解決させられる状況になる・・・・とみています。 借金による高負担を後世代に残してはならないはずです。自然の摂理が働くものとみています さて、それはどんな世界なのでしょうか。よ〜く考えてみたいものです。 |
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NO.249 | 2009/04/27号 日経ビジネス誌より |
株価回復は一時的 金融機関の損失は、今後さらに拡大する 海外の論壇から ノリエル・ルービニ ニューヨーク大学スターンビジネススクール 経済学教授、RGEモニター会長 米国や中国などで、景気後退が和らぐ兆しがわずかに見えたことで、大方のエコノミストは2009年後半に米国がプラス成長に転じ、ほかの先進諸国も同様に回復すると予想している。また、2010年には成長率が2.5%に近づくと考え始めている。 広がる根拠なき楽観的見通し 投資家も経済収縮のペースが緩やかになってきたことは、景気の底が近づいたことを示すとして、様々な回復の兆候についてポジティブに語り始めている。その結果、米国や世界の株式市場は反発している。市場は、企業や金融機関の業績にようやく明るい見通しが出始めたと見ているのだ。 これらは事実に基づかない楽観的な観測だと私は考える。過去2四半期にマイナス6%に陥った米国の経済成長率は、今年後半も依然1.5〜2%のマイナスが続くだろう(強気の予想はプラス2%だが)2010年も、成長率は2%以上になるとの見通しもあるが、0.5%〜1%にとどまるとみている。失業率も10%を超え、不況感は変わらないだろう。 ユーロ圏や日本の2009〜10年の見通しはもっと悪い。来年もほぼゼロ成長だろう。中国経済は年内には回復するものの、今年の成長率は5%、2010年も7%と、過去10年の平均成長率である10%を下回る。 主要国の経済見通しが弱い以上、銀行などの損失は拡大する。私の最新の予想では、米金融機関の融資や証券投資に関連した損失額は3.6兆ドル(約360兆円)、その他地域の損失は1兆ドル(約100兆円)に達する。 年初に銀行の予想損失額を1兆ドルから2.2兆ドルに修正した国際通貨基金(IMF)は再び、米国の資産関連は3.1兆ドル、外国資産関連は0.9兆ドルと損失の拡大を発表する予定で、これは私の予測に近い。これは、米国及び海外の銀行の多くが実質的には破綻しており、国有化せざるを得ない状態にあることを意味する。巨額の損失を計上し続けるゾンビ銀行が存在する限り、信用収縮は長期化するだろう。 米国や世界の株式市場の回復は、弱含みの相場における一時的な反発と見るべきだ。エコノミストの間では、過去9回の不況のうち株式市場が予測したのは12回だという冗談があるが、これは市場が暴落しても不況になるとは限らないことを意味している。一方、この2年間に株式市場は6回、ゼロ成長からの回復を予測して反騰したが、結局は失速し、安値を更新してきた。 株価の一時的な回復は、当面続くかもしれないが、以下の理由で再び下落すると見る。第1に、マクロ経済指標は予想以上に悪化し、世論の統一見解ほど早く回復しない。第2に、企業や金融機関の業績も期待ほど早く回復しない。というのも、弱含みの経済成長にデフレ圧力や社債のデフォルト(債務不履行)率上昇が加わり、企業の価格決定力が弱まって、利益率が改善しないからだ。第3に、金融危機の影響が予想以上に深刻さを増す。いずれ、銀行の損失額が膨大で、数行は債務不履行の状態にあることが判明するだろう。ヘッジファンドなどによるレバレッジの解消は、流動性の乏しい市場での資産の投げ売りになる。新興国はIMFの支援にもかかわらず、厳しい金融危機に陥り、ほかの経済圏へも影響が波及していく。 従って、一時的な反騰がしばらく続いても、株式やその他リスクの高い資産への価格下落圧力はなくならない。 世界不況の長期化は不可避 確かにこの数ヶ月、多くの国が積極的な政策を打った。前例のない金融緩和や大規模な財政出動、金融機関の救済、個人向け住宅ローンの債務救済、新興国への金融支援などだ。世界中で暴落が起きた半年前、恐慌に陥るリスクは大きかったが、こうした施策によって、そのリスクは減った。 にもかかわらず、世界的不況は予想以上に長期化するだろう。恐慌や金融破綻を回避できる、かすかな望みはあるかもしれないが、どこも景気回復は弱含みで時間を要するだろう。金融市場の持続的回復も同様である。 Nouriel Roubini c Project Syndicate |
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【柴立の独り言】 1990年代の日本のバブル崩壊のときも金融機関の損失は隠しに隠されてきたフシがある。 100歩譲って、本当に不良債権の巨額さが分かっていなかったとすれば、今回の世界的バブル崩壊の事態も想像を絶する金額に及ぶであろうことは容易に予測できる。あるいは世界の銀行は巨額な損失をひた隠し続けるのかもしれません。事が米国を発信基地としているだけに、問題の深刻さは比類のものとなるであろうことも理解できる。 今回の金融不況に対して、世界恐慌の発生を防止するという大義名分で、日本を初め世界各国の政策はゼロ金利、あるいは低金利への誘導と、巨額の財政出動が組み込まれ、銀行を初めとする金融関連機関への資金供給と、一般企業への資金供給も始まり、その資金手当てとしての国債を中央銀行が買うという紙幣増刷までやり始めています。 私達はどう対処すべきなのか、ひずみが起こって、高金利状態になり、かねてから危惧している、ハイパーインフレ、更には「サイクロンインフレ」(私の造語)が襲ってこないのか・・・、私どものようにアパート投資を始めている者にとっては、いっときの油断もなくグローバル経済の動きをしっかりと見続けていくことが欠かせません。ダイナミックな時代にあるのでしょう。 |
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NO.248 | 2009/04/17(金) 日本経済新聞より |
40道府県で人口減 少子高齢化が加速 75歳以上が14歳以下上回る県 倍増 昨年10月推計 総務省は十六日、2008年10月1日現在の都道府県別、年齢別の推計人口を発表した。東京都など七都県で前年より人口が増えたものの、40道府県で人口減となった。75歳以上の数が14歳以下(年少人口)を上回った県は前の年の6県から12県に倍増。「人口減少社会」の本格的な到来と少子高齢化の加速がデータで裏付けられた。 秋田が最大 人口が増えたのは東京のほか、愛知、滋賀、神奈川、千葉、埼玉、沖縄。沖縄以外の六都県では、人口流入が流出を上回る「社会増」が目立っており、都市部への人口移動が続いている。前年は人口が増えていた静岡、三重、福岡の三県は減少に転じた。人口減の40道府県のうち最も減少率が高かったのは秋田の1.14%減で、青森、高知と続いた。 75歳以上の人口が年少人口を上回る地域が一気に増え、岩手、秋田、山県、新潟、鳥取、島根、山口、徳島、愛媛、高知、大分、鹿児島の12県となった。75歳以上の比率が最も高かったのは島根で15.9%。 一方で年少人口の割合は出生率が高い沖縄県が17.9%で最高だった。 四人に三人 ■戦後生まれ 日本の総人口は1億2769万2千人となり、前年に比べ7万9千人(0.06%)減った。うち戦後生まれの人口は9645万6千人と総人口の75.5%を占め、初めて四分の三を上回った。 世界最速で進む少子化と高齢化を背景に、老年人口が占める割合はすべての都道府県で上昇。前年を0.6%上回る22.1%になった。島根(28.6%)をトップに秋田、高知と地方が並ぶ。そうした中で、今回の推計では地方だけではなく都市の高齢化が進む実態も浮き彫りになった。老年人口の増え方をみると前年に比べた増加率では埼玉が5.2%増とトップ。次いで千葉(4.8%増)、神奈川(4.5%増)と、首都圏のベッドタウンが並ぶ。 急速に進行 ■都市の高齢化 都市部では高度成長期の1960年前後に地方から人口が大量に流入。この世代の高齢化都市とその近郊の老年人口を押し上げており、この傾向は今後も続く。総務省統計局は「1947―49年に生まれた団塊の世代が引退する2012年以降、都市部の高齢者はさらに増える」とみる。日本政策投資銀行の藻谷浩介氏は「高齢化率が高い地方に比べ都市部は社会保障のインフラが脆弱」と指摘。「増える高齢者に都市の福祉機能が追いついていない」としている。 今回の推計を見ると、東京や愛知の社会増ペースが鈍化している。景気が悪化すると都市部の求人数が減るため人の移動は緩やかになる。都市への人口流入が落ち込めば都市の高齢化が一段と進む。公共事業などを通じて都市部で生み出した利益を地方に配る従来型の再配分モデルが曲がり角に差し掛かりつつある。 平均寿命が延びて高齢者が増え、出生率が落ち込んで若者が減る日本。政府の見通しでは現在5人に1人の65歳以上人口は2030年には3人に1人に膨らむ。急激な高齢化を伴って進む人口減少は、地域社会の構造変化だけでなく、医療は介護など社会保障システム、労働力人口の減少といった様々な問題をはらんでいる。 |
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【柴立の独り言】 何を隠そう、私も1948年3月生まれでして今61歳!団塊世代そのものです。 否応なく日本の成長期の時代の中心に置かれていたと思います、そして少なからず時代を創って来たのかもしれません。昨今の年金政策のいい加減さもあり、年金の破綻がささやかれていますが、まさに一つの時代を創って来た団塊世代の私どもが、今度は年金を食いつぶしてしまうという時代を創ってしまうのかもしれない・・・と一抹の危惧を持っています。 孫たちは負担に耐えられるのだろうか・・・その後は・・その先はどうなるのだろうか・・・と 私は年はとっても、自分たちの暮らしは何とか自分たちで築き上げれないものか・・・と、 4年前から中古アパートを購入し始め、現在6棟目、まだまだ極小規模ですが、人口減少にも打ち勝つノウハウをつくりあげながら、確固とした経営に仕立上げようと日々奮闘中です。 |
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NO.247 | 2009/04/11(土) 日本経済新聞より |
追加経済対策 景気下支え 最大の56兆円 財政悪化、深刻さ増す 税収と国債発行逆転も 税制抜本改革 課題に 政府・与党が十日に決定した「経済危機対策」は、十五兆四千億円に上る過去最大の財政支出を約束した。経済の底割れ防止や国際協調への配慮を重視したことで、財政悪化は一段と深刻さを増す。2009年度の一般会計総額と新規国債発行額はともに過去最高を更新し、国と地方を合わせた基礎的財政収支の赤字は二十兆円超に大幅に膨らむ。景気に悪影響を及ぼす長期金利の上昇を抑えるためにも、中長期の財政再建シナリオ策定が課題として残る。 苦しい決意 「経済の底割れを招けば、財政健全化は遠のく。健全化のためにも思い切った財政出動を早期に実行する」。与謝野馨財務・金融・経済財政相は十日の記者会見で、苦しい胸の内を明かした。財務省にとって財政再建は最重要課題だが、固執すれば景気が一段と冷え込みかねない。経済の下支えと国際協調の観点から一定の財政出動は避けられない判断だった。 今回の対策を裏付ける09年度補正予算案は、過去最大だった1998年度第三次補正予算の歳出規模の二倍近くに達する。当初予算と合わせた国の一般会計予算の歳出総額は初めて百兆円を突破する見込だ。 深刻なのは歳出を賄う歳入の実情。今年度の税収見通し46兆円に対し、国債発行収入は当初予算(33兆円)に今回の対策で増発する分を加えると、初の40兆円の大台越えがほぼ確実だ。税収見積もりは更に下振れする公算が大きく、税収と国債発行収入が逆転する可能性が高い。主要収入源を「借金」に依存する異常事態に陥る格好だ。 金利を懸念 財務省が懸念するのは積極財政が長期金利に跳ね返る事態だ。実際、長期金利は財政悪化懸念などを背景に、昨年末比で0.3%強上昇している。このまま上昇が続けば、利払い負担が膨張し、財政をさらに圧迫するほか、企業が設備投資を控えたり、住宅ローン金利などの上昇で個人消費の減退につながったりする恐れがある。 ーーー以下略 |
【柴立のひとりごと】 元来、国と地方公共団体に850兆円もの借財がある。 そこに百年に一度といわれるほどの金融経済危機を迎えることになった。 経済活動は垂直的に落下してきていると言われ、それなりの経済対策が望まれるところではある。 最早、財政健全化どころではなくなってきたのでしょうか。 異常な経済状況に対応して異常な経済対策に打って出た!政府 本当に仕方の無いことなのでしょうか? 際限の無い、野放図な、更に巨額な財政赤字を作り出す経済対策に陥っていかなければよいがと願わずにはおれません。 物価やお金の価値がどうなるのか?良く見極める必要がありそうです。(柴立) |
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NO.246 | 2009/04/03(金) 日本経済新聞より |
財政出動、総額500兆円 2010年「世界2%成長」へ協調 金融サミット閉幕 【ロンドン=森本学】 日米欧に新興国を加えた二十カ国・地域(G20)首脳会合(金融サミット)は二日午後(日本時間同日深夜)、首脳宣言を採択し、閉幕した。2010年の世界経済の成長率を2%に回復させるため、財政出動など「あらゆる必要な行動」をとることで一致。参加国が来年末までに総額五兆ドル(約五百兆円)の財政出動に踏み切ることで、数百万人分の雇用の維持・創出を目指すことを表明した。保護主義を防ぐため、通貨引き下げ競争を抑制することでも一致した。 世銀・IMF途上国支援100兆円 金融危機が実体経済に悪影響を及ぼす「負の連鎖」が強まり、国際通貨基金(IMF)によると09年の世界経済の成長率はマイナス0.5%から同1%と戦後初のマイナスに落ち込む見通し。一方、10年には2%程度の成長率を回復すると予測している。首脳宣言ではこのIMFのシナリオを引用し、その実現へ参加国が結束する姿勢を打ち出した。 中心的な議題となったのは世界経済の回復に向けた財政出動での政策協調と、危機の再発を防ぐための金融監督・規制の見直し。米国や日本、中国などが追加財政出動での協調に軸足を置いたのに対し、財政悪化を嫌う欧州は金融規制の強化の必要性を強調。最後まで姿勢の差は埋まらず、最終的には景気刺激と規制強化の「いずれもが重要」との認識を確認することで決着した。米国が一時主張した追加財政出動の数値目標の設置などは見送った。 金融規制では各国の金融監督が実態をつかみきれなかったヘッジファンドなどへの監視を強化。主要国の金融監督当局などでつくる「金融安定化フォーラム」への参加を、従来の十二カ国・地域からG20全体に広げて「金融安定化理事会」に改組。ヘッジファンドの監視にあたらせるほかIMFとの連携を強め、金融危機の兆しを点検する。「早期警戒」機能を強める。 格付け機関の登録制導入や、独仏などが強く求めていたタックスヘイブン(租税回避地)への監視強化でも一致。経済協力開発機構(OECD)に対し、非協力的な国・地域のリストアップを求めた。 金融危機の直撃を受けた新興・途上国への支援強化策では、昨年秋時点で二千五百億ドルだったIMFの融資可能枠を三倍に拡大、世界銀行と合わせて1兆ドルの追加的な資金を供給することで合意した。IMFの増資を前倒しすることも確認し、新興国が求めている発言権の拡大を検討する方向を示した。 保護主義への対応を巡っては、昨年11月のワシントン会合の首脳宣言で「今後十二ヶ月間は新たな障壁を設けない」との誓約を明記したが、さらに10年末まで延長することで一致し、自由貿易体制の維持へ協調姿勢をアピール。世界貿易機関(WTO)の多角的通商交渉(ドーハ・ラウンド)についても早期の大枠合意を目指す方針を明記した。 欧州中銀、0.25%利下げ 年1.25% 量的緩和、来月議論も 【フランクフルト=赤川省吾】 欧州中央銀行(ECB)は二日の定例理事会でユーロ圏十六カ国に適用する政策金利を0.25%引き下げることを決めた。最重要の市場調節金利を八日から年1.25%にする。トリシェ総裁は記者会見で追加利下げを示唆するとともに、五月の理事会で「異例の措置」を議論する考えを明らかにした。市場では、ECBが社債購入など「量的緩和」を検討しているとの見方が出ている。 ECBは、二十カ国・地域(G20)首脳会合が景気浮揚に向けた連携を確認するなかで、欧州経済を下支えする姿勢を示した。利下げは二ヶ月連続で、政策金利は1999年の通貨統合後の過去最低を更新。ただ、トリシェ総裁は「今回の利下げが最低ではない。利下げは可能だ」と発言。市場では今回0.5%の利下げに踏み切るとの見方が多かったが、ECBは小幅にとどめて下げ余地を残した格好だ。 トリシェ総裁は「異例の措置」について五月の理事会後の会見で詳細を公表すると説明。すでに英イングランド銀行(中央銀行)が国債や社債などの購入による市場への資金供給量の拡大に踏み切っている。ECBが社債購入で企業の資金繰りを支える同様の対策を打ち出せば、主要な中央銀行が政策金利以外の手段で金融の安定を図るこれまでにない事態となる。 |
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【柴立のひとりごと】 | |
米国のサブプライム・ローン問題を震源とする金融危機(虚空の詐欺経済の後始末)の実態と全貌が詳らかになったとはまだ言えないと思います。 にもかかわらず、日、米、英、欧州、など世界の経済の大方を占める経済大国で一斉に超低金利政策に加えて量的緩和という非伝統的にして前例のない異常な金融措置が取られ始めていますが、不況克服という錦の御旗のための経済対策とはいえ、やがてハイパーインフレになる可能性をコントロールする手立てを世界の各中央銀行は持ち合わせているのでしょうか。 わたくしたちは個人としての対応策を打ち立てる必要性を強く感じています。(柴立) |
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NO.245 | 2009/03/24(火) 日本経済新聞より |
公示地価3年ぶり下落 3.5% 大都市中心で顕著 09年1月時点 国土交通省が23日発表した2009年1月1日時点の公示地価は全国平均(全用途)で前年比3.5%下落し、三年ぶりに前年を下回った。金融危機による投資マネーの減少と景気の低迷が重なって不動産を買い控える動きが広がり、四年ぶりにすべての都道府県でマイナスとなった。特に前年の調査で地価が急上昇した東京都や名古屋市の中心部では10%を超える下落地点も目立った。 景気悪化 投資マネー減少 全国平均の公示地価(全用途)はバブル経済崩壊後の1992年から下落が続いた後、07年に16年ぶりにプラスに転じ、08年は上げ幅を1.7%拡大した。 09年の地価公示は全国の住宅地が前年比3.2%、商業地が同4.7%下落した。前年と比較ができる全国約二万八千ヶ所の調査地点の中で、地価が上昇したのは北海道伊達市など23地点だけだった。上昇地点の数は1970年の調査開始以来、最も少なかった。 下落が鮮明だったのが、大都市の中心部。08年に平均で22.1%上昇した東京・港区の商業地は、今年は前年に比べ13.1%落ち込んだ。住宅地でもこれまで人気が高かった港区や品川区、渋谷区、など東京都心部で、軒並み二ケタの下落を記録した。名古屋は不動産ファンドによる投資の減少に加えて自動車産業の不振の影響が広がった。 三大都市圏(東京・名古屋・大阪)の下落率は住宅地で3.5%、商業地で5.4%と、全国平均を上回っている。 米大手証券リーマン・ブラザーズが昨年九月に破綻したのをきっかけに金融市場の混乱が拡大。値上がりや商業施設の収益の拡大を期待して、国内の不動産に流れ込んでいたファンドや不動産投資信託(REIT)の資金が急速に細った。 景気の低迷で企業はオフィスを借りたり、工場や店舗の土地を取得したりする動きが減少した。個人もマンションなど住宅購入を手控える傾向が鮮明だ。仙台市や札幌市、福岡市など地方中核都市でも下落率が大きかった。国交省は「景気悪化や資金調達難などマイナス材料が多い。地価が上がる要素は見当たりにくい」と分析している。 |
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【柴立のひとりごと】 ややバブル気味かなと思われていた三大都市圏を中心とした都市部での昨年の地価上昇傾向は、リーマンブラザーズの破綻以来急激なファンド資金の引き上げや銀行融資の厳格化でREITの倒産などを伴いつつ、地価の下落が現実のものになってきた。米国のサブプライムローンを筆頭とする米国詐欺経済によるバブル現象があったとすれば、グローバル経済でもあり、日本の地価も多少の下落は当然なのかもしれません。ただ、地価の二極化は以前から始まっていることであり、下落が大方の部分で発生するとしても、金融商品化して収益還元法での地価決定方式に鑑みれば、価値のある都市中心部の地価まで引きずられて下がるとは見ていません。グローバル経済は国と地域の経済競争が生まれ、競争に勝ち抜くには究極の合理性を追求しなければ生き延びられない事は自明の理であり、合理性を追求して、活力ある地域づくりが欠かせません。(柴立) |
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NO.244 | 2009/03/20(金) 日本経済新聞より |
FRB、国債3000億ドル購入 「ゼロ金利」 維持 追加供給1兆ドル超 【ワシントン=大隅隆】 米連邦準備理事会(FRB)は十八日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、長期国債を向こう半年間で最大三千億ドル(約二十九兆円)購入すると全会一致で決めた。住宅ローン担保証券の購入増額などとあわせ、追加の資金供給は合計で一兆ドル超になる。大規模な長期国債購入は約半世紀ぶりとみられる異例の措置。量的緩和による長期金利低下を通じ、景気の一段の悪化を防ぐ。FOMC決定を受け米市場で長期金利は大幅に低下、為替市場ではドルが急落した。 最重要の政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標は現行の年0―0.25%に据え置いた。 中央銀行による長期国債購入は、英イングランド銀行が今月五日に決定、日銀も十八日に増額を決めた。経済危機克服へ世界的な潮流になってきた。FRBの長期国債買い切り額は日銀の約2,7倍に相当する。 FOMC声明のポイント ○ゼロ金利政策 FF金利の誘導目標を0―0.25%に維持 「長めの期間」になる可能性 ○量的緩和(信用緩和) 長期国債購入 今後半年で3000億ドル購入 住宅ローン担保証券購入 2.5倍の1兆2500億ドルに ○政府機関債購入 2000億ドルに倍増 (関連記事) FRBが米国債購入 「量的緩和」 日英米が強調 【ワシントン=米山雄介】 米連邦準備理事会(FRB)が長期国債買い切りを含む追加金融緩和に踏み込んだ。日米英の中央銀行は非伝統的な手法を動員した。「量的緩和」で足並みをそろえた形だ。先進国と新興国で協調を確認した財政出動と金融安定化を後押しするのが狙い。世界経済の危機克服に向け、中央銀行は異例の政策対応を迫られている。 財政出動を後押し 危機克服へ異例の措置 「非伝統的な手法を含む、あらゆる金融政策を活用する」−−−。日米欧に新興国を加えた二十ヶ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議。十四日の共同声明に盛り込まれた「あらゆる金融政策」での協調は、日米で時を置かず実現した。 G20議長国の英国。その中央銀行であるイングランド銀行が五日、英国債などの購入による量的緩和に踏み切ったのを呼び水に、日銀は長期国債買い切りを増額。FRBも当面温存すると見られていた国債買いきりに踏み込んだ。 ECBも前向き 政策金利がゼロ近辺となり、下げ余地が狭まっても「市場への資金供給を増やすことで金融は緩和できる」(バーナンキFRB議長)という理論の実践に日米英で足並みをそろえた形。欧州中央銀行(ECB)も「非日常的な手法を議論している」(トリシェ総裁)としており、従来の「協調利下げ」に代わって、長期国債購入などによる「協調緩和」の枠組みが整いつつある。 政策の照準も絞り込まれてきた。G20声明で最優先課題に掲げた金融機関の融資機能回復と内需拡大に向けた政府による財政出動の側面支援だ。 FRBが十八日決めた住宅ローン担保証券(MBS)の購入拡大や、消費者・中小企業向け融資の拡大を狙った新しい資金供給制度は、信用収縮で機能不全に陥った市場の資金取引を回復するのが目的。日銀が銀行の劣後ローンを引き受ける形で資本増強を支援するのも、貸し渋りの解消が狙いだ。 規律緩む懸念も ただ中央銀行による国債買い切りは、財政規律の緩みへの懸念からインフレを招くリスクと背中合わせだ。市場への資金供給の担保としてFRBが様々な資産を抱え込みことで財務の健全性に疑問符がつき、通貨価値の信認に影響する恐れもある。ドル売り・円買いは十九日午前も歯止めがかかっていない。 「金融安定なくして景気回復なし」。こう訴えるバーナンキ議長が一段の追加緩和に踏み込まざるをえなかった背景には、大手銀行の不良資産の抜本処理など政府の金融安定化策の迷走という深刻な問題がある。 (関連記事) 金融・財政一体、半世紀ぶり FRBが長期国債の買い切りに踏み切る。米国では景気浮揚のために財政がフル出動し、国債の発行が増える。その国債を中央銀行が買い取ることで、金融政策は積極財政と事実上一つになり、経済政策は有事一色を一段と強める。 「うれしい驚き」 意表を突く決定だった。十八日、米連邦公開市場委員会(FOMC)が長期国債購入を決定すると、国債相場は大幅に上昇し、長期金利は約0.5%も急低下した。金融関係者がポジティブサプライズ(うれしい驚き)を抱いたのは訳がある 三月六日、ニュウーヨーク連銀のダドリー総裁は「民間の信用市場を改善させるために、我々はすでに様々な措置を講じている」と国債購入に慎重な姿勢を崩さなかったからだ。それからわずか十日あまり。イングランド銀行の策を市場が好感したのをにらみ、FRBはカードを切った。 昨年、米欧を中心に世界十カ国・地域は短期の政策金利の協調利下げに踏み切った。今回は各国の事情を踏まえつつ、長期金利の低位安定策で足並みをそろえた。 米国の場合、住宅ローン金利は最も安全な国債に一定幅を上乗せする形で決まる。国債の利回りが下がり、住宅ローンも追随すれば、住宅市場のテコ入れにつながる。 銀行の貸し渋りで、社債の発行に頼る企業にとっても、長期金利の低下は助かる。貸し出しの代替資産として国債保有を増やす銀行や機関投資家も、国債価格の下落リスクが減る。長短の金利差は依然大きいだけに、銀行の利ざやとなり、不良資産処理のための事実上の補助金となる。 これらのメリットをFRBは狙っている。だが、国債買い切りで最も助かるのが、増発する国債の消化に頭を悩ます米政府であるのは間違いない。2009年の国債の新規発行は二兆ドル(百九十兆円)に迫る可能性もあり、世界の貯蓄の年間増加額を上回るとの指摘もある。 しかも米国債の最大の保有者にのし上がった中国は、日本のようなサイレントインベスター(おとなしい投資家)ではない。クリントン米国務長官は訪問先の中国で、米国債の継続保有を訴えざるをえなかった。実際には昨年後半以降、中国は長期国債の保有を絞り、短期債にシフトしている。 「各国は国内総生産(GDP)比で2%の財政刺激を」。ガイトナー米財務長官は訴える。だが各国一斉に財政のエンジンをふかすと、経常赤字国である米国はどこから資金を調達するかという問題に直面する。 出口の保証なく 今は民間の資金需要が落ち込んでいるので、銀行や機関投資家を通じて国債にお金が流れてくる。だが米経済が政府の描くような回復コースをたどれないと、財政政策は引き際を見出しにくくなり、誰が国債を引き受けるのかという課題が深刻になる。 大不況に陥った1930年代の米国では、FRBが長期国債を買い支え政府の積極財政を後押しした。その政策は第二次大戦を経て50年代初頭まで続いた。ほぼ半世紀ぶりに復活した今回のFRBの決定は六ヶ月の時限措置だが、半年で出口にたどり着く保証はない。事実上、財政と金融が一つになった米国。通貨の信認を保ちつつ、金融危機を克服し景気を上向かせられるのか、オバマ政権の指導力が試されている。(ニューヨーク=編集委員 滝田洋一) |
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NO.243 | 2009/03/10(火) 日本経済新聞より |
日経平均 バブル後最安値 終値7086円 26年5ヶ月ぶり水準 九日の東京株式市場で日経平均株価が続落した。昨年10月27日に付けたバブル後の最安値を下回り、1982年10月6日以来、26年5ヶ月ぶりの安値水準に落ち込んだ。世界景気や企業業績に対する警戒感が一段と高まり、投資家が株式の持ち高を減らす動きが広がった。 日経平均の終値は前週末比87円07銭(1.21%)安の7086円03銭。三菱UFJフィナンシャル・グループが5%近く下げるなど、国内景気の影響を受けやすい金融株の下落が目立ったほか、ホンダなど輸出関連株も売られた。 有効な株価・景気対策が出てこないことも投資家心理を悪化させている。政府・与党は「銀行等保有株式取得機構」による上場投資信託(ETF)の直接買い付けなど株価対策を検討中。だが、市場では「政局が混迷しており、実行できるのか不透明」(大和證券SMBCの高橋和宏グローバル・プロダクト企画部部長)との見方が多く、投資家の不安を解消する決め手にはなっていない。 株安の波は世界的に広がっている。米国でダウ工業株三十種平均が五日に約十二年ぶりの安値を更新するなど、すでに主要国の多くで昨年付けた安値を下回っている。 二十六年前の1982年10月は、日本経済が第二次石油危機を乗り越えて日経平均が89年12月の最高値(38915円)へ向かう上々相場の入口だった。 バブル崩壊後、2003年に日経平均は7607円まで下落。07年には小泉改革期待で18261円まで戻したが、金融危機に端を発した世界的な景気悪化で、再び逆戻りした格好だ。 (関連記事) 2009/03/11(水)日本経済新聞より 日経平均、連日のバブル後安値 7000円割れ寸前 せめぎ合い 10日の東京株式市場で日経平均株価は3日続落し、連日でバブル経済崩壊後の安値を更新した。終値は前日比31円05銭(0.44%)安い7054円98銭。1982年10月6日以来の水準となったが、心理的な節目とされる7000円台は維持した。世界景気や企業業績の悪化を背景とした売り圧力が根強い一方で、景気対策や公的年金の買いへの期待感などが株価の底割れを辛うじて食い止めている。 日経平均は一時7021円(前日比64円安)まで下げる場面もあったが、終値は7000円割れ手前で踏ん張った。 市場で聞かれたのは「年金基金の買いが7000円割れを食い止めている」という解説だ。年金は信託銀行経由で買い注文を入れる。信託銀行は足元で買い越しを続けており、外国人投資家の売り圧力を緩和する役回りになっている。 政府・与党も追加経済対策の検討作業を本格化しており、株価下支えに全力を挙げる姿勢を見せている。与謝野馨財務・金融・経済財政相は10日「株安がもたらす信用収縮には断固立ち向かう」と語った。銀行等保有株式取得機構が銀行などからの株式買い取りを今月中旬に再開する。 ・・・・・以下略 |
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NO.242 | 2009/03/04(水) 日本経済新聞より |
世界で100兆円に迫る 公的資本注入 金融機関向け 損失なお拡大 世界的な金融危機を受け、主要国による金融機関への公的資金の資本注入額が百兆円に迫っている。金融機関の経営基盤を強化し、金融システムを安定させて危機の波及を抑える狙いだ。日本の金融危機時に注入した金額の約八倍に相当し、危機の深刻さを示している。金融機関の損失拡大で公的資金の注入額はさらに膨らむ公算が大きく、各国の財政を圧迫しつつある。 公的資金による資本注入は、国が金融機関の株式を買うなどの方法で資本を入れることを指す。金融システムを守るとともに一般企業や個人への融資などを促す狙いがある。日本は1990年代後半の金融危機を封じ込めるため、当時、約十二兆円の資本を注入した。 金融危機に対応した公的資金の注入額を地域別に見ると、最も多いのが米国で、七千六百五十億ドル(約七十四兆円、予定を含む)に達する。二日に追加注入を決めた保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)や銀行大手シティグループのほか、中小金融機関など四百を超える機関に注入した。 欧州では公的資金の注入額が約十六兆円に拡大した。 英国は大手のロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)など三行に計三百七十億ポンド(約五兆円)を投入。 ドイツはドレスナー銀行を吸収合併したコメルツ銀行に百八十二億ユーロ(約2.2兆円)を出資した。 仏政府はBNPパリバなどに資本注入する方針。 スイス、オランダ、ベルギー、デンマーク、ラトビア、スウェーデン、アイルランドなども資本支援に動いた。 注入額は米欧合計で約九十兆円に上る。公的資金による支援策は直接の出資のほか、融資や損失保証もあるが、資本支援だけを集計した。 日本は新しい金融機能強化法で、十二兆円の公的資金による資本注入枠を新たに設けた。ただ現時点で受け入れを表明したのは札幌北洋ホールディングスなど三行にとどまる。注入規模も欧米のように一兆円規模には届かないとみられる。 公的資金の注入により政府支出は膨らみ、財政悪化要因になる。国によっては国債などの増発を迫られ、長期金利に上昇圧力がかかっている。今後、金融機関が再生すれば公的資金は返済されるが、損失拡大に歯止めがかからない場合、国民負担が発生する可能性もある。 国際通貨基金(IMF)は一月末に米国のローン関連で生じる世界の金融機関の損失見込みが累計で二兆二千億ドル(二百兆円)に達するとの推計を公表した。実体経済の悪化を反映して証券化商品などの不良資産の値下がりが続き、08年10月に公表した推計の1.6倍近くに膨らんだ。 みずほ証券の高田創チーフストラテジストは「公的資金の注入はまだ五合目。現在の金額では足りない」と指摘する。損失の拡大により、最終的に世界で二百兆円規模の公的資金の投入が必要になると予測する。 |
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NO.241 | 2009/02/25(水) 日本経済新聞より |
米住宅価格、下げ幅最大 S&P 12月指数 主要10都市で19.2% 【ニューヨーク=藤井一明】 米国の住宅価格の急落が続いている。格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が二十四日発表した昨年十二月の「S&Pケース・シラー住宅価格指数」は主要十都市の平均で前年同月に比べ19.2%下がった。下げ幅は同十一月の19.1%を上回り、1987年の調査開始以来、過去最大を更新した。 同時に発表した昨年10―12月期の全米レベルの指数は前年同月を18.2%下回り、これも四半期で過去最大の落ち込みとなった。直近のピークである06年4―6月期に比べ26.7%下げたが、先安感は強い。指数の生みの親であるエール大学のロバート・シラー教授も「更に十〜十五%下がる」とみる。相場の底入れは10年以降との見方が大勢だ。 昨年十二月の下落率を都市別に見ると、フェニックス(34.0%)、ラスベガス(33.0%)など、早くから住宅バブルが崩壊したとされる地域で軒並み大幅な低下を記録した。 米連邦住宅金融庁(FHFA)が同日発表した昨年10―12月期の住宅価格指数は前期を3.4%下回った。六・四半期連続のマイナスで、下げ幅は過去最大だった。 住宅の値下がりは最近の株安と合わせて、保有する資産の目減りから消費を控える「逆資産効果」を生みやすい。住宅を担保にしたローンや金融商品の不良資産が更に膨らむ恐れもある。 |
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NO.240 | 2009/02/21(土) 日本経済新聞より |
金の取引最高、1900兆円 金融危機で「安全資産」シフト 昨年、秋以降に加速 【ロンドン=吉田ありさ】 金融危機を背景に金の取引量が急増し、国際価格が二十日、一時1トロイオンス1000ドルを回復した。ロンドンの国際金融サービス協会(IFSL)の推計によると2008年の全世界の金取引量は前年比58%増の二十兆二千億ドル(約千九百兆円)と過去最高を更新した。昨年秋以降、主要通貨から安全資産として信用リスクのない金に資産を移す動きが加速した。投資家が広がり、個人による金貨・地金の買いも活発になっている。 国際価格 一時1000ドル回復 二十日のニューヨーク金先物相場は急反発し、ニューヨーク商品取引所(COMEX)で取引の中心である四月物は朝方の取引で、昨年三月中旬以来の1トロイオンス1000ドル台に乗せた。期近物は08年3月に1014.6ドルと過去最高を記録した後、ファンドの換金売りなどで10月下旬には一時700ドルを割り込んでいたが、今月12日には約7ヶ月ぶりに950ドルを上回った。 昨年秋以降、欧米各国の財政悪化懸念からドルやユーロなど主要通貨への不信感が台頭。金は各国の中央銀行が外貨準備の一部として保有するなど通貨の性質を持つため、代替資産としての需要が拡大し、相場が上昇基調に入っている。 メリルリンチ資産運用部門の欧州中東アジア責任者ゲーリー・デガン氏は「米欧の景気後退の長期化懸念から投資家が信用リスクのない金に資産を逃避させている」と指摘する。年金基金などが金価格に連動する上場投資信託(FTF)運用を拡大しているという。 富裕層など個人が金を購入する動きも加速。米造幣局によると今年一月のアメリカン・イーグル金貨の販売量は九万二千オンスと前年同月の四倍近くに増えた。「個人にまで投資のすそ野が広がっているため、今回の相場高騰は一過性にはとどまらないだろう」(ワールド・ゴールド・カウンシルの豊島逸夫・日韓地域代表)との声もある。 IFSLによると、世界の金取引は四分の三が相対で四分の一が取引所での売買。機関投資家などが大口で取引する相対取引を決済するロンドン貴金属市場協会(LBMA)の08年1−11月の金の決済額は一日平均二百億ドルと前年同月比45%増えた。金融機関の破綻が続出した秋以降に取引が急増した。ニューヨーク、東京、ムンバイなどにある金の取引所売買は08年に五兆一千億ドルと前年比80%増えた。 |
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NO.239 | 2009/02/14 日本経済新聞より |
長期的にはインフレ警戒 米企業トップ 【ニューヨーク=藤井一明】 米企業のトップは長期的にみてインフレを心配する声の方が大きいことが民間の調査で分かった。主要な企業経営者で構成するビジネス・カウンシルが一月、全米の最高経営責任者(CEO)七十一人に2010年以降の物価の見通しを聞いたところ、インフレの懸念を答えた割合が45%となり、デフレの7%を大きく上回った。ビジネス・カウンシルは「企業は価格の維持を続けている」とし、デフレの悪循環に陥らないように努めている動きを指摘した。 米国の景気後退の長さについては見方が分かれた。来年以降までずれ込むとの答えが40%あったのに対し、今年後半に終わると見る割合も60%に達した。 |
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NO.238 | 2009/02/7(土) 日本経済新聞より |
米失業率 7.6%に悪化 1月 雇用59万8000人減 34年ぶり減少幅 【ワシントン=米山雄介】 米労働省が六日発表した一月の雇用統計(季節調整済み)によると、失業率(軍人を除く)は前月より0.4ポイント高い7.6%となり、1992年9月以来、十六年四ヶ月ぶりの水準に悪化した。非農業部門の雇用者数は前月から五十九万八千人減少し、74年12月(六十万二千人減)以来、約三十四年ぶりの落ち込み。2008年通年も合計二百九十七万人減に改定され、1939年の統計開始以来で最悪となった。 雇用者数の減少は昨年1月から13ヶ月連続。07年12月以降の景気後退局面での雇用減は合計約三百六十万人に達した。 (関連記事) 1月失業率7.6% 減産・消費低迷が加速 早期の景気対策 カギに 【ニューヨーク=藤井一明】 米国で雇用の落ち込みが加速している。一月の雇用者数の減少幅は約三十四年ぶりの大きさとなる五十九万八千人を記録。自動車を初めとする減産と、昨年のクリスマス商戦の惨敗に見られる消費の不振が響き、雇用を手控える傾向が一段と強まっている。最悪期を脱するには景気対策や金融安定化策を着実に進め、経済の先行きに明るい展望を取り戻すことが欠かせない。 単月の雇用者数の減少は昨年一月から始まった。落ち込みが一年以上続いた例は過去にも同時テロが起きた2001−02年やレーガン政権が深刻な景気後退に直面した1981年―82年にみられた。しかし、今回のように月間六十万人に迫るペースで三ヶ月も続けて急落した局面は第二次大戦後初めてだ。 背景には昨年九月以降の金融危機にとどまらず、自動車の危機がその他の産業に広がる構図がある。製造業の景況感を調べている米サプライマネジメント協会によると、一月に衣料・皮革・化学などの業界が自動車の減産による悪影響を認めた。自動車はガラス、シート、オーディを機器など関連する産業のすそ野が広い。ビッグスリー(米大手三社)や日本勢の工場が生産と止めれば、減産と雇用の縮小が多業種に及びやすい。 失業率が7.6%まで高まった一月は自動車関連だけでなく、金属製品、機械、プラスチックなど下請けに多いと見られる業種の雇用者数も大幅に減った。製造業の雇用者数の減少幅(二十万七千人)は建設(十一万一千人)のほぼ二倍に達した。 四万五千人減となった小売の見通しも暗い。百貨店最大手のメーシーズは今月二日、全従業員の約四%にあたる約七千人の削減を発表。ホームセンターのホーム・デポやコーヒーチェーンのスターバックスも大規模な削減を計画する。生活必需品を除く大半の消費は回復に兆しがみえず、新車販売の急減は車社会の米国で百万人を超す雇用の受け皿であるディーラーを直撃する。 オバマ政権は公共投資の拡大や失業対策を盛り込んだ景気対策の迅速な実施を訴えてきた。同時に公的資金を使った金融安定化策によって金融危機の打開も目指す。雇用の面では政策の効果が早めに表れると見られる建設や金融がいつ立ち直るかが焦点だ。 オバマ大統領は政策が不発に終われば「米経済は更に五百万人以上の雇用を失い、失業率は二ケタに達する」と警告する。米国の政策と雇用は破局を避けるための重大な局面を迎えている。 対策遅れれば失業率2桁も CEA委員長 【ワシントン=米山雄介】 ローマー米大統領経済諮問委員会(CEA)委員長は六日、雇用統計の発表を受けて声明を出し「大胆な財政出動に踏み切らなければ、失業率は二ケタに達する恐れがある」と警告。議会で審議中の景気対策法案の早期成立を求めた。 同委員長は十三ヶ月連続で、合計三百六十万人に達した雇用減を「1939年の統計開始以来、史上最悪」と指摘。「景気の落ち込みに歯止めをかけるには財政政策が必要」と訴えた。 |
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NO.237 | 2009/01/28(水) 日本経済新聞より |
米住宅価格19.1%下落 主要10都市 11月指数 最大の下げ幅続く 【ニューヨーク=松浦肇】 米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が27日発表した昨年11月の「S&Pケース・シラー住宅価格指数」は、主要十都市平均で前年同月比19.1%%下落した。下落率は昨年10月と同水準で1987年の調査開始以来で最大となった。米住宅価格は下げ止まる兆しが見えない。 S&Pによると主要十都市では、(価格が最高値圏にあった)2006年8月から28ヶ月連続で下落した。今後も米住宅価格の下落が続けば、住宅を担保に融資する銀行の不良債権が増加して銀行の貸し渋りが拡大。逆資産効果によって、個人消費が落ち込み恐れがある。 ケース・シラー指数は米国の一戸建て住宅の売買価格を毎月集計し、00年1月を100として指数化した。昨年11月は主要二十都市でも過去最大の下げ率となるマイナス18.2%だった。 主要十都市と二十都市の住宅価格は04年の第一四半期と同じ水準で、ピークだった06年半ばと比べそれぞれ26.6%、25.1%下落した。 |
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NO.236 | 2009/01/23(金) 日本経済新聞より |
米住宅着工件数、最低に 08年33%減 12月はピークの2割 【ワシントン=大隅隆】 米商務省が22日発表した2008年12月の住宅着工件数は季節調整済みの年率換算で五十五万戸となり、前月比15.5%減となった。1959年の統計開始以来の最低だった11月を再び下回った。年間の着工件数も前年比33.3減の九十万四千三百戸で九十一年の百一万四千戸を大幅に下回り過去最低。景気後退の起点である住宅市場の低迷は一段と深刻になっており、米経済のマイナス成長が長期化する懸念が強まってきた。 12月の着工件数は前年同月比では45.0%減。過去最高だった72年1月(二百四十九万四千戸)の二割強の水準。年間の着工件数は、人口が半分以下の日本の住宅着工戸数(1〜11月で百一万戸)を下回った。 先行指標となる許可件数も12月は五十四万九千戸で前月比10.7%減。着工件数、許可件数ともに市場予測の平均(六十一万戸、六十一万五千戸)を大幅に下回った。 年間ベースの着工件数の減少は三年連続だが、減少率は07年の24.8%を大幅に下回る。住宅在庫の増加に加え、金融危機に伴う信用収縮で住宅ローンが借りにくくなったことが影響した。 (関連記事) 【ニューヨーク=藤井一明】 米、差し押さえ対策急務 住宅着工最低 浮上の兆しなく 米国の住宅投資は昨年12月も着工件数が過去最低を更新するなど、浮上のきっかけがつかめない状況が続いている。ローンの返済が滞って物件を差し押さえる動きが止まらず、不良資産の増大を恐れる金融機関の貸し渋りも緩んでいないためだ。市況の回復に金融面からの対策は不可欠。テコ入れが遅れると、住宅の不振は既に景気後退が一年以上続く米経済をさらに下押す要因となりそうだ。 米国の実質国内総生産(GDP)を構成する住宅投資は2006年1−3月期から08年7−9月期まで十一・四半期連続で前期比マイナスを記録した。08年10−12月期の実質成長率に関する市場予測の平均値はマイナス5%程度と大きく落ち込み、住宅投資が引き続き足を引っ張る見込だ。 需要不振を受け物件の値下がりは続いている。過去最低となった昨年12月の着工、許可の件数は価格が安くなっても在庫増加や販売低迷を見越して建設を手控える動きが強いことを示す。 急務と見られるのは差し押さえの対策だ。米不動産調査会社のリアルティトラックによると、08年に米国で差し押さえの通告を受けた住宅の件数は前年よりも約八割も多い二百三十三万件。信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)の焦げ付きが広がった直後の07年に、政府や議会が差し押さえの「予備軍」と懸念した二百万件を既に上回った。 今後も高水準の差し押さえが続くと危機感を強めるオバマ政権は、ブッシュ政権から引き継いだ三千五百億ドルの公的資金の追加枠を差し押さえの抑制に活用する方針を明らかにしている。差し押さえはローンの焦げ付きとして金融機関の損失処理に結びつく。金融安定化のためにも住宅対策が急がれる。 【ニューヨーク=藤井一明】 米ローン損失180兆円 世界の金融機関 ゴールドマン推計 住宅値下がり主因 米金融大手ゴールドマン・サックスは世界の金融機関が米国のローン関連で抱える損失について二兆ドル(約百八十兆円)を越すとの推計をまとめた。米国の住宅の値下がりが主因で、損失の見込み額は昨年三月時点よりも七十八%増えた。米国の景気後退の深刻化を背景に、住宅以外の企業向けやクレジットカードなどのローンに絡む損失も膨らむと見ている。 金融機関の損失はローンの貸し倒れに加えて、住宅ローン担保証券などのようにローンをまとめて売買できるようにした金融商品への投資の失敗でも生じる。市場では金融危機の再燃への懸念が強く、損失の膨張に備えた資本が不十分との見方もくすぶる。米国では今のところ追加できる公的資金枠が三千五百億ドルしかなく、二兆ドル超の損失が現実になれば、日欧も含めた公的資金の増枠が課題になりそうだ。 ゴールドマンのエコノミスト、ヤン・ハチウス氏らが一月中旬の時点でまとめた報告によると、米国のローンに関連した世界の金融機関の損失は二兆八百三十億ドルに達した。米国の金融機関に限ると全体の46%の九千六百二十億ドルだった。証券化商品への投資などを通じて、過半の損失は米国以外の金融機関に及んでいる。 損失に結びついたローンの種類別に見ると、住宅向けが全体の53%に当たる一兆一千億ドルと最も多かった。住宅の値下がりを理由に、昨年三月の見込み額の五千億ドルから大幅に上方修正した。以下、商工向けローンと社債の三千九百億ドル、商業用不動産向けの二千三百四十億ドル、クレジットカードの二千二百六十億ドルが続く。 ゴールドマンは米国の住宅価格の見通しも示し、在庫の高水準などを根拠に、2010年半ばにかけて米連邦住宅金融庁(FHFA)の指数で5−10%、S&Pケース・シラー価格指数で20−25%もさらに下がると予想した。住宅の値下がりが止まらないと、物件を売って借金を返す循環が生まれにくく、金融機関の不良資産と損失は高止まりしかねない。信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)の焦げ付きをきっかけに、国際通貨基金(IMF)は昨年春に世界規模の損失額を九千四百五十億ドルと見積もり、秋には一兆四千五十億ドルに上方修正した。最新の金融情勢を反映したゴールドマンの推計はサブプライムにとどまらない問題の広がりと損失の急膨張を映し出している。 |
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NO.235 | 2009/01/16(金) 日本経済新聞より |
欧州、0.5%利下げ ECB 過去最低の年2%に 4ヶ月連続 【フランクフルト=赤川省吾】 欧州中央銀行(ECB)は十五日の定例理事会で政策金利を引き下げることを決めた。ユーロ圏十六カ国に適用する最重要の市場調節金利を二十一日から0.5%下げ、年2.0%とする。 トリシェ総裁は記者会見で「経済の先行きはさらに弱まっている」と述べたうえで、「インフレ圧力が引き続き弱まっている」と説明し、一段の利下げに踏み切る可能性をにじませた。 ECBは昨年十二月上旬の理事会で過去最大幅となる0.75%の利下げを決めたばかり。しかし、十二月の消費者物価上昇率が年1.6%と政策目標の「2%未満」を下回り、域内最大の経済力を持つドイツが08年10−12月期に大幅なマイナス成長を記録した公算が大きくなったため追加緩和に踏み切った。 利下げは4ヶ月連続でこれにより政策金利はドイツの景気後退で欧州景気が落ち込んだ2003年から05年の通貨統合後の最低水準に並ぶ。既にゼロ金利に踏み込んだスイスなどに続き、ECBも歴史的な低水準で欧州景気を支える姿勢を鮮明にする。 今後の金融政策についてトリシェ総裁は「次回の重要な会合は三月だ」と発言した。二月の理事会では金利をいったん据え置き、三月に実質成長率予測を下方修正したうえで追加利下げに踏み切る可能性がある。 |
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NO.234 | 2009/01/11(日) 日本経済新聞より |
国債 日米欧400兆円規模 09年度発行額 財政収支悪化で急増 【ワシントン=米山雄介、パリ=野見山祐史】 国が資金調達のため売り出す国債の発行額が世界で急増している。不況で税収が減る一方、金融安定化や景気対策で歳出が増え、財政収支が悪化しているためだ。日米欧の2009年度の国債発行総額は四百兆円規模に達する公算が大きい。金融不安を背景に投資家は信用度の高い国債の購入を増やす傾向にあるが、安定消化が難しくなれば長期金利が上昇し、景気回復を妨げる恐れがある。 安定消化進まねば 景気回復妨げる懸念 08年度と比べた増発額は百兆円を超える見通しで、これは日本の国家予算(09年度予算案の一般会計で約八十九兆円)を大きく上回る。 米財務相によると、2009年会計年度(08年10月〜09年9月)の国債発行額は三月までの上半期だけで九千百八十億ドル(約八十三兆円)に上る見通し。これは前年度の一年分とほぼ同じで、通年では少なくとも一兆五千億ドル(約百三十六兆円)に達するとの見方が市場では多い。 米政府が国債の増発を迫られるのは、税収減のなかイラク戦費の調達や金融機関への資本注入などで財政赤字が膨らむためだ。米議会予算局(COB)は09年会計年度の米財政赤字を前年度の2.6倍の約一兆二千億ドルと予測した。 オバマ次期米大統領は大型の景気対策を準備中で、財政赤字がさらに増えるのは確実。09年度の国債発行額は二兆ドル(約百八十一兆円)規模になるとの観測もある。 金融機関への資本注入や景気対策が国債発行を膨らませる構図は欧州でも同じだ。英バークレイズ・キャピタルの推計では、ドイツ、フランスなどユーロ圏の主要十一カ国の国債発行総額は09年度に最大九千五百億ユーロ(約百十八兆円)に達する見通し。08年度(実績見込み、六千四百七十億ユーロ)の約五割増となり、過去最高に膨らむ。 以下略 |
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